「I ♥ 佐渡」のTシャツをトレードマークに、「サ〜ド〜ガ〜シ〜マ! サドガシマ……」のキラーフレーズで大人気を博す、“佐渡ヶ島系”動画クリエイター・けえ【島育ち】さん(以下、けえさん)。2026年8月時点でのYouTubeチャンネル登録者数は156万人。「ガシマー」と呼ばれるファンは日を追うごとに増え、全国の子どもたちから熱烈な支持を得ています。
佐渡ヶ島の魅力はもちろん、アレもない! コレもない⁉ も魅力に変えて、“島のありのまま”をYouTubeで配信して4年半。その動画をきっかけに「佐渡ヶ島に行ってみたい!」と親に懇願する子どもたちが急増中。さらに、その旅程は子どもたちが自発的に決め、「本当に〈ローソン〉しかないやん!(※注1)」「山が割れてる!(※注2)」と、ネタとすり合わせて大喜びするというのだから、けえさんの影響力たるや……!
そんな大人気動画クリエイターになるまでの経緯、あのフレーズの誕生秘話、佐渡ヶ島への思いなど、たっぷりとお話をうかがいました。

※注1:佐渡ヶ島にあるコンビニエンスストアは〈ローソン〉のみで、〈セブンイレブン〉や〈ファミリーマート〉などはありません。(2026年7月時点)
※注2:2024年7月に世界遺産(文化遺産)に登録された「佐渡島の金山」のこと。江戸時代に金脈を掘り進むうち、山がV字に割れたような姿となりました。
“佐渡ヶ島系”というアイデアの種で勝負し、証明したい!
生まれ育った佐渡ヶ島をテーマにしたYouTubeチャンネルを開設したのは2021年12月のこと。ツッコミ&トリビア満載の“佐渡ヶ島あるある”や、「サ〜ド〜ガ〜シ〜マ! サドガシマ……」というフレーズが大バズりし、翌年2022年12月にはチャンネル登録者数が10万人に到達するという爆発的な人気を集めました。2024年にはクリエイティブ・エージェンシー〈UUUM〉に所属となり、ますます活動の幅を広げています。
けえさんが動画配信を始めた理由は、2019年末から世界中に混乱をきたした新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけだったといいます。
「関東の大学に進学した年にコロナが大流行して。学校にも行けず、ただただ時間を持て余すなかで『このままでいいのかな……?』って漠然と悩んでいました。一歩踏み出してみよう、という気持ちになったのは2年生のときですね」
もともとYouTubeが大好きというけえさん。そこで、「佐渡ヶ島育ちの若者が日本最大級のショッピングモールを訪ねる」という動画を企画・制作し、2021年12月に初配信。その後も、島育ちが都会を味わう“人生初”シリーズ、山手線の全駅で佐渡おけさを踊ってみた企画、1週間佐渡おけさ生活など、けえさんならではのセンスが炸裂した動画をコンスタントに配信していきます。
2022年4月に配信した「山手線全30駅で“佐渡おけさ”を踊ってみた」のインスタグラム・リール動画。
「じつはYouTubeを始める以前にも、ブログを書いたり、中学・高校の部活動でテニスをやっていたので、TikTokで顔出ししないテニス解説をしたりしていたんです。フォロワーが5000人くらいまで増えたものの、どうも自分の本当の色が出せていないというか、なんか違うな……と感じていて。そんななかで、“佐渡ヶ島系”動画クリエイターというアイデアがふと閃いて、なぜか『絶対いける』っていう妙な自信があったんです。このアイデアの種で勝負して、自分を証明したい! という気持ちでした」
「好きなことを自由に。でも、責任は自分で負うこと」
大学生活のなかでYouTube配信をスタートさせたけえさん。その目的は、佐渡ヶ島の存在をもっと知ってもらい、島の魅力を発信し、来島者を増やしたい、という思い。
3年生を目前に、動画クリエイターとしての学びや知識を深めるために転部を決意。故郷の両親へ説得するも、それまでの学部とはまったくジャンルの異なる分野への転部に、ご両親が戸惑ったのは当然かもしれません。
「めちゃくちゃおもしろいものをつくれば、佐渡ヶ島への観光客は増える! 絶対いける! やるから! という熱意で押し切りました。子どもの頃から『好きなことを自由にやりなさい。でも、責任は自分で負うこと』という教育方針の家だったので、母は認めてくれて。でも、父は折れなかったですね。だから大学生のうちに証明してみせる! とがむしゃらに活動していました」
体を張った動画配信に「なにやら、おもしろいことをしている佐渡ヶ島出身の若者がいる」と新潟のテレビ局がその存在をキャッチ。取材を受け、テレビに出る機会をたびたび得られたのは「ラッキーでした」とけえさん。さらに配信を始めて半年後、「サ〜ド〜ガ〜シ〜マ! サドガシマ……」のフレーズを叫ぶショート動画が大きくバズり、500人程だった登録者数が一気に1万人へ。
大学卒業目前の2024年3月10日(佐渡の日)には「佐渡ヶ島フェス2024」を開催。大勢のファミリー層が島を訪れ、フェスの来場者数は2500人に及び、子どもたちの大歓声が響き渡りました。

