新潟県のほぼ中央に位置する五泉市は、日本一の婦人用ニット生産高と、高い技術力を誇るニット産地。
良質で豊富な水資源から、かつては絹織物の一大産地として栄えていましたが、戦後のライフスタイルの変化に伴い、ニット産業へと移り変わりました。
絹織物時代から培った高い縫製力を継承しながら発展を遂げ、糸の染色から製品の完成までワンストップで行っているのが特徴です。
そんな五泉ニットは、名だたるハイブランドのOEM(他社ブランドの受託生産)を担いつつ、ODM(他社ブランドの企画開発設計から生産まで)を展開するなど、国内外から高い支持を得ています。
「最近買いたい服が見つからない」と嘆くモデルの斉藤アリスさんが、“本当に欲しい一着”を探しに、五泉ニットを代表するニットメーカー〈ウメダニット〉〈高橋ニット〉を巡ります。
ウメダニットの直営ストア〈The Knit Bar〉で
本気の3コーデを組んでみた
まず訪れたのは、戦後間もない1947年創業の格式あるニットメーカー〈ウメダニット〉(現在の社名になったのは1961年)本社に併設された、自社ブランドを購入できる直営店〈The Knit Bar(ザ ニットバー)〉。
スタイリッシュな店内には、自社ブランド〈WRAPINKNOT(ラッピンノット)〉や〈UMEDA〉など高品質でエッジの効いたデザインのニットアイテムが揃っています。
なかでも注目したいのが「ハイゲージ」のニットアイテム。
「ハイゲージ」とは、編み目が細かく密度の高いニットのこと。編み目がざっくりした「ローゲージ」に対し、すっきりして見えるのが特徴です。
同じデザインのニットでも、編み目のつまり具合によってニットの表情がこんなにも変わります。
また、ニットと異素材を組み合わせる異素材ドッキングや、2色のニットをレイヤードしたアイテムなど、縫製力の高さに加えてデザイン性の高いアイテムもウメダニットならでは。
そのなかでアリスさんに3着、気になったものを選んでもらいました。
まず1着目に選んだニットアイテムは……
ウメダニットコーデ①オールホワイトコーデ
コンパクトな身丈に対して、末広の長い袖のバランスが絶妙なプルオーバーをチョイス。
自前のサテンの白パンツに合わせて、全身白で統一感を出しながらも、上下で素材違いのコントラストがありメリハリをうみます。
「カシミヤ100%のしっとりした着心地なのでまったくチクチクしません。袖口付近にあるニットでできた“見せタグ”もかわいい」(アリスさん)
2着目に選んだのは……
ウメダニットコーデ②編物×織物の異素材ドッキングコーデ
さわやかなブルーのストライプシャツの前身頃に、ニット素材のあしらいがある異素材ドッキングシャツをチョイス。
「ニット部分のやわらかな風合いと、シャツのパリッとした質感の組み合わせが個性的。これ1枚で目を引くので、ボトムスはシンプルにストレートのパンツかIラインのタイトスカートが合いそう」(アリスさん)
ラスト3着目は……
ウメダニットコーデ③エフォートレスなジャンプスーツコーデ
タオルのような柔らかい生地感のジャンプスーツは、たっぷりとした分量の布地によりリラクシーなムードを演出。付属のベルトでウエストマークをすれば、スタイリッシュな仕上がりに様変わり。
「気取りすぎてない、ちょうどいい抜け感が気に入りました。ルームウェアとしても、ワンマイルウェアとしても使えそう! これ買います!」とアリスさん自腹でお買い上げ。
ほかにも新作の9万円代のハイネックボリュームニットなどを購入したアリスさん。なんとこの時点で約15万円分お買い上げです。
Information
高橋ニット直結ストア〈Milestone〉で
本気の3コーデを組んでみた
アリスさんのさらなる“欲しい”を探しに、1955年に創業した老舗ニットメーカー〈高橋ニット〉(現在の社名になったのは1972年)の直結ストア〈Milestone(マイルストーン)〉へ向かいます。
自社ブランドの〈PRODIGAL(プロディガル)〉では、高級素材であるカシミヤのニットに力を入れています。
「カシミヤは洋服選びの中で間違いのないもの」という思いから、日常生活に取り入れやすいよう、タイムレスなデザインのアイテムを展開。
広々とした店内には、上質なカシミヤを使ったベーシックなデザインニットから、残糸を使ったサステイナブルファッションまで展開。
なかでも存在感を放っていたのは、折り紙のような立体感のある編み目が特徴のニットバッグ。コーディネートのアクセントになりそうです。
「服は個性的なデザインより、正統派なデザインが多くて使いやすそう。どれも触り心地や素材感から品質の高さがうかがえますね」とアリスさん。
店内をひと通り見て回ったアリスさんが選んだ1着目は……
高橋ニットコーデ①ひと際目を引くモードコーデ
ペットボトルをリサイクルした再生ポリエステル糸でつくられた、立体的なフォルムが特徴の主役級ニットプルオーバーをチョイス。ボトムスは同系色のシンプルなスカート(自前)を合わせました。
「これ1枚でモードな演出ができるので、おしゃれのアンテナ感度が高い人にぴったり。トレーナーのようだけど、適度なハリ感もあるので、カジュアルダウンしすぎなくておすすめです」(アリスさん)
2着目に選んだのは……
高橋ニットコーデ②“おじカワ”なメンズライクコーデ
自前のサテンパンツに合わせたのは、メンズのポロシャツ。あえて大きめのメンズサイズを選んで、肩が落ちたルーズなシルエットを楽しみます。
「オーバーサイズだからこそ小さめの襟のかわいさが引き立ちますね。パンツにインすればメリハリが出て女性でも着こなせると思います」(アリスさん)
そして最後に選んだのは……
高橋ニットコーデ③甘すぎない大人のワンピースコーデ
シルクカシミヤを使用したシンプルなデザインのハイゲージニットのトップスと、すっきり見えるIラインのニットワンピースコーデ。
「絶妙な透け感のトップスと程よくシルエットを拾うワンピースの組み合わせが、甘すぎなくて気に入りました! なによりカシミヤ特有のなめらかな肌触りがいいですね。薄手でもこんなに暖かいなんて!」と、絶賛するアリスさん。Milestoneではこちらのコーデをまるっとお買い上げ。
ちなみに今回の五泉ニット旅で使ったのはなんと総額18万円以上!
「本当に良いものはずっと長く着ることができるし、お金を出す価値があると思って、自分へのご褒美に買いました。上質なものを身にまとうことで、生活にハリが出るし、気分も上がりますよね。最近欲しい服がなかったので、久しぶりに買い物欲を刺激されて楽しかったです! 五泉ニット、大切に着たいと思います」とアリスさんもご満悦の様子でした。
Information
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〈ウメダニット〉〈高橋ニット〉
のこだわり 】