野菜や果物、地元で水揚げされた水産物に、畜産物もおいしい新潟県。耕地面積は北海道に次ぐ全国2位の広さを誇り、砂丘地から山間高冷地まで、気候風土を生かした多彩な作物が育てられています。
そんな海の幸、山の幸もおいしい新潟で、“県が自信を持ってお勧めする逸品”として「県推進ブランド品目」が選定されていることをご存知でしょうか。今回は、気になる「県推進ブランド品目」7品をご紹介します。
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新潟県ブランド食材① 日本一の米どころで育った〈新潟米〉

米づくりが盛んな新潟県は、米の栽培面積、収穫量ともに日本一(農林水産省大臣官房統計部/令和6年)。昼夜の寒暖差がしっかりとある気候で、ミネラル豊富な雪解け水と土壌、経験豊富な米農家さんたちの技術も相まって、おいしい米が育ちます。
新潟米といえば、ブランド米〈コシヒカリ〉が有名ですが、ほかにもさまざまな銘柄があります。〈コシヒカリ〉に代わる新ブランドとして2017年に誕生した〈新之助〉もそのひとつです。

〈コシヒカリ〉よりも粒が大きく弾力がある〈新之助〉は、冷めてもかたくなりにくく、おいしさと甘みが持続するのが特徴です。時間が経ってもおいしく、おにぎりやお弁当に適したお米といわれています。
新潟を代表する人気銘柄となった〈新之助〉ですが、その開発にはおよそ10年の月日を要しました。〈コシヒカリ〉とは異なるおいしさを追求した成果であり、地球温暖化の進行に備え、現在より高温になっても品質が高くおいしいお米が育つようにと、約20万株の候補から選抜を繰り返して生まれました。
新潟県ブランド食材② なかなか県外に出回らない〈新潟産えだまめ〉

広大な農地を持つ新潟は、枝豆の作付面積も日本一(農林水産省大臣官房統計部/令和5年)です。全国でもっとも多くの枝豆がつくられています。しかし、出荷量で見ると〈だだちゃ豆〉で知られる山形県や千葉県より少なく、全国8位となります。
日本で一番多く枝豆がつくられているのに、〈新潟産えだまめ〉があまり県外に出回らない理由、それは県内での消費がほとんどを占めているからです。新潟県の枝豆消費量は、全国平均のおよそ3倍にもなります。

〈新潟産えだまめ〉のおいしさの秘密は、夏の日照時間が長い新潟の風土が関係しています。5月から10月の日照時間が長く、枝豆に養分がしっかり蓄積されて旨みが増幅します。
〈新潟産えだまめ〉は、〈新潟茶豆〉をはじめ、40種類もの品種が半年の間にリレー形式で旬を迎え、途切れることなく流通しています。特に7月中旬から9月上旬が生産のピーク。早朝に収穫される朝採れ枝豆のおいしさを知ると、県内でほとんどの枝豆が消費されてしまうのも納得です。

2023年の夏には、「枝豆と言えば新潟」というイメージを定着させ、知名度向上を図るために、ザルやお皿などに枝豆を大盛にすることを「新潟えだまめ盛」と命名し、さらなるブランド力向上を目指しています。
新潟は枝豆県だった!? 1年の半分近く旬を楽しめる枝豆カレンダー
新潟県ブランド食材③ 新潟で西洋梨といえば〈ル レクチエ〉

西洋梨の収穫量・出荷量ともに全国2位(農林水産省大臣官房統計部/令和5年)の新潟。西洋梨といえば〈ラ・フランス〉が全国的に有名ですが、新潟では〈ル レクチエ〉が定番です。
濃厚な甘味と芳醇な香り、滑らかな舌触りで、一度味わえば虜になってしまう〈ル レクチエ〉。果汁が滴るほどジューシーで、とろけるような食感と上品な甘みが特徴です。この特別なおいしさは、「追熟」というひと手間を加えることで生まれます。収穫した後、約40日間寝かせておいしく熟すのを待つ。生産者がひとつひとつ手塩にかけて育てた自慢の逸品です。

〈ル レクチエ〉は、11月下旬から12月下旬の約1か月間しか流通せず、国内生産はわずか8パーセントのみの希少な西洋梨。そのうち、約82パーセントもの生産量を新潟が占めるという、県を代表する西洋梨です。
新潟県ブランド食材④ 大粒で甘いブランドいちご〈越後姫〉

甘くてジューシーな新潟県のブランドいちご〈越後姫〉。冬から春にかけて新潟県内の直売所やスーパーに並びます。開発当初は新潟市や新発田市、五泉市などの下越地方を中心に栽培されていましたが、誕生から30年を迎えた現在は、県内全域で栽培され、より多くの人に届けられるようになりました。

冬が長い新潟の気候を生かして栽培される〈越後姫〉は、主に1月から6月にかけて収穫されます。冬は大粒で甘みが強く、春は糖度と酸味のバランスがいい果肉を楽しむことができ、時期によって異なるおいしさを味わえるのも〈越後姫〉の特徴です。
〈越後姫〉は、果実が非常に柔らかいことから輸送に向かず、まだまだ県外へ流通する量はごくわずか。県内各地の果樹農園や直売所などで、みずみずしい甘さをダイレクトに味わいましょう。
新潟県ブランド食材⑤ 〈にいがた和牛〉のとろける食感に悶絶!

