新潟のつかいかた

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待ちに待った新米の季節。
新潟を代表するブランド
〈新之助〉〈コシヒカリ〉
〈こしいぶき〉
の違いって何? Posted | 2020/10/22

新潟県内にある個性豊かな品種やブランドを新潟の銘柄米ガイドブック『新潟米図鑑』から、ピックアップしてお届けします。

お米好きなら知っておきたい、代表品種3種の特徴!

ふっくらと炊き上がった、ツヤのあるご飯。毎年、秋の楽しみである新米の季節がやってきました。新潟県で有名な品種といえば〈コシヒカリ〉ですが、ほかにも新しく開発された〈新之助〉、コシヒカリの遺伝子を引き継いだ早生品種の〈こしいぶき〉など、新潟の代表的な品種はまだまだあります。

今回はそんな代表格の品種を3種ご紹介。それぞれの味わいや開発ストーリー、合わせたい料理など、新潟米食味評価会のコメントとともにその特徴についてお届けします。

※新潟米食味評価会とは?
平成30年5月、新潟県で栽培され、業務用での利用が期待される品種の味を評価するために開催。首都圏・関西圏の五ツ星お米マイスター3名、新潟県内の中食・外食事業者2名の計5名から、活発な意見交換がなされました。

毎日食べても飽きない、新たな代表品種〈新之助〉

新之助の食味評価図
誠実で芯が強く、スタイリッシュなイメージから名づけられました。また、品質への自信やブランドとしての意思の強さも表現しています。
食味評価会のアイコン

食味評価会からのコメント
高いレベルで安定した食味・品質の新しいプレミアム米。弾力のある食感を持ち、噛めば噛むほど甘みが出てきます。一粒一粒がしっかりしていて、ほどよい粒感とほぐれ感があり、冷めてもおいしさと甘みが持続するお米です。また、冷めても硬くなりにくいため、白飯としてはもちろんのこと、おにぎりやお弁当にもオススメ。

〈コシヒカリ〉と双璧をなすブランド品種として開発された〈新之助〉。特徴は、高温に強く、玄米の外観の品質が優れていること。成熟期は〈コシヒカリ〉より1週間遅く9月下旬頃に収穫される晩生品種です。炊飯米は大粒で光沢があり、ほんのりとした香りと豊潤な甘み、コク、しっかりした粘り、弾力を併せ持ちます。「食味・品質」と「安全・安心」を確保するため、 〈新之助〉研究会の生産者により、食味・品質基準をクリアしたお米のみが流通している品種です。

新之助開発ストーリー 〜 コシヒカリとは異なるおいしさを追求した新品種 〜

新之助の系統図

新潟県では、平成20年から地球温暖化の進行に備え、現在より高温になっても品質が高くおいしいお米の開発を進め、約20万株の候補から選抜を繰り返してきました。そして最終的に、コシヒカリとは異なるおいしさや特徴を持つ〈新之助〉を選定。〈新之助〉の開発は、特に食味が優れた株を探し出すことからスタートしました。

お米の食味は、炊飯時のお米の輝きと約7割相関することがこれまでの研究結果でわかっていました。そのため、株ひとつひとつのお米を炊き、その輝きを確認し、優秀な株を選抜し、最終的に選ばれたのが〈新之助〉です。〈新之助〉はコシヒカリの遺伝子を受け継いでいますが、おいしさのベクトルが異なります。食味試験でコシヒカリと比較されることで、さらに食味が磨かれ、これまでの新潟の品種改良の資産を生かした集大成ともいえるお米が誕生したのです。

新之助の公式サイトやSNSでは、歌舞伎俳優の市川海老蔵さん出演のCMや、キャンペーン情報などを掲載しています。新之助の魅力をより深く知ると、味わいも一層奥深く感じられるかもしれません。

【関連リンク】
web:新之助公式サイト

旨みと粘りが魅力の新潟米の代表品種〈コシヒカリ〉

コシヒカリの食味評価図
「越の国に光り輝く稲」になってほしいという期待と願いから〈コシヒカリ〉と名づけられました。
食味評価会のアイコン

食味評価会からのコメント
おいしいお米といえば〈コシヒカリ〉と連想するほど、長年支持されているブランド米。適度な粘りを持ち、柔らかく、しっかりとした味わいで、ひと噛みで旨みがはじけます。香りが良く、甘みがあるので、ご飯そのものの旨みが味わえることはもちろん、お茶碗で食べる和食、特に魚料理や刺身などにもおすすめです。

