新潟のつかいかた

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繊細なのに簡単!潮の香りが漂う
「へぎそばの焼きそば」にチャレンジ Posted | 2021/09/03

ご当地の食材をお取り寄せして調理し、おうちにいながら現地を訪れたような最高の旅気分を味わう連載企画「旅する食卓」。今回は、新潟名物「へぎそば」を取り寄せて、シェフのレシピを自宅で再現してみましょう。挑むのは、これまで周囲を震撼させてきた料理ベタ女子。新潟からやってきた「へぎそば」たちは無事においしく変身できるのでしょうか。

へぎそばさん、いらっしゃ〜い!

更科そばでもなく、田舎そばでもない「へぎそば」。都心でも、たまに専門店を見かけます。新潟っこたちに言わせると「ツルッツルで、磯の香りがしてうまいよ!」って。

一体どんな蕎麦だというの? 老舗〈小島屋総本店〉で〈布乃利へぎそば〉のセットを取り寄せてみました。ふたを開けてみると、老舗の風格を感じさせる上品な詰め合わせ! ちゃんとつゆもついて、至れり尽せりです。

取り寄せたへぎそばセットの箱を開ける

パッケージを見ると、ひえっ、「皇室御用達」の文字が。人間の私よりはるかにやんごとない気配をまとった蕎麦たちです。

一流シェフのレシピ動画を視聴

レシピ動画をスマートフォンで視聴

このへぎそば、食べ方は基本的に一般的な蕎麦と同じなのだそうです。とくに暑い時期は、さっと茹でて、氷水でしめ、つゆをつけてちゅるちゅるっといただくのがオツだとか。うーん、聞くだけでおいしそう!

しかし私の両手は、神の手ならぬ悪魔の手。触れるものみな灰塵に帰す呪われし両手です。蕎麦たちの「さわるな〜」「お慈悲を〜」の大合唱が聞こえてきたところで、今回も強力な助っ人をお呼びしましょう!

ずばり、『ミシュランガイド新潟2020特別版』で一つ星として掲載された〈日本料理 魚幸(うおゆき)〉のご店主・渡辺雄太さん(の、レシピ動画)!

料理名は、シンプルに名づけられた「焼きそば」。中華麺で焼きそばのまかないをつくっていた渡辺さんがへぎそばでつくってみたのがレシピ誕生のきっかけとか。へぎそばならではの磯の香りを生かしながら、塩気のやさしい繊細な和風焼きそばのつくり方を教えてくれています。

重要なステップは3つ。「麺を茹でる」「具を炒める」「合わせる」。以上!

料理ベタの身としては、この時点でゴクリ……と唾をのみつつ、レッツ・クッキング! なせばなる!

キッチンに立つ矢口あやはさん

へぎそばの「焼きそば」に挑戦!

【材料】(2人分)
・へぎそば(乾麺) …… 150グラム
・豚バラ肉 …… 65グラム
・もやし …… 75グラム
・長ネギ …… 30グラム
・顆粒だし …… 小さじ1
・醤油 …… 大さじ2
・サラダ油 …… 大さじ2
・塩 …… 2つまみ
・胡椒 …… 少々
・酒 …… 50ミリリットル
・刻み海苔 …… 適量

袋をあけてみると、思ったよりほっそりとして華奢な麺の束。布海苔という海藻が入っていると聞いたので色のついた姿を想像していましたが、普通のお蕎麦とそれほど変わりはありません。

へぎそばを鍋に入れる
そばを箸でかきまぜる

たっぷりの水を沸かし、蕎麦を沸騰したお湯の中にパラパラと入れ、箸でかきまぜます。お湯がふきこぼれそうになったら弱火に。

表記には5分で茹で上がるとあるので、2分であげることにしました。渡辺さんいわく、「かために茹でる」のがポイントなのです。

流水でへぎそばのぬめりをとる

茹であがったらザルにあけて流水でぬめりをとります。い、意外と、ぬめってるな……。3〜4回、しっかり水を流しながら洗って、だいたいのぬめりが取れたらOK!

