「新潟の価値をさらに高めたい」と幕を開け、4年目になるプロジェクト
JR新潟駅から徒歩約8分、オシャレな飲食店や若者に人気のファッションビルがひしめき合うにぎやかなエリア〈万代シテイ〉。新潟市きっての繁華街であるこのエリアに1984年に誕生した〈新潟伊勢丹〉は、35年以上の長きにわたり、地元の人たちに親しまれてきました。
そんな老舗百貨店が、「新潟の価値をさらに高めたい」と2016年にスタートしたプロジェクトが、今回ご紹介する〈NIIGATA越品(えっぴん)〉です。地元の人たちは気づいていない、しかし新潟らしさのある新潟の食や工芸品を集め、地域の新たな魅力を発信しています。

オープンから4年目を迎えた昨年は大幅なリニューアルを実施。2階にあったショップをグランドフロアである1階へ移動し、売り場面積を拡充しました。商品数はこれまでの約3倍の1100商品に増え、より魅力的なショップへと生まれ変わりました。

ショップのテーマは、“カジュアルミュージアム”。気軽に訪れられる美術館のように、心を弾ませながらアイテムをじっくりと眺め、一品一品の良さを吟味してほしいとの想いが込められています。
百貨店の店舗レイアウトは直線的な通路が多いですが、こちらは曲がりくねった不規則な通路が特徴的。まるで探検するように店内を巡ることで、宝物を探すようなワクワクした気持ちが味わえます。
逸品の背景にある“想いやストーリー”を伝えたい

そんな〈NIIGATA越品〉を支えているのが、腕利きバイヤーの長谷川雅史さんです。新潟市出身で地元愛が深い長谷川さんのセレクトには、つくり手への敬意と、新潟の逸品に対する誇りがあふれています。
「モノを売るだけではなく、その背景にあるストーリーを伝えることが重要です。新潟にはいいモノがたくさんありますが、意外と地元の人たちは気づいていない――だからこそ私たちが発掘して、この場で多くの人に魅力を発信できればと思っています」
現在〈NIIGATA越品〉に並ぶのは、110社のアイテム。そのひとつひとつにストーリーがあり、つくり手の想いがあります。スタッフが接客するときには、それらの情報をお客さんに伝えることで、共感や応援をしてもらえることを目指しているそう。

また、なるべく他店では売られていないアイテムを選ぶのもこだわりのひとつ。
大切な人へのギフトとして購入する方が多いため、「この日この場所に来たからこそ出合えた」と感じてもらえる商品を揃えています。そこには、贈り手にも受け手にも幸せな気持ちになってほしい、との思いが込められているそう。
〈NIIGATA越品〉には、そんな自慢の逸品だけがラインナップされているのです。
すべての商品に誇りをもっているため、セールでの値引き販売は一切しないそう。どれを選んでも間違いないですよ!」と自信たっぷりに話す長谷川さんからは、バイヤーとしての心意気が感じられます。
腕利きバイヤーいち押し! これぞ“越品”の芸術級お猪口

数ある逸品のなかから長谷川さんがいち押しするのが、こちらのお猪口。新潟・白根仏壇の蒔絵(まきえ)師として活動する佐藤裕美さんの作品〈宙COCORO 花火シリーズ〉です。
黒にも藍色にも見えるニュアンスある色彩の上に、蒔絵の技法を生かした、漆や純金の美しい絵付けがなされています。その質感はとてもなめらか。通常、ステンレスの酒器に絵付けを行うことは難しく、長い年月をかけて苦労を重ねた末、独自の焼き付け技法を編み出したそうです。

お酒を注ぐと、夜空に咲く花火や星たちが浮き上がってきます。水面が揺れるたびにキラキラと輝き、幻想的で思わず見入ってしまうほど。この作品はSNSでも話題で、購入できるのが数か月待ちになることも多いのだとか。なお、〈NIIGATA越品〉で販売しているのは、作家の佐藤さんに特注でオーダーしたデザイン4種類。ここでしか購入できない限定品となっています。
まだまだある! 新潟の魅力が詰まったおすすめ商品5選
食から工芸品まで、幅広いジャンルの商品が一堂に会する〈NIIGATA越品〉。もちろんすべて価値のある商品ですが、なかでも購入必須の“マストバイ”5商品を長谷川さんに教えてもらいました。
クセの少ない凝縮された旨み〈あがの夢うなぎ〉

阿賀野川水系の澄んだ伏流水で育てられた県産のブランドうなぎ。臭みやクセがなくすっきりとした味わいで、ふっくらとした身には旨みがたっぷり。定番の蒲焼きや白焼きのほか、柚子風味の焼き漬け、地元麹屋の味噌を使った味噌漬け、酒粕の風味たっぷりの粕漬けなどの変わり種もあります。
高級食材を贅沢に使用した佐渡発〈島CURRY〉

佐渡の人気デザイナーズ旅館〈浦島〉が手がけた渾身のカレー。佐渡島黒豚と南蛮エビの夢のコラボから生み出されるフォン(出汁)が、芳醇な味わいに。高級食材が奏でるハーモニーは、この上ない幸福感があります。ゴロっと入った大きな佐渡島黒豚の角煮も食べごたえあり。
女性にうれしい成分がいっぱい〈チュラ Niigata Herb Tea〉

まるでスタイリッシュな化粧品のようなパッケージの〈農園CuRA!(チュラ)〉は、自然栽培のハーブティー。無肥料・無農薬で栽培され、無添加にこだわった体にやさしいブレンド茶葉のティーバックが詰まっています。新潟伊勢丹の限定商品〈マザーズブレンド〉は、ラズベリーリーフのやさしい甘さが特徴です。
桐たんす職人が伝統の技を生かしてつくる〈三ツ星弁当箱〉

桐たんすの産地として名高い、加茂市の〈朝倉家具〉が手がけるわっぱ弁当箱。フタは桐材、本体は杉材でつくられており、四隅のゆるやかなカーブや、木材の段差同士を組む“相欠き(あいがき)”、鉄でなく木でできた“木釘(きくぎ)”など、職人技術がふんだんに生かされています。洗剤で水洗いできるため気軽に使えるのも人気のヒミツです。
容量少なめ〜普通の600ミリリットルサイズは7920円、普通〜多めの750ミリリットルサイズは8910円(いずれも税込)で販売しています。
限界まで品質を極めた一級品〈ストレート毛抜き先斜め〉

ものづくりのまち・燕市の老舗企業〈小林製作所〉の社長が、「究極の毛抜きをつくりたい」という想いのもとつくり上げた逸品。2枚のステンレス板を特殊加工で貼り合わせており、力を入れなくても握れるのが特徴です。肌あたりが良く、細い毛でもしっかりと挟んで抜ける使い心地を一度体験したら手放せません。
とっておきの新潟産品は、オンラインストアからも購入可能!

こだわり抜いた商品だけを集めた〈NIIGATA越品〉は、まるで新潟の魅力を詰め込んだ宝箱のよう。そのひとつひとつに想いとストーリーがあるので、気になる商品があればスタッフさんに尋ねてみるのがおすすめです。
また、一部の商品はオンラインストアで購入することもできます。大切な人への贈り物にするもよし、自分へのごほうびとして楽しむもよし。とっておきの新潟の品々を、ぜひご自宅から手に入れてみてくださいね。
Information
credit text:渡辺真理子 photo:中田洋介