新潟の生活を潤す雪
スノーシューで森の散策を満喫した後は、メープルシロップを使ったスイーツタイム。周囲を山々に囲まれた絶好のロケーションで、十日町産米粉のふんわりパンケーキを味わうデイキャンプを楽しみます。
やぶこざきキャンプ場特製の米粉パンケーキミックスは、無農薬・無化学肥料のお米の粉が主原料。これに牛乳と卵、油を加え、混ぜて焼くだけなのでとても簡単です。
透明な樹液を煮詰めてメープルシロップをつくるには1時間ほどかかるため、パンケーキにはあらかじめ煮詰めておいた完成品を使います。手づくりの新鮮なメープルシロップは、さっぱりとしたやさしい甘みを感じられます。米粉のパンケーキはふんわりとした食感で、ほっぺたが落ちるおいしさ。里山の恵みをまるごといただく極上のスイーツタイムとなりました。
雪深い山をスノーシューで歩き、森で採取したメープルシロップを地元産米粉のパンケーキにかけていただくという、新潟の自然を満喫する贅沢すぎるツアーは、全国的にもとても珍しいもの。この非日常的な体験を求め、県外はもちろん、国外から訪れる人もいるのだとか。
「十日町の雪は青みがかって美しいんですよ」と、この地域の雪の特徴を教えてくれた小山さん。雪は空の青い光を反射していますが、空気がきれいで不純物が少ない十日町の雪は、このきれいなブルーの色を発現しやすいのです。
十日町市がある魚沼地方には〈魚沼産コシヒカリ〉がありますが、おいしさの秘密は豊富な雪どけ水、そして田んぼが雪の下で半年間休むことなのだとか。
また、雪どけ水は地下水となり、家庭や工場でも使われています。このミネラル豊富な軟水を仕込み水として、日本酒造りをする蔵が多いのも十日町市の特徴。通常は秋に収穫するにんじんを、ひと冬雪の下に寝かせて甘みをアップさせた「雪の下にんじん」や、雪の冷気を活用した「雪室(ゆきむろ)」など、新潟の人々は雪と共存する暮らしの知恵を編み出してきました。
「十日町に住む人々にとって、雪は生活の中心です」と小山さんも言います。雪は、ときに生活の邪魔になることもありますが、同時に生活を潤す“財産”なのです。
そんな新潟の雪を、豊かな自然とともに体感できるスノーシュー。一面の銀世界に包まれながら、雪を踏みしめる感動をぜひ味わってみてはいかがでしょうか?
※文中の「ガイド」については、日本山岳協会の認定ガイド資格を指すものではありません。
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credit text:渡辺まりこ photo:中田洋介