長ネギを切る

ここからは具材の準備。具材は3種類。「もやし」はそのまま、「豚肉」は食べやすいサイズに切り、「長ネギ」は斜め切りにします。それでは、いざ調理。サラダ油をひいたフライパンに豚肉を入れて、塩胡椒をして炒めます。

フライパンで豚肉を炒める
もやしと長ネギを炒めた豚肉の上に

続いて、もやしと長ネギを投入。渡辺さんいわく、「これらは“シャキッと感”を残すべく、短時間で炒めるのがコツ」! あわわわ、モタモタしていると再び蕎麦からぬめりが出てしまうというので、スピーディに進めましょう。

へぎそばをフライパンに投入
へぎそばと具材を炒める

最後に、水をきったへぎそばをフライパンの中へ。あれ、麺の量間違えた……? というくらいモッサァと入りますが、正解。炒めていくと、もっと麺を入れれば良かった! と思うくらいに落ち着きます。さらに調味料をまわしかけ、ゴオッと強火で炒めましょう。

お皿に盛りつけ、刻み海苔をちらす

お皿に盛りつけ、刻み海苔を飾ればできあがり! おお、お蕎麦を茹でてから15分とかからなかった気がします。アツアツをいただきましょう。

へぎそば焼きそばを手にする矢口さん

秋の静かな海辺にトリップ!

いざ実食

麺を数本、お箸でつまんで、ひと口。あっ。これはやさしい! なんて上品な和風焼きそば。普通の中華麺でつくる焼きそばとは全然違う風味です。もちろんパスタとも違う食感。麺を変えるとこんなに表情が変わるとは……。

へぎそば焼きそばを頬張り満面の笑み

海の幸は入っていないけど、どこか潮を感じる味。だしがよく効いていて、豚肉の油がまたおいしくて、食卓が一気に海辺へ。波の音につつまれて、涼しい風に吹かれながら食べているみたい。ひっそりと入っている長ネギがまたいい役者ぶり。シェフいわく、九条ネギなどを使うとさらに香りが引き立つそうですよ。

それにしても、ツルツルの喉越しが不思議。夏バテしたときでもこれならスルッと食べられそうです。フフ……麺類、恐るるに足らず……フフフ……と料理上手になったような感動を味わいつつ完食。

届いた箱の中には、ストックされている乾麺がまだまだあります。このレシピを何度も食べられるなんて、にっこり。今日は海辺に行きたいな〜って日に茹でて、大事に食べたいと思います。

ごちそうさまでした!

Recipe

へぎそばの焼きそば

【材料】 2人分
・へぎそば(乾麺) …… 150グラム
・豚バラ肉 …… 65グラム
・もやし …… 75グラム
・長ネギ …… 30グラム
・顆粒だし …… 小さじ1
・醤油 …… 大さじ2
・サラダ油 …… 大さじ2
・塩 …… 2つまみ
・胡椒 …… 少々
・酒 …… 50ミリリットル
・刻み海苔 …… 適量
【作り方】
1 へぎそばを湯がき、流水でよく洗い、水分を切っておく。
2 フライパンで豚バラ肉、もやし、長ネギの順に塩と胡椒で炒める。
3 具材を炒めたらへぎそば、酒、顆粒だし、醤油を入れ、炒める。
4 器に盛り、刻み海苔をかけて完成。

矢口あやはさん

Profile 矢口あやは

大阪生まれ、東京在住。ライター・編集・イラストレーター。雑誌やWEB、書籍などの制作を中心に活動。料理が大の苦手。文化祭でゴマ団子を調理した際には破裂した団子が天井で跳ね返り、意中の人を直撃した。 Web|ayaha-yaguchi.amebaownd.com Instagram|@ayaha614

credit text:矢口あやは photo:やまひらく

へぎそば

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