新潟のつかいかた

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学生が「着物リメイクプロジェクト」に挑戦!
「NAMICS presents TGC 新潟 2026」
華やかなステージとその舞台裏 Posted | 2026/08/14

©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION

史上最大級のファッションフェスタが
ついに新潟県に初上陸!

2026年7月18日、史上最大級のファッションフェスタ「NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION」が朱鷺メッセにて開催されました!

開催が3月末に発表されて以来、多くの人から注目されていたこのイベント。チケットは異例のスピードで完売し、ネット配信を含めると当初の予想を上回る、のべ約126万人もの観客が視聴。その注目度の高さが数字にもはっきりと表れていました。

西山茉希さんが着物姿でランウェイを歩いている
長岡市出身のモデル、西山茉希さんが塩沢紬を身にまといランウェイに。
©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION

10のブランドによるファッションショーや、〈NGT48〉をはじめとする9組のアーティストによるライブなどとともに行われたのが、「伝統の継承」をテーマとした新潟県によるスペシャルステージ「NIIGATA KIMONO TO THE FUTURE STAGE」。

新潟県が誇る伝統産業である着物の魅力を伝えるこのスペシャルステージには、西山茉希さんやシークレットゲストのHIKAKINさんなど、新潟県出身のタレントも登場して会場を盛り上げました。

イベントに登場したHIKAKINさん
妙高市出身のHIKAKINさんは、「着物リメイクプロジェクト」のディレクター、杉浦充宜さんデザインの衣装で登場。帯や羽織で使われるジャカード織の生地を使ったタキシードに身を包んだHIKAKINさんがステージに現れると、客席のあちこちから歓声が上がりました。
©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION

ランウェイで披露されたのは、塩沢紬、十日町友禅、小千谷紬の着物と、着られなくなってしまった着物を現代風にリメイクした3着の衣装。「着物リメイクプロジェクト」として衣装の制作を今春から進めていたのが、新潟県十日町市を拠点に活動するファッションデザイナーの杉浦充宜(みつよし)さんと、長岡造形大学、新潟市の国際トータルファッション専門学校に通う学生たちです。

フリンジに着物を使った衣装で登場した川口ゆりなさん
川口ゆりなさんが長岡造形大学制作の衣装で登場。襟や袖口のほか、印象的なフリンジに着物生地を使用。
©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION
コート姿で登場した青島心さん
青島心さんが着用しているのが国際トータルファッション専門学校制作の衣装。シックなコートにも着物の生地を使っています。
©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION
コートを脱いで中の衣装を披露
コートを脱ぐと、また全然違うアイデアで着物があしらわれています。
©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION

「着物リメイクプロジェクト」
の裏側と学生たちの挑戦

「着物リメイクプロジェクト」のディレクターを務めた杉浦さんは、イギリスや日本の専門学校でテーラードについて学んだあと、〈ルイ・ヴィトン〉でテーラリングスペシャリストとして勤務。その後、自身のブランドを立ち上げ、縁あって2021年に十日町市に移住しました。

〈Mitsuyoshi Design Studio〉の杉浦充宜さん
〈Mitsuyoshi Design Studio〉の杉浦充宜さん。

それまでは着物についての知識はほぼなかったという杉浦さんですが、まちには箪笥の肥やしになってしまっている着物や反物が大量にあることを知り、それらをワンピースやシャツ、シューズ、ネクタイなどに再生する活動をスタート。そして2026年3月にはパリ・ファッションウィーク(パリコレ)に自身のブランドを初出展させるなど、第一線で活躍しています。

細かなディテールが際立つ真っ白なドレス
着物をリメイクし、洗練されたデザインのドレスに。(写真提供:Mitsuyoshi Design Studio)
金色の帯を使ったスニーカー
帯をリメイクしたスニーカーもかっこいい!(写真提供:Mitsuyoshi Design Studio)
パリ・ファッションウィークでのショーの様子
パリ・ファッションウィークでのショーでも、着物リメイクのネクタイなどをお披露目。(写真提供:Mitsuyoshi Design Studio)

そんな杉浦さんが「着物リメイクプロジェクト」のディレクターとなり、4月下旬、長岡造形大学、国際トータルファッション専門学校の学生たちと、日本有数の着物の総合産地である十日町市での産地学習会を実施しました。

地域に根づく織物文化への理解を深めるために、十日町市博物館で産業の歴史や文化を学び、織物工場と染物工場で工程を見学。このときの学生たちの反応を見て、杉浦さんはディレクターという立場ながらも、彼女たちと同じ目線の高さで話すようになったと言います。

「産地学習会が終わったあと、『見学した工場やメーカーさんと卒業後にコラボしたい』とか『着物産業を盛り上げるために、私たちが役に立てることがあるんじゃないか?』と学生たちがしきりと話をしていたんです。その様子を見て未来は明るいなと感じましたし、僕も身が引き締まる思いをしました」

産地学習会のあとは、それぞれ学生たちがデザインを進め、杉浦さんがフィードバックするなどのやり取りを重ね、5月下旬には、杉浦さんが各校を訪れて仮縫いのサンプルを確認する、トワルチェックと呼ばれる作業が行われました。

長岡造形大学の学生たちは、着物の生地を細く裂いたようなヒラヒラのフリンジで、日本海の波を表現した衣装をデザイン。

仮縫いのトワルチェック中の杉浦さん
長岡造形大学で仮縫いのトワルチェックをする杉浦さん。
2人の学生が着物を解体している
リメイクは着物の解体から。授業で古着の解体はしたことがあったものの、着物の解体は初めてだったという学生たち。
生地をスカイブルーに染めている
フリンジで日本海の波を表現するため、生地をブルーに染めることに。(写真提供:長岡造形大学)

