新潟のつかいかた

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雪の魅力を再発見!
スノーシューの探検で
里山に広がる銀世界へ | Page 2 Posted | 2021/03/03

森の景色を眺めながら雪の感触を楽しむ

森へ入る前に、スノーシューで進む簡単なコツを小山さんに教えてもらいました。

「足のつま先側を意識して歩き、左右の足幅をやや広げてください。それから、バック歩行はできないので、カニ歩きで方向転換しましょう」

さあ小山さんのあとに続き、森の奥へ。サクッサクッとした感触が心地良く、無心になって歩くことで、まるで森と一体化していくような不思議な感覚が湧いてきます。

森の奥へ進む
先頭を進む小山さんが雪を踏みしめ、道をつくってくれているので難しくありません。

少し歩くと、雪の上に小さな足跡を発見! 「これは、リスかな」と小山さん。森にはキツネ、タヌキ、ウサギ、テンなどさまざまな動物が住んでおり、運が良ければ出会うこともあるそうです。

小山さんがある木の前でふと足を止め、「何の木かわかりますか?」と聞いてきました。香りを嗅いでみると、若くフレッシュな香りが広がります。“花粉症の季節におなじみ”というヒントをもらい、スギの木だとわかりました。冬季のスギであれば花粉は飛び散らないそうです。

スギの小枝を渡してもらう
ハーブのようにさわやかな香り。枝先についた実を食べてみました。

さらにナメコの木や、“山菜の王様”と称されるタラ、“山菜の女王”と称されるコシアブラの木も発見! 山菜は春になると収穫をして味わえるそうで、森はたっぷりのごちそうであふれています。

高級爪楊枝の材料として知られるクロモジも採取し、その優雅で甘い香りに癒されます。こちらは持ち帰って、お湯で煮出すクロモジ茶として飲むことに。このように、五感をフル活用しながら楽しめるのは森の散策の醍醐味です。地元の自然を知り尽くした人だからこそわかる森の楽しみは、多くの発見にあふれていました。

スノーシュー
普段は出合えない自然を身近に体感しながら、さらに森の奥へと進みます。

雪上の歩行もだんだんと慣れてきました。雪質はその日によって異なり、サラサラ舞うほどの粉雪だったり、フカフカとやわらかな質感だったり。それぞれに良さがあり、同じ雪でも毎日変化することを感じられます。

雪深い森をさらに進むと、透明な液体が入ったポリタンクを発見! 実はこちら、メープルシロップの原液なのです。事前に小山さんたちが設置したポリタンクには、半分ほどの樹液が入っていました。

イタヤカエデの木に設置されたポリタンク
数日放置すれば、ポリタンクにたっぷりとメープルシロップの原液がたまるそう。

「この森には、珍しくイタヤカエデの木が多く自生しているので、1月中旬から2月末までの短い期間ですが、メープルシロップの原料となる樹液を採ることができます」と小山さん。一般的にイメージされるメープルシロップの薄茶色は、この透明な樹液を煮詰めて成分を凝縮させることで生まれる色合いなのです。

樹木に小さな穴をあける
樹木を傷つけることで、木が自身を守ろうとすることから甘い樹液を出す。樹液を集める体験も行っています。

メープルシロップづくり体験は、全国的に見ても珍しくて貴重なもの。小山さんたちは2017年からメープルシロップ採取体験ツアーを始め、自然の恵みを味わう感動を伝えてきました。イタヤカエデは寒暖差が大きくなるほど甘い樹液を出すことから、気温が下がる新潟の冬だからこそできる希少な体験です。

雪を固めながら進む
ゆっくりと雪を固めながら歩かないと、うまく前に進めません。

さて、スノーシューの冒険も終盤に差しかかってきました。ラストは、傾斜30度の山登りに挑戦。小山さんが踏みしめた道ではなく、あえて歩きづらい新雪をかきわけながら進みます。今までとは段違いの難易度! スノーシューを履いているとはいえ、足が雪に埋まり、ストックのブレーキもうまく効かずに何度も転んでしまいます。

太ももまで雪に埋まる
実はこれ、太ももあたりまですっぽりと雪に埋もれています。

急な傾斜を歩くコツは、ゆっくりと焦らず小股で雪を踏みかためること。「これは本当に登り切れるのか……!?」と不安に思いながらも、小山さんのエールを受けながら夢中で雪の中に道をかきわけ、何とか頂上にゴールすることができました。

頂上にゴール
登りきった後の達成感は最高!

頂上で待っていたのは、標高2000メートル級の山々に囲まれるパノラマ絶景。晴れた日には米山、妙高山など、新潟を代表する山岳を見渡せます。壮大なスケールの自然に包まれ、感動せざるを得ませんでした。

自分で雪をかき分けて進むのは爽快で、童心に返って楽しむことができました。苦労したからこそ、登りきった後の達成感はなにものにも代えがたく、最高の気分です。

雪山をスマホで撮影中
この時期にしては気温が高く、雲海が山々を覆う景色が広がり、幻想的な写真が撮れました。
パンケーキをいただく

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潤す雪


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