新潟のつかいかた

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新潟限定
「クラフトルマンド」に挑戦。
お菓子メーカー〈ブルボン〉の
ローカルに根ざした経営 | Page 3 Posted | 2026/09/25

東京を本社にしない理由

ブルボンの創業は1924年。その前年に発生した関東大震災がきっかけでした。当時は、大手製菓メーカーの工場が太平洋側の関東に集中しており、それらが被災することで、新潟をはじめとした日本海側へお菓子の供給が絶たれてしまいました。

インタビュー中の吉田匡慶社長
ブルボンの吉田匡慶社長。

「菓子供給が一時的に途絶えた窮状を見たことで、地方にも菓子の量産工場が必要と考え、当社は柏崎で創業し、保存が利くビスケットの生産からスタートしました」

全国に展開する企業にまで成長したブルボンが今でも柏崎を大切にしている理由は、創業からの理念にあったのです。経済合理性や効率性を考えれば、本社機能は東京にあるほうが有利かもしれません。しかし、創業の地である柏崎を拠点とし続け、2015年には90周年事業として、まさにブルボンが創業した柏崎駅前で、13階建ての本社ビルが竣工しました。

「創業の経緯を考えると、東京以外の場所であり続けることが当社の意義のひとつ。できる限り地方でがんばっている企業でありたいと思います」

利便性だけを追求して東京に一極集中するのではなく、特に食の企業が地方にあり続けることは、日本全体を考えたリスクヘッジでもあるのです。

あくまで柏崎ローカルの企業として

ブルボン本社ビルの外観
柏崎駅前にそびえ立つブルボン本社ビル。

「柏崎には本社も工場もあります。地域とともに成長する企業として、地域の皆様のご理解とご協力をいただきながら事業を進めるとともに、地域の活性化や盛り上がりにブルボンとしても協力していきたいと思っています」

地域社会の一員として、その地域の発展にも貢献を図るブルボン。そのひとつの例が「ブルボン花の輪運動」です。これは〈公益財団法人 花と緑の農芸財団〉と協力して本社や工場があるエリアの小学校に、4種類の花の球根や苗木を提供するものです。

また “水球のまち柏崎”にあって、日本一の規模に成長した〈ブルボンウォーターポロクラブ柏崎〉という水球のチームに対して、活動支援を行っています。さらに〈ぎおん柏崎まつり 海の大花火大会〉では、毎年花火協賛を行っており、プチクマ花火などブルボンの魅力を詰め込んだ花火を打ち上げています。

「こうした活動をきっかけに、ひとりでも多くの方が新潟県や柏崎に興味を持ってもらえればうれしいです」

若者人口が減っていくなかで、柏崎市も例に漏れず人口は減少傾向。「それを食い止めるには、働きたいと思える企業が地方にあるべき」と吉田社長はその必要性を語ります。

「売上高1000億円を超える企業は、地方にはそう多くありません。日本の強みのひとつは、地方の多様性。新潟県のさらに地方の柏崎市にこのような企業があるということが、日本全体で見たときの強みにもなるはずです」

ローカル企業の働きがいとは

お菓子の自販機や商品のディスプレイコーナーがあるブルボン本社1階
本社1階は、一般公開されている。自動販売機でお菓子を購入可能。

「東京の大きな企業で働くのも選択肢のひとつだと思いますが、地方で当社くらいの規模感の会社であれば、経営者と社員の距離の近さを感じられると思います。ある意味全体を見ながら、自分のやりたいことを実行していくことができる規模です。当社でも社員が私に直接、自分のやりたいことを熱っぽく伝えてくれることがありますし、それがその後の方針として生かされることもあります」

最近は、働く環境を考えるにあたり、事業内容や賃金だけでなく、CSRやCSV、そしてやりがいを重視する傾向が高まっています。そうした社会変容のなかで、人材確保は重要な課題。ブルボンでも、職場環境の改善は進んでいます。

「地方に本社機能を置く企業として、社員ひとりひとりを大切に考えて、長く働き続けることができる環境を整えられなければ、人口減少が進む昨今、事業の継続が難しくなります。また、企業が社員の挑戦する気持ちを後押しする環境をつくり、社員が生き生きと活動することで、仕事に対してやりがいを感じ、この会社で働いていてよかったと思ってもらいたい。そうした社員の成長が、会社の成長へもつながっていくはずです」

事業よし、社員よし、地域よし。地域とともに歩む企業として、ブルボンの存在は新潟の大きな誇りのひとつです。

Information

【株式会社ブルボン】
address:新潟県柏崎市駅前1-3-1
tel:0257-23-2333(代)
web:ブルボン

credit text:大草朋宏 photo:今井達也(ナナイログラフ)