新潟のつかいかた

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自家栽培のお米と野菜がおいしい
〈ふるさとがしのばれる宿
角屋旅館〉の朝ごはん Posted | 2018/11/09

新潟の気候と豊富な水がおいしく育てるコシヒカリ

日本有数の米どころである新潟。新潟で育った新米を、毎年楽しみにしている人も多いと思います。一方で、時間のない朝は、つい手軽なパン食を選んだり、ひとり暮らしの方だと朝食自体を食べないという人が多いのも事実。

一面にコシヒカリが実った田んぼ
澄んだ空気と清らかな水が、コシヒカリをおいしく育てます。(写真提供:角屋旅館)

そんな方々にこそ、ぜひ一度味わっていただきたい、お米のおいしさを存分に楽しめる朝食を提供する温泉宿が新潟にはあります。五頭温泉郷の温泉地のひとつ、村杉温泉にある〈ふるさとがしのばれる宿 角屋旅館〉です。

ふるさとがしのばれる宿 角屋旅館の外観
築100年の、古民家風の温泉宿〈ふるさとがしのばれる宿 角屋旅館〉。後ろに見えるのは、ムササビが暮らす杉林。

豊かな自然の中で自家栽培される、お米と野菜

新潟市から車で約40分、白鳥の飛来で知られる瓢湖から車で約10分の場所にある村杉温泉。今から700年ほど前の室町時代に開湯したといわれる全国有数のラジウム温泉で、古くから湯治場と「子宝・安産の湯」として地元の人々に愛されている温泉です。

薬師堂
旅館の裏手にある、薬師堂。温泉の守護仏である、薬師如来がまつられています。

村杉温泉に宿がなかった明治23年(1890年)頃から湯治客への部屋貸しを始め、大正に入ってから食事付き宿泊業を営み始めたという歴史を持つ〈角屋旅館〉。特筆すべきは、先祖代々受け継がれている田んぼと畑でコシヒカリと野菜を自家栽培し、それらを湧き水と有機肥料で育てていること。「実は旅館を始める前は、普通の農家だったんですよ」と教えてくれたのは、〈角屋旅館〉6代目主人である安永俊さん。

〈角屋旅館〉6代目主人の安永俊さん
〈角屋旅館〉6代目主人の安永俊さん。
五頭山の麓のあちこちに点在する湧水地
五頭山の麓のあちこちに点在する湧水地。この豊かで清らかな水で、お米や野菜が育まれています。(写真提供:角屋旅館)

「この地域の農協や農家さんは、だいぶ古くから東京の生協とお米のやりとりをしていて。生協の人たちにお米を買い続けてもらえるよう、地方創生の制度を活用して、もみ殼と牛糞・鶏糞を原料とする地域循環型の有機肥料をつくる施設を村で建てたのです」と安永さん。

村杉温泉で育てられた稲穂
全国的に酷暑となった2018年の夏。でも冷たい湧き水のおかげか、村杉温泉のお米は高温障害にならず、例年よりも早く成長したそう。(写真提供:角屋旅館)

「その施設でつくられる有機肥料がみんなの田んぼや畑に戻るよう、地域全体で取り組んでいます。だからこの地域では、有機肥料を田畑にまいて農作物づくりをすることが当たり前。安全で環境にもやさしく、そして雑味がなくおいしいお米ができます」

安心して口にできる素材でつくられているというのは、食事をいただく私たちにとって、とてもうれしいポイント。でも〈角屋旅館〉の朝食の魅力は、これだけではないのです。

旅館の朝食と聞いて、焼き魚にお味噌汁、香の物と海苔といったシンプルな献立を想像される人も多いと思います。でも〈角屋旅館〉の朝食はまったく違います。まず驚かされるのが、色とりどりのおかず!

〈角屋旅館〉の朝食
その日、一番おいしい地元の食材がふんだんに使われる献立。「連泊をされる方や、常連のお客様が多いので、なるべく同じものは出したくないという気持ちがありますね」と女将さん。

新潟の朝食ごはんの定番である焼き魚に、館内のにある味噌小屋で天然熟成された二年味噌のお味噌汁。近所の養鶏場〈キムラファーム〉から届く、産みたての卵を使った出汁巻きたまごに、数少ない職人さんしかつくれないという四回巻き車麩の煮物。これだけでも朝食のおかずとして十分に感じられますが、さらに新鮮な野菜をたっぷりと使った副菜も用意されているのです。

朝食で使われるおひつ

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