グルテンフリーで満足度が高く、昨今ではパンやスイーツなどでもおなじみの“米粉”。美容や健康に敏感な女性から注目されていますが、実は新潟県・胎内市が米粉発祥の地なのをご存知でしょうか。
あまり耳慣れない地名かもしれませんが、西部は日本海、東部は胎内高原と山々に囲まれた自然豊かな場所。そのため、米粉のみならず、ビールやワイン、黒豚ハム、ジャージー乳製品などその土地の恵みを使ったグルメが多く、まさに食の宝庫と言っても過言ではありません。
また、トレッキングや満天の星空を堪能できるのも胎内市の魅力のひとつ。恵まれた大自然を食やアクティビティで感じる旅は、日頃の疲れを癒し、パワーをもらえるはずです。
世界中を旅するモデル・斉藤アリスが、「胎内高原」へ五感で自然を感じる旅に行ってきました。
Profile 斉藤アリス
雑誌『Hanako』(マガジンハウス)のライターで、自身の世界のカフェめぐりをまとめた本『斉藤アリスのときめきカフェめぐり』(エイ出版)を著書に持つ。
Information
【東京から胎内市までの行き方】
(1)新幹線と在来線で行く場合
access:東京駅(JR上越新幹線)約2時間→新潟駅(JR羽越線)約1時間→JR中条駅
所要時間:約3時間
JR中条駅からは、宿泊施設の送迎バスのほか、胎内市ならほぼどこでも※一律300円で便利な予約制乗合タクシー「デマンドタクシーのれんす号」の利用がオススメ。詳細はこちら
※胎内高原周辺の施設であれば可能。奥胎内ヒュッテなど長距離は対応できない場合がありますので、予約センターにご確認ください
(2)新幹線とレンタカーで行く場合
access:東京駅(JR上越新幹線)約2時間→新潟駅→レンタカー(約1時間)
国道290号線経由なら、田園風景を眺めながらゆったりとドライブできます。
自然を食する〜ワイン・ビール・米粉パンでおしゃピク〜
風土の個性が全て〈胎内高原ワイン〉
「必要以上に手を加えない」「風土の個性を生かす」「オーソドックスであること」
作り手の個性はいらない、土地の個性をそのまま伝えたい。シンプルに“採れたブドウの味を生かすこと”をモットーに、胎内市が運営している〈胎内高原ワイナリー〉は、2007年に設立されたばかりの、まだ歴史の浅いワイナリー。
ブドウの生育から製造まで一貫して行っており、味わい深い手書きのロゴが入ったラベルが印象的です。
そんな胎内高原ワインを生み出した、風通しが良く眺望の良いブドウ畑を、今回は特別に見学させてもらいました。
最大標高は約250メートル、栽培面積は6.5ヘクタール、加えて太陽の光をたっぷり浴びることができる急斜面の立地という恵まれた環境が、ワインとなるブドウの芳醇な味わいを育んでいます。
そしてこの広大な敷地からは年間20トン、ボトルにしてワイン2万本分にもなる量のブドウが採れるのだそう。
栽培しているブドウの主な品種は、白のシャルドネやソーヴィニヨンブブラン、赤のメルローやツヴァイゲルトレーベ。
その味は高く評価されており、国産ブドウ100%使用のワインを対象とした日本唯一のワインコンクール「Japan Wine Competition2012」の欧州系品種赤部門2点入賞からはじまり、毎年さまざまな部門で入賞し続けています。
胎内高原ワインについて知ると、口にした時のおいしさもひとしお。さっそく同ワインを持って「おしゃピク」を楽しみましょう。
胎内高原ワインと米粉パンで秋のおしゃピクを
JR中条駅から車で20分ほどの場所にある〈ロイヤル胎内パークホテル〉では、胎内高原ワインのほか、胎内高原の大自然で育った上質な黒豚の希少部位を使用した胎内黒豚ハムやソーセージ、密度が高くて弾力があるおいしい米粉パンなども購入できます。
同ホテルの脇には芝生があるので、シートを広げ、いただきましょう。外で食べるごはんのおいしさを実感できるはずです。
持ち運びに便利なプラスチックのワイングラスに、パンやワインを入れるバスケット、それに胎内高原の自然の風景。
たったこれだけあれば、立派なおしゃピクに早変わりします。胎内の特産品を胎内の自然の中で食す、これぞ大人のおしゃピク。
心地よい胎内高原の秋風にあたりながら心が癒されていくのを感じて、いつもより会話が弾む……きっとそんなひとときを過ごせるはずです。
「胎内高原ワインの赤・メルローは、フルーティーで爽やかだから、とっても飲みやすい! 米粉の卵サンドの塩気と、軽めの赤ワインが相性抜群です」
ロイヤル胎内パークホテルで優雅にランチも
ピクニックで食べるのもいいですが、ワインを楽しむならホテルという手も。高い天井と広々とした窓、重厚なカーテンと絨毯でしつらえた高級感ある空間は、リッチな気持ちにさせてくれるはず。
ランチはその季節折々の厳選された素材を使っており、和食から洋食まで新潟の幸を幅広く堪能できます。
アリスさんが選んだのは、「白身魚のベーコン巻きソテー」(スープ・サラダ・パンorライス・コーヒーor紅茶=税別1,400円)。魚と肉のコラボレーションが新しい一品です。クリーミーでまろやかなソースに絡まった、プリプリとした食感の魚が、白ワインと相性抜群。
胎内高原ワインをどこでどのように味わうか、選ぶ楽しさも味わっていただきたいです。
※食事は2018年7月取材時のものです。内容は季節によって変わります。
Information
無ろ過の奥深い味わい〈胎内高原ビール〉
胎内高原はワインだけではなく、地ビールにも注目したいところ。中条駅から車で約20分、ロイヤル胎内パークホテルから車で約5分の場所にある〈胎内高原ビール園〉では、事前に予約すると新潟のプレミアム・クラフトビール「胎内高原ビール」の製造見学をすることができます。
特筆すべきは、胎内高原のミネラルウォーターを使用していること、ドイツ産の最高級の麦芽とホップを使用していること。たったこれだけの原材料を、本場ドイツのマイスターから受け継いだ技術で丁寧に醸造し、このビールがつくられています。
さっそく工房にてビールを製造する仕込み釜を覗かせてもらいました。ここでは麦芽と仕込み湯をかき混ぜ、酵母の餌となる糖分を生成しています。その後、糖化した麦汁を網目の細かいフィルターでろ過し、キレイな麦汁をつくるそうです。
ほかにも胎内高原ビールの歴史や麦芽について話を聞くことができます。胎内高原の恵みをおいしくいただくには、こうやって製造の背景を知るのがオススメ。
製造見学後は、同園内の売店で胎内高原ビールを一杯。工房の仕込み室の温度が高いこともあり、キンキンに冷えたビールがより一層おいしさを引き立てます。
ここでの定番は全部で4つ。香ばしくてコクがある黒ビールの〈アルト〉に、のど越しさわやかなラガーの〈ピルスナー〉、フルーティーで苦味がない白ビール〈ヴァイツェン〉、そしてアリスさんが飲んでいる〈シトラヴァイツェン〉。
シトラヴァイツェンは、フルーティーなのにシトラホップの香りと苦味をしっかり味わえる、柑橘系の爽やかな味わいが特徴的です。
ロイヤル胎内パークホテルから車ですぐ。歩いて20分程度ですが、散歩がてら歩いて向かっても気持ちよさそう。秋の胎内高原を楽しんで。
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