温泉旅の楽しみは、さまざまな泉質のお湯に出合えたり、趣向を凝らした温泉施設に泊まれたり、行く先々でその温泉地の個性を味わえるところにあるのかもしれません。ましてや、全国の名湯を訪ねてきた温泉のプロならば、そのこだわりはなおのことです。
今回の企画は、3名の温泉のスペシャリストの方々にそれぞれの専門性や温泉選びのポイントに合わせて、そのこだわりを存分に満たせる新潟の温泉地をご紹介いただきました。
選者には、新潟県長岡市出身で、にいがた観光特使を務め女子大学で「観光温泉学」を教える山崎まゆみさん、温泉ビューティ研究家でトラベルジャーナリストの石井宏子さん、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』の著者で、OLながら温泉オタクの一面を持つ、ながちさんこと永井千晴さんの御三方をお招きしました。
日本全国の温泉を旅してきたからこそ磨かれた、御三方の審美眼ならぬ、“審泉眼”に止まった新潟の温泉を見ていきましょう。
家族を連れて行きたい「親孝行温泉」
【松之山温泉(十日町市)/山崎まゆみさん】
私の独自のテーマは「親孝行温泉」(山崎が命名)。老いた親も利用しやすく、喜んでもらえる「親孝行」ができる温泉宿のことです。バリアフリーを意識しながら、3世代が楽しめる洗練された客室があり、客室の貸切風呂には源泉が引かれている、家族の温泉旅行にぴったり。それが理想の「親孝行温泉」です。
一番のお気に入りの「親孝行温泉」は、松之山温泉〈ひなの宿 ちとせ〉です。名湯・松之山温泉のなかでも、〈ひなの宿 ちとせ〉はユニバーサルデザインの部屋に、貸切風呂もあるやさしいお宿。温まり感抜群で、冷え性の女性、冷え性になりがちな高齢者にもおすすめしたいです。
お湯はほんのりとした和風アロマとも言えるやさしい匂い。そして、松之山の楽しみはお湯だけでなく、新潟県十日町市のブランド豚「妻有ポーク」を松之山温泉の熱で調理した〈湯治豚〉も柔らかく、親子3世代で楽しめます。また、ご主人と女将のあたたかい人柄も、温泉以上にほかほかに温めてくれます。
〈ひなの宿 ちとせ〉の詳細
にいがた観光ナビ:ひなの宿 ちとせ|https://niigata-kankou.or.jp/reserve/30941
Profile 山崎まゆみさん
新潟県長岡市生まれ。温泉エッセイスト・跡見学園女子大学“観光温泉学”講師。VISIT JAPAN大使(観光庁任命)として日本の温泉文化を国内外に広く発信。「新潟県の魅力を考える懇談会」委員や「新潟プレミアサロン」のコーディネーターも務める。著作は『行ってみようよ!親孝行温泉』『女将は見た 温泉旅館の表と裏』ほか。
吊り橋を渡った先に…秘境感あふれる名湯
【鷹の巣温泉(岩船郡関川村)/石井宏子さん】
吊り橋を渡っていく「はるばるきた秘境の温泉」の雰囲気に気分が盛り上がります。泉質は、体の芯までしっかり温まる塩化物泉。部屋の温泉は源泉のバルブを自分で調整できるので、自分好みに温度調整をして湯守気分が楽しめます。
鷹の巣温泉のお宿ではそれぞれ、工夫をこらした美食が味わうことができ、なかでも一軒家スタイルの離れ客室が点在する〈鷹の巣館〉が私のお気に入りです。
部屋の温泉で誰にも気兼ねなく温泉を独占するプライベートな時間を楽しみます。そして、この宿は食事が何より楽しみ。秘湯にある温泉宿と思えぬ、美しくておいしい「美食」を堪能できます。
〈吊り橋と離れの宿 鷹の巣館〉の詳細
にいがた観光ナビ:吊り橋と離れの宿 鷹の巣館|https://niigata-kankou.or.jp/reserve/41823
Profile 石井宏子さん
温泉ビューティ®研究家、旅行作家。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。温泉や食、自然環境を通じて美しくなるビューティツーリズムを研究