自然豊かな公園や商店街、里山のふもとなど、近年は新潟県内でも開催地の地形や風土を生かしたイベントがたくさん開催されるようになりました。こうしたイベントに行って知ることができるのは、その地の豊かさ。主催者や出店者からは土地の風土を、訪れる人の表情からはその地がどれだけ愛されているかを感じとることができます。
移住をする前に気になるのは、どんな人がいて、どんな風土があって、どんな暮らしができるかではないでしょうか。そこで今回は、人や風土、暮らしを感じられる青空イベントのなかから、下越エリアのものをピックアップ。それぞれのイベントから、その土地ならではの風土を探ってみました。
新潟市中心街の鳥屋野潟(とやのがた)が舞台〈潟マルシェ〉
今回うかがったのは、2021年10月10日に新潟市中央区で開催された〈潟マルシェ〉。例年、8月を除く5〜10月の第2日曜日に開催されているイベントで、県内各地から多くの出店者が集まります。
〈潟マルシェ〉が開催されているのは、新潟駅から車で約10分でありながら、潟を中心とした生態系がかたちづくられている自然豊かな一帯。約21ヘクタールの鳥屋野潟公園は、市街地に住む人にとって生活の近くで自然を感じられる憩いのスポットです。
エシカルな暮らしのきっかけになるマルシェ
そんな鳥屋野潟公園の一画で開催されている〈潟マルシェ〉。暮らしのなかで環境や社会、地域に目を向けた選択をするきっかけになればと「エシカル&クラフトライフマーケット」といったコンセプトを掲げています。運営に携わる松浦柊太朗(まつうらしゅうたろう)さんは、「新潟らしい暮らし方の提案の場にしてほしい」と想いを語ってくれました。
「潟マルシェに出店してくださるお店は、生産者さんや制作工程に自然と目が向くものばかり。例えば自然栽培や有機栽培でつくられた野菜を販売しているお店では、農家さん自身や育て方、食べ方に興味を持ってくれる人もたくさんいるんですよ。こうした興味のあるお店に触れて、直接遊びに行ったり、定期的に購入したり、日々の暮らしを少しだけ豊かにするお手伝いができたら何よりうれしいですね」
鳥屋野潟の水辺の美しさ、人と潟の豊かな関係性をつないでいきたいと自然と触れ合うワークショップも開催する〈潟マルシェ〉。参加したお子さんが虫取りをするために別日に鳥屋野潟公園を訪れるなど、人と潟の新たな関係性も生まれてきているようです。
最後に松浦さんに〈潟マルシェ〉の展望についてうかがうと、「必要以上に大きくしなくてもいいかなと今は思っていて。日常のなかにあるマルシェとして継続していきたいです」とマルシェの立ち位置と訪れる人の暮らしとを重ねて話してくれました。
新潟市中心街にある自然豊かな鳥屋野潟公園。そこで出合う人や品物、水辺の生態系を知るワークショップなどを普段の暮らしに少しだけ取り入れることで物事の視点が変わる。そんな出合いの場となるイベントが〈潟マルシェ〉なのかもしれません。
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