新潟のつかいかた

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集落に自生する「苔」に注目。
サステナブルな苔栽培を目指す | Page 3 Posted | 2022/03/18

野菜直売所の立ち上げにも参加

地域おこし協力隊として集落の野菜直売所〈里の駅いちべえ〉の立ち上げ、運営にも携わりました。

「販売所の立ち上げは、先輩隊員の起案を引き継いだものです。インターンの学生さんと一緒にデザインを考えて建物を改装し、完成後は主に会計を担当しました。営業は日曜日のみ。毎週20軒ほどの農家さんから野菜が届きます」

〈里の駅いちべえ〉の前に立つ朽網さん
インターンの学生とともに完成させた〈里の駅いちべえ〉。冬期は休業。現在は3代目の協力隊員が引き継いでいるそう。

販売所では、山菜の天ぷらを振る舞ったり、スイカ割りをしたりと、定期的にイベントも開催。なかでも朽網さんにとって思い出深いのが、協力隊員として最後の年に行った「苔とマコモの小さなお祭り」。

「隣の鼓岡(つづみおか)という集落でマコモダケをつくっているんです。苔もマコモダケもいまいち知られていないものなので、その魅力を伝えようと合同で企画しました。イベントでは、プロのシェフにお願いしてマコモダケのスペシャルランチをつくってもらったり、苔テラリウムのワークショップを開いたり、景品が当たる抽選会も用意しました。150人くらい来てくれたらいいねって話していたのですが、400人を超えるお客さんが足を運んでくれて、貴重な体験となりました」

インタビュー中の朽網さん

3年間の地域おこし協力隊の任務を終え、坂井地区での生活も5年目に突入。朽網さん一家は、集落の生活にすっかりなじんでいる様子。

「娘の誕生日に近所の方がケーキを買ってきてくれたり、夫はイノシシの肉があるから食べに来いと声をかけてもらったり。昨年は集落のみんなで里の駅いちべえの隣に蕎麦屋〈そば処いちべえ〉をオープンしました。蕎麦は集落で収穫したもの。とてもおいしいので、たくさんの人に食べに来てもらいたいと思っています」

仕事がなく、過疎化が進む集落で「苔」という新しい価値を見出し、地域のビジネスにつなげたいと活動を続ける朽網さん。協力隊の任期は終えましたが、成長に時間のかかる苔栽培はこれからが本番。今後はもっと宣伝に力を入れ、坂井集落から苔のすばらしさを伝えていきたいと話す姿が印象的でした。

沼垂(ぬったり)朝市で出店した際の、黒板を使った苔の説明書き

Information

【mossy mossy japan】
web:mossy mossy japan

credit text:矢島容代 photo:日下部優哉