〈コシヒカリ〉が品種登録されたのは、昭和31年。新潟県が全国に先駆けて奨励品種として採用、県の基幹品種として県内で広く栽培されるようになりました。

平成17年産米からは、いもち病に強い品種として改良された〈コシヒカリBL〉を一斉導入し、農薬を低減した「環境に優しいお米づくり」を進めています。

現在、新潟県産のコシヒカリは新潟一般・魚沼・岩船・佐渡に地域区分され、毎年9月中旬に収穫しています。

新潟コシヒカリ開発ストーリー 〜 新潟で選抜された株から誕生 〜

コシヒカリの系統図

現在の新潟米を代表する〈コシヒカリ〉の歴史は昭和19年、新潟県農事試験場で行われた交配に始まります。交配には、新潟県で開発され高収量で品質と食味が良い〈農林1号〉と、病気に強い〈農林22号〉が選ばれ、両方の長所を併せ持つ品種の開発を目的に行われました。そして、この交配から選抜された株は、福井県にある福井農事改良実験所に引き継がれ、昭和 28年に〈越南17号〉という系統名がつけられたのです。

全国の試験場に試作が依頼された〈越南17号〉は、品質や食味は良いが、病気に弱く、丈が高くなり倒伏しやすいという弱点を多くの試験場から指摘されました。しかし、新潟県農業試験場は試作結果が良好であることと、弱点は栽培技術でカバーできる範囲と判断し、昭和31年に全国で最も早く県の奨励品種に採用しました。

柔らかめでさっぱり、料理を引き立てる〈こしいぶき〉

こしいぶきの食味評価図
越後(こし)の新しい息吹(いぶき)という意味で、21世紀に登場するお米にふさわしく、コシヒカリの血統を受け継ぎ、新鮮で活力に満ちたイメージで、県民投票で命名しました。
食味評価会のアイコン

食味評価会からのコメント
コシヒカリのおいしさの特徴を受け継いだ、本県主食用米の主要品種。あっさり系で柔らかく、料理を引き立ててくれるお米です。どんなおかずにも合わせやすいので、家庭料理などにオススメです。

収穫時期がコシヒカリよりも早いことや、良食味であることを育種目標に開発した〈こしいぶき〉。県内の作付比率は約17%を占め、〈コシヒカリ〉に次ぐ主力品種です。玄米品質が良く、9月上旬に収穫できます。炊飯米はツヤと適度な粘りがあることが特徴。冷めてもおいしく、家庭用から業務用まで幅広い用途に適しています。

こしいぶき開発ストーリー 〜 コシヒカリよりも収穫時期の早い新品種の開発 〜

こしいぶきの系統図

開発がスタートしたのは、平成5年のことでした。平成に入ると新潟県内では〈コシヒカリ〉の生産がますます増え、気象面や経済面から、〈コシヒカリ〉集中へのリスクがさらに高まりました。この状況を打開するために、〈コシヒカリ〉と同様の食味の良さを持ち、収穫が早い早生品種の開発が始まりました。

通常の2倍以上にあたる800種類もの交配組み合わせの中から選抜が始まり、高品質、良食味の特性を持つ優良な7系統に絞り込み、気象変動の厳しい環境下でもチェックが行われました。さらに新品種の品質を安定させるために、1年間に2世代進めることができる沖縄の石垣島で研究を行い、開発期間の短縮化を図りました。その結果、およそ7年で〈コシヒカリ〉に匹敵する新品種の開発に成功しました。

今年はお米の特徴を知ったうえで、新米を選ぼう!

新潟県の代表銘柄3種を比べても、これほど違いがある米の種類。コシヒカリから品種改良をした背景などを知ると、一層品種に対する興味が湧きますね!

新潟県では新米の出荷が始まっています。お米の特徴を知ったうえで、今年の秋は新しい視点で新米を選んでみてはどうでしょうか?

JA全農にいがたの公式Youtubeでは、新潟県出身のラグビー日本代表稲垣啓太選手出演の新潟米CMも見られます。新潟米の“力強い”おいしさが感じられる映像となっていますので、ぜひご覧ください。

この記事は、新潟米PRパンフレット『新潟米図鑑vol.2~新潟の銘柄米ガイドブック~』の一部を転載し再編集したものです。紹介されている情報は2019年8月時点のものです。