「子どもの大歓声に包まれた島の景色を見たことがなくて、「佐渡ヶ島フェス」ではそれをつくりたい! って思ったんです。おかげさまでフェスはすごく盛り上がって、むしろクレームが来るんじゃないか……? って心配するほどだったんですけど、近隣の方々から『ありがとう!』『島が若返った!』って逆に感謝されて。めちゃくちゃうれしかったです」
その後も、ガシマーの子どもたちと一緒に島を巡る「佐渡ヶ島バスツアー」や、渡辺竜五佐渡市長とのコラボレーション動画を制作するなど、けえさんの躍進は止まりません。
各方面で注目を集め続けるけえさんの活動に、息子の本気度を知った父。いつしか応援してくれる存在になっていたとか。「学生のうちに両親にも証明することができて、セーフ! って感じでした(笑)」
佐渡市長とのコラボにとどまらず、2024年11月には花角英世新潟県知事(佐渡市出身!)とのコラボレーションも実現。
あの“キラーフレーズ”が生まれた瞬間
けえ【島育ち】YouTubeチャンネルには、「最強の右腕」との異名を持つ、けえさんの実弟・こうたさんも出演。チャンネルが大きくバズったのも、あの名フレーズが生まれたのも、こうたさんの存在が大きいとか⁉

「兄から『YouTubeを始めた』って聞いたとき、僕は高校生で。ときどき電話でYouTubeのことを話す感じでした」(こうたさん)
けえさんが動画配信をスタートさせてから半年ほど経った頃、こうたさんとの電話のなかで、チャンネル登録者数の伸び悩みについて打ち明けました。こうたさんから返ってきたのは「コントをやってみようぜ!」という言葉でした。
「どんなコントにするか考えたとき、大学の自己紹介で佐渡ヶ島出身って言うと、みんなから『サ〜ド〜ガ〜シ〜マ!』ってリアクションされたことを思い出したんです。そういうコントにしようかと話しているなかで、弟から『定番フレーズとして、サ〜ド〜ガ〜シ〜マ! を叫ぶのはどう?』というアイデアが出て。それおもしろいな! って」(けえさん)

さらに、叫んだあとに「サドガシマ……」とつぶやくとひと癖あっていいのでは? とフレーズが決定し、さっそくショート動画を制作。公開するやいなや、画面に表示される再生数がぐんぐん伸びていき――。
「コント動画の1本目から何十万再生をたたき出して、そこからは毎晩電話でネタ会議ですね。こうたは授業中、プリントの裏にびっしりと台本を書いてはLINEで『次はこのコントだ!』って送ってくるようになりました(笑)」(けえさん)
そうして、けえ【島育ち】チャンネルの「最強の右腕」となったこうたさんと、あのキラーフレーズを叫びながら、現在も唯一無二の動画を発信し続けるけえさんのおふたり。目指すチャンネル登録者数は、もちろん310万人!

幼少期から愛してやまないもの
自分にとっては馴染み深いものでも、地域が違えば「それ、なに?」というモノ・コトは多々あるもの。けえ【島育ち】チャンネルにも、佐渡ヶ島ならではの食や文化がネタとして登場します。
なかでも動画で頻出するのは「いごねり」。日本海でとれる海藻・いご草からつくられる島の郷土料理です。
「ネタで使いまくってるんですけど(笑)、結構真面目にアピールしていて。実家では子どもの頃から毎日朝食に出る一品で、今でも帰省すると必ず出てきますね」(けえさん)

どちらかといえば、大人向けの副菜という印象ですが、「子どももおいしく食べられる方法があるんです」とけえさん。
いごねりにきな粉、黒蜜、バニラアイスクリームを添えると、あんみつにも似た和スイーツとなり、子どもたちからも大好評。「いごねりは子ども・大人問わず、誰でもおいしく食べられるものであることを伝えたいんです!」と熱弁します。

また「佐渡海洋深層水」も動画で頻出するアイテム。こちらはこうたさんが幼少期からずっと気になっていたものなのだとか。
「小学生のとき、地域の祭り会場の入口で毎年売られていたんです。子どもながらも、なんだこの水、すごい名前だな……と思っていて。なんかカッコいいなと(笑)。動画のネタを考えているときに、そんな記憶がふと蘇りました」(こうたさん)
ほかにも、地域の祭りや学校行事の際の定番であり、その躍りは体の奥深くにまで沁みついているという「佐渡おけさ」。そして、祭りなどで操縦技術を鍛えられる「たらい舟」。動画に登場するアレコレは、けえさんやこうたさんの幼少期からの記憶、思い出、ソウルフード、体に沁みついた感覚です。
「いごねり」と聞いた瞬間「サ〜ド〜ガ〜シ〜マ!」と叫びたくなったり、「佐渡海洋深層水」が水深何メートルから汲み上げられているかをスラスラと答えられるガシマーは多いはず。ふたりが心の底から愛してやまないものたちは、着実に島外での認知度を高めています。

やっぱり「I ♥ 佐渡」
ときどきは佐渡ヶ島に帰省し、自然に触れたり、地元ならではの食を堪能することがなによりのリフレッシュになるというおふたり。
「島にふらっと帰ったときは、海とか、満点の星とか、自然に近寄りたくなるというか。マネージャーさんたちと一緒のときは寿司を食べに行ったり。日本海の魚は身が締まっていておいしいんです」(けえさん)
「僕も佐渡ヶ島の自然がすごく好きですね。帰省したらよく散歩に行くんですけど、疲れやストレスから開放してくれるような力が島の自然にはある気がして」(こうたさん)


近年は、帰省した際に「I ♥ 佐渡」のTシャツを着た子どもたちが楽しそうに島観光をしている姿を見かけることも増えました。
「そんな島の変化がうれしいですね。それに、来島者に対して、島民のみなさんがウェルカムなムードで接してくれるという話を聞くことも多くて、この活動をきっかけに、島のすばらしさをあらためて実感しています。チャンネル登録者数が100人くらいのときも、動画クリエイターであることを打ち明けると、『これ使っていいよ、がんばって!』と多くの島の人が支援してくれたり、チャンネル登録までしてくれたり。みんなで佐渡ヶ島を盛り上げていこうぜ! っていう仲間意識みたいなものを感じるんです。島全体が『チーム佐渡』なんだなって」(けえさん)
佐渡ヶ島の魅力はさまざまにあるけれど、一番は島民のあたたかさ。人と人との距離が近く、互いを助け合い、思いやることが当たり前のように根づき、外から来た人をも快く迎えるウェルカムな文化がなによりの魅力で、大好きだといいます。

また、動画クリエイターとして活動するなかで気づいたことがもうひとつ。それは、佐渡ヶ島はひとつの“テーマパーク”だということ。
「有名なテーマパークにありそうな迫力満点のリアルな山もあるし、砂金とりも、たらい舟も、ある意味アトラクション。個人的には、佐渡ヶ島は世界で一番おもしろい島で、大人も子どもも心の底から楽しめる島だと思っています」(けえさん)
『新潟のつかいかた』公式Instagramでは、「絶叫マシンゼロ! でも満足度100%! 佐渡ヶ島テーマパーク」と題し、けえさんが思う島のテーマパーク的ポイントをご紹介。ぜひチェックしてみてくださいね!

今後の目標として、佐渡ヶ島の認知度をさらに上げ、人を呼び、その魅力に触れてもらうべく、「いろんな方面で活躍します!」と宣言するけえさんとこうたさん。
佐渡ヶ島に憧れ、来島したガシマーの子どもたちが大人になったとき、その楽しかった記憶を携えて、自分の家族を連れて再び佐渡ヶ島を旅する――それは実際に起こりえる未来ではないでしょうか。佐渡ヶ島の伝説的動画クリエイターとして、後世まで名を残すであろうおふたりの活動からますます目が離せません!
Information
「けえ【島育ち】さん」×「新潟のつかいかた」のインスタグラムコラボ動画を、2026年8月7日(金)18時頃に投稿予定。ぜひフォロー&チェックしてくださいね!
けえ【島育ち】Instagram:@kee_sado
新潟のつかいかたInstagram:@howtoniigata
けえ【島育ち】YouTube:@kee_sado
ガシマくん🏝️【公式】Instagram:@gashima_kun
credit text:林貴代子 画像提供:UUUM株式会社

