新潟県内にある個性豊かな品種やブランドを新潟の銘柄米ガイドブック『新潟米図鑑』から、ピックアップしてお届けします。
料理に合わせて開発された、専用米!?
寿司やカレー、リゾットなど米を使った料理は日本でも定番。そんな米に品種の違いだけでなく、料理に合わせた専用米があることをご存知でしたか?
実は新潟県には専門家が研究を重ねて開発した寿司やカレー、リゾット、米麺、もち、酒などで使われる専用の米があるのです! 今回はこうした専用米の特徴と、名前の由来についてご紹介します。
ほぐれやすく、酢によくなじむ寿司米〈笑みの絆〉
炊飯米の粘りが強すぎず、酢によくなじみ、なめらかで、ほぐれやすく、あっさりとした食感を持つ、寿司米に最適な品種です。おいしさに笑みがこぼれ、生産者と消費者の絆が築かれることを願って命名されました。
収穫時期:9月下旬/晩生(おくて)品種
品種:うるち米
登録年:平成26年
育成者:農研機構
とろみのあるルウとの相性が良い、 カレーライス専用の〈華麗舞〉
農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業総合研究センターが開発し、民間企業・ハウス食品株式会社との共同研究で、カレーに合う米の開発・製品化が進みました。研究の結果、粘り気が少なく、塊にならず、カレーソースにさらりとなじみ、もっちりとした食感の〈華麗舞(かれいまい)〉が誕生。ブランド名は、炊飯米が口の中で粒が華麗に舞うようにほぐれやすいことと、この食感特性がカレーソースに合うことから命名されました。
収穫時期:9月中旬/中生(なかて)品種
品種:うるち米
登録年:平成21年
育成者:農研機構
リゾットに最適! 粒が大きめの〈和みリゾット〉
リゾットに最適とされているイタリアの大粒品種〈CARNARОLI〉(カルナローリ)と同じくらいの極大粒で、リゾットへの調理適性があります。リゾットに調理した〈和みリゾット〉は、見た目・歯ごたえが良く、粘りにくく、煮崩れしにくいという特徴があります。おいしくて和むこと、日本でつくられたお米(=和)であることから命名されました。
収穫時期:8月下旬/早生(わせ)品種
品種:うるち米
登録年:平成28年
育成者:農研機構
米麺にぴったりの〈越のかおり〉
白米のデンプン成分のうち、炊飯米を硬くするアミロースの含有量が多いため、茹でても麺が溶けにくいことが特徴。麺離れが良いので、米の麺として新しい食感になり、東南アジアの米麺と遜色ない品になります。 新たな需要が見込まれる米麺の原料として、米どころを香り高く彩るイメージを表しました。
収穫時期:9月中旬/中生品種
品種:うるち米
登録年:平成23年
育成者:農研機構
コシが強く、伸びも良い。切餅にしたらおいしい〈こがねもち〉
玄米はやや小粒で丸みがあり、粒ぞろいが良く、外観品質は良好です。きめが細かく、コシが強く、伸びも良く、切餅との相性はぴったり。米菓の加工適性にも優れています。名前は、黄金色の穂で良質美味のもち品種であることを表しています。
収穫時期:9月中旬/中生品種
品種:もち米
登録年:昭和31年
育成者:新潟県
まるで新雪のよう。真っ白な餅になるもち米〈わたぼうし〉
成熟期が〈こがねもち〉より10日程度早い、早生のもち品種です。玄米の光沢、粒張りが良好で、外観品質は素晴らしい出来です。餅は色が白く外観が際立って良く、米菓の加工適性にも優れています。命名由来は、新雪のわたぼうしのように白くて、ふんわりとしたおいしい餅を表しています。
収穫時期:8月末/早生品種
品種:もち米
登録年:平成6年
育成者:新潟県
パリッとした食感がクセになる! 米菓に適した〈ゆきみのり〉
かき餅にすると、歯ごたえ、歯ごなれがいいほか、生地が硬くなりやすいため、表面に細かいヒビが生じ、食感もいいなど、加工適性が優れています。雪のように白いもち米が秋にたくさん実るようにという意味を込めて命名されました。
収穫時期:8月末/早生品種
品種:もち米
登録年:平成28年
育成者:農研機構
酒のおいしさを左右する心白(しんぱく)が大きな酒米〈五百万石〉
優れた酒米品種として、現在、全国では〈山田錦〉に次ぐ第2位の作付面積があります。穂が長く、成熟期の熟色は鮮麗。玄米は大粒で光沢に富み、酒づくりの核となる心白(※)が大きく、その心白が出る確率も良い品種です。清酒は色沢が淡麗で、酒質は繊細できれいであるという特性を持ちます。
※心白:米の中心にある白濁している部分。心白だけを削り出して日本酒をつくると、雑味のないスッキリとした日本酒になる。
収穫時期:8月末/早生品種
品種:酒米
登録年:昭和32年
育成者:新潟県
大吟醸酒づくりのために開発された酒米〈越淡麗〉
〈越淡麗〉は、県産米100%の大吟醸酒をつくりたいという、新潟県の酒造業界の長年の願いに応えるために開発した酒米です。心白発現率は〈五百万石〉より少ないものの、大粒で玄米タンパク質含有率は低く、大吟醸酒の醸造に必要な高度な精白に耐えられる特性を持っています。〈越淡麗〉の名は、新潟県産吟醸酒の原料米として、淡麗な酒づくりを支えていく酒米であることを表しています。
収穫時期:9月下旬/晩生品種
品種:酒米
登録年:平成19年
育成者:新潟県
新潟県で全国の9割以上を生産する酒米〈たかね錦〉
長野県で育成された酒米で、現在は新潟県で全国の9割以上を生産しています。 標高の高い地域での栽培が最も適した酒米であることから、この名前がつけられました。
収穫時期:8月下旬/早生品種
品種:酒米
登録年:昭和27年
育成者:長野県農業試験場
専用米だから、おいしさを最大限引き出せる
専用米はそのまま食べてもおいしいのですが、やはりその料理と一緒に食べたときが一番おいしい! 寿司米は寿司に、カレー米はカレーと合わせたときに本領を発揮するのです。料理のおいしさを最大限引き出せる専用米。ぜひ一度試してみてくださいね。