トワルチェックの日に用意されていたのは、杉浦さんが予想していた以上に完成度の高い仮縫いのサンプル。その出来栄えに、現時点では足りていない技術を補うほどの熱量を持って、学生たちがプロジェクトに取り組んでいるのを実感したと杉浦さんは言います。

長岡造形大学で用意されている巨大なレーザーカッター
長岡造形大学にはさまざまな設備が充実。最新のレーザーカッターで繊細な線や模様もデータどおりにカットすることが可能。
四角く切り抜かれた着物の端切れ
レーザーカッターで切り抜いた端切れ。手作業とテクノロジーを組み合わせて制作。
トルソーに細長い着物生地が何本も仮止めされている

また国際トータルファッション専門学校の学生たちは、着物の生地でつくった折り紙を彷彿とさせるパーツでデコレーションされた衣装をデザイン。「仮縫いを見るまでは正直ちょっと緊張していましたが、あまりの出来栄えに、彼女たちならアドバイスをするだけで大丈夫だなと思いました」と杉浦さん。

国際トータルファッション専門学校でのトワルチェックの様子
国際トータルファッション専門学校でのトワルチェック。
試着した様子を見ながら細部を調整している
実際に試着してのチェックや、ランウェイを想定し、歩いたときの見え方を確認しながら調整。
着物で作ったリボンないくつも連なっている装飾
着物の生地でリボンのようなパーツをつくり、ドレスに装飾。
着物地のリボンをミシンで縫っている
パーツのひとつひとつも丁寧に。

「チェックでは、実際にデザイン画どおりの衣装をつくるにはどういう生地を使うのがいいとか、モデルが歩いたときに理想的な揺れ方をするためにディテールをどう縫うかなど、かなり具体的なアドバイスをしました。ものにもよりますが、着物の生地はすごく繊細なので、頭の中にあるデザインを思いどおりの形にすることが難しいんですよ」(杉浦さん)

デザイン画を手にしている手元
4人のデザインを少しずつ取り入れて、最終的なデザインに落とし込んだそう。「実際に形にするとなると、プロのデザイナーでも試行錯誤が必要なレベルのもの」と杉浦さん。

そして6月下旬に衣装の最終チェックを終え、7月18日、ついに本番を迎えたのでした。

若者たちが踏み出したクリエイティブな一歩

インタビュー中の長岡造形大学の学生2人
左から長岡造形大学3年生の山田和希さん、4年生の五十嵐桃さん。ともにデザイン学科のファッション専攻。

学生たちにとって、今回の「着物リメイクプロジェクト」はとても貴重な機会となったよう。長岡造形大学の五十嵐桃さんは、「杉浦さんのように第一線で活躍されている方から直にアドバイスをいただけて、とてもいい勉強になりました。貴重な経験ができたと思っています」と手応えを話します。

国際トータルファッション専門学校の藤井妃那さんは、「十日町に見学に行ったときに着物や織物産業の現状を知り、より多くの人に着物の魅力を伝えなければという思いが深まりました。今回のプロジェクトは自分が成長できる機会だと思っています」と、今回のプロジェクトの意義を語ります。

インタビュー中の国際トータルファッション専門学校の学生4人
左から国際トータルファッション専門学校3年生の齋藤雪華さん、遠藤友里奈さん、藤井妃那さん、石附莉乃さん。

無事ステージを終えた同校の齋藤雪華さんは、「チームで試行錯誤しながらつくった最高の一着を、こういう大きな舞台で発表できて忘れられない思い出になりました。着物の新たな魅力を、多くの方に知っていただく機会になったと感じています」と語っていました。

ショー終了後のステージ遠景。スクリーンには学生たちが衣装を製作する過程が映し出されている
ショー終了後には新潟県知事とともに、杉浦さん、長岡造形大学を代表して五十嵐桃さん、国際トータルファッション専門学校を代表して齋藤雪華さんが登壇し、プロジェクトの紹介をしました。
©NAMICS presents TGC NIIGATA 2026 by TOKYO GIRLS COLLECTION

「着物リメイクプロジェクト」終了後も、自身の活動として着物のリメイク活動を続けていくという杉浦さん。その根底にあるのは、活動の拠点となっている十日町市や新潟県への想いです。

「ひとりでも多くの人に十日町市や新潟のよさを知ってもらいたいと考えています。また、十日町市で着物のリメイクをしている僕が注目されれば、着物業界にもスポットライトが当たると思うので、機会があれば県内外やパリ以外のヨーロッパの都市も回りたいですね。

ただ忘れてはいけないのは、その活動の背景には僕を支えてくれている十日町市や新潟県のみなさんの存在があること。その延長線上に、県外や海外での活動があると感じています」

インタビュー中の杉浦充宜さん

学生たちからは、今回の経験が今後いろいろな場面で生かせるのではという声も聞かれ、それぞれの夢に向かって一歩踏み出す自信につながったようです。観客たちにも大きなインパクトを残した「NAMICS presents TGC 新潟 2026」と「着物リメイクプロジェクト」。華やかな舞台は幕を閉じましたが、ここからまた新たな才能や可能性が生まれるかもしれません。

談笑する長岡造形大学の学生4人
笑顔で会話中の国際トータルファッション専門学校の学生4人

credit text:林みき photo:歸山芳文