新潟県産和牛の統一ブランド〈にいがた和牛〉は、新潟で育てられた黒毛和種であり、品質規格等級がA3、B3以上のものだけが得られる特別な称号です。これまでに、国内最大規模の牛肉の品評会「全国肉用牛枝肉共励会」で最高位の名誉賞を受賞するなど、おいしさと品質が高く評価されています。
〈にいがた和牛〉のなかで、枝肉格付等級がA4、B4以上であり、村上市、関川村、胎内市で肥育されたものは〈にいがた和牛(村上牛)〉、新発田市で肥育されたものは〈にいがた和牛(新発田牛)〉とされています。〈にいがた和牛〉の特徴は、肉の旨みと脂の風味の良さに加え、極上の甘さにあります。口の中で肉汁と一緒に肉がとろける瞬間は感動的なおいしさです。

〈にいがた和牛〉の生産者は日々、牛飼いの技術を磨き、愛情を込めて美味しい牛を育てています。その中で、特に優れた技術を持つ生産者は「肥育名人」として認定されています。3年ごとに認定され、2024年時点では、10名の匠が「にいがた和牛肥育名人」として活躍されています。
〈コシヒカリ〉の稲わらなど、良質なえさを食べてぜいたくに育てられる〈にいがた和牛〉。その格別なおいしさは、新潟県内の飲食店でも気軽に味わうことができます。
新潟県ブランド食材⑥ ブランド化で注目高まる高級魚〈のどぐろ〉

日本海側を中心に日本沿岸に広く生息する〈のどぐろ〉。新潟ではヒラメ、キス、フナベタ、アラなど、おいしい白身魚がたくさん取れますが、そのなかでも通年流通し、たっぷり脂が乗った〈のどぐろ〉は、“白身のトロ”と呼ばれる、新潟を代表する高級魚です。
新潟県内では主に底引き網や刺網で年中漁獲されますが、底引き網禁漁期(7~8月)でも1本の糸に多数の釣り糸をつけて釣り上げる延縄(はえなわ)漁で漁獲されるため、季節を問わず安定して水揚げされます。主な水揚げ地は、佐渡市、村上市、新潟市、糸魚川市と、県内広域に広がっています。

2024年6月には、新潟独自の基準を満たした〈のどぐろ〉を〈美宝(びほう)〉と名づけ、ブランド化していくことが発表されました。
〈美宝〉を漁獲できるのは、新潟の〈のどぐろ〉を熟知した3港7漁船の熟練漁師のみで、〈のどぐろ〉は一年を通して漁獲されるのに対し、〈美宝〉の基準を満たす大型ののどぐろは産卵前の7~8月を中心に漁獲されます。
旬はこれから!選りすぐりの新潟のどぐろ〈美宝〉がおいしいワケ
新潟県ブランド食材⑦ 刺し身、寿司、味噌汁も絶品〈南蛮エビ〉

新潟で〈南蛮エビ〉と呼ばれる真っ赤なエビは、一般的には「甘エビ」と呼ばれるエビのこと。主に北陸以北の日本海でとれ、新潟では色や形が「赤唐辛子(南蛮)」に似ていることからその名がつきました。
甘みが強く、とろけるような食感は、刺し身や寿司で味わうのが新潟のお決まり。また、旨みが凝縮している〈南蛮エビ〉の頭を使った味噌汁は、料理店だけでなく家庭でもよく目にするごちそうです。

〈南蛮エビ〉の主な水揚げ港は、佐渡市、新潟市、糸魚川市。水温の安定している深海に生息しているため通年おいしいエビですが、水温の下がる11月から2月ごろがとくにおいしい季節といわれています。地元のスーパーマーケットや市場でも手軽に購入でき、鮮度のいいものほど鮮やかな赤色をしているので見比べてみてください。
「南蛮エビ」の驚きの生態とは? 新潟県のブランドエビを徹底解剖
新潟県の〈県推進ブランド品目〉を求めて旅しよう
多様な食文化をもつ新潟県ですが、そのなかでもとくに新潟県がブランド化を進める食材が、この記事で取り上げた7つの〈県推進ブランド品目〉です。
それぞれに厳格な基準が設けられ、言うなれば、数ある新潟食材の「選ばれし食材」。ブランド食材を求めて新潟旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
web:NIIGATA BRAND
credit text:松永春香