新潟のつかいかた

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半農半Xや6次産業化など、
新しい農業のかたちを実現した3人 Posted | 2020/10/09

新潟で農ある暮らしを始めてみませんか?

地方移住が注目されるなかで、農や里山暮らしを取り入れたいと考える人も多いのではないでしょうか。豊かな自然のなかで、仕事も、農も、丸ごと楽しむ。そんなライフスタイルを実践する3人に農との接し方、人との向き合い方、普段の暮らしについてお話をうかがいました。

新しい共同体を目指して。仲間と楽しむ、農ある暮らし

週末農業グループ〈まきどき村〉

新潟市西蒲区福井集落で活動する週末農業グループ〈まきどき村〉。毎週日曜に地域内外から人が集まり、農ある暮らしを楽しんでいます。その中心人物のひとりが、まきどき村に通ううちに集落に移住した唐澤頼充(からさわよりみつ)さんです。

唐澤頼充さん

Profile 唐澤頼充さん

仕事:編集・ライター、ながおか市民協働センター・アドバイザー 1985年生まれ。⻑野県伊那市出身。マーケティング会社で4年勤めた後、ライター業を始める。2014年に〈まきどき村〉の活動を知り、参画。2017年に活動拠点となる集落に移住し、田んぼ・畑仕事を楽しんでいる。 web:まきどき村

効率を求められる仕事の世界とは異なる、農での時間の使い方

まきどき村の活動拠点〈福井旧庄屋佐藤家〉
築250年以上の〈福井旧庄屋佐藤家〉がまきどき村の活動拠点。新型コロナウイルス感染症拡大以前は、かまどでご飯を炊いて、みんなで囲炉裏を囲んで食事を共にしていた。

唐澤さんがフリーランスのライターとして活動を始めた頃、知人から紹介されたのがまきどき村でした。何度も参加するうちに、仕事と農の時間感覚の違いに気づいたそうです。

「仕事では、より速く、効率的に進めることを考えていました。けれど、野菜は手をかけたからといって育つスピードを変えられない。もどかしいけど、その時間の流れが自然だと感じたんですよ」

常に生産性を求められる仕事の世界で生きてきた唐澤さんにとって、土に触れ、野菜が育つのを待つことは心が穏やかになる時間だったそうです。こうした経験や、子どもが生まれたことから「もっと農に近い生活をしたい」と、2017年に集落に移住しました。

農でつながる、新しい共同体をつくりたい

野菜を植えるメンバー
じゃがいも、大根、ネギ、オクラなど、メンバーが自由に好きな野菜を植えて気楽に農を楽しむ。

集落に移住し、農がより身近になった唐澤さんの周りには、気づけば農と暮らしを一緒に楽しむ仲間が増えていました。

まきどき村のメンバーは、基本的に農とは別の仕事をしていて、各自のペースで田んぼや畑に通っています。「お米や野菜で稼ぐわけではないから、うまく育てられなくても気にしない。気楽に農と向き合えています」と、農業を仕事にしない利点もたくさんあるようです。

家族で農作業中の参加者
子どもを連れて参加する家族も多い。気づけば毎週集まる親戚のような関係性に。

唐澤さんが集落に移住してから、まきどき村では田んぼを始めたり、畑を増やしたりと農を楽しむ場面が多くなりました。その分、多くの人の手が必要。だから、ちょっとした手伝いでも感謝される温かい場所でもあります。唐澤さんはそんなまきどき村を、会社とも、農村共同体とも異なる、新しい共同体にしたいといいます。

「昔はみんなで農作業をしていたから、地域の共同体が豊かだったんですよね。今の社会は放っておけば、ひとり、あるいは家族とだけで日常生活が完結してしまう。その点、農って“関わりシロ”がたくさんある。まきどき村での共同作業を通じて新しい共同体が生まれればいいなと思っています」

伸び伸びと過ごせる自然のなかで過ごす休日

山を散策する子どもたち
近くには自然の遊び場がたくさん。山を散策するだけでも、子どもにとっては冒険のよう。

休みの日には、子どもを連れて田んぼや畑に行くだけでなく、小さな川でサワガニをとったり、トンネルを抜けて海に出たりと、自然のなかで過ごす時間も多くなりました。山も海も近い福井集落の周囲には、子どもが伸び伸びと遊べる場所がたくさんあるそうです。

川遊び中の子ども
岩場が集まる川も。6月には川辺でホタルが舞い、幻想的な光景となる。

最近はまきどき村の仲間から「釣りしたいね」なんて声も上がっているそう。一緒に農作業をしたり、釣りをしたり、趣味を一緒に楽しんでいる仲間がいることが、農ある暮らしを身近なものにしているのかもしれません。

ウコン農家山崎一一(かずいち)さんと田中美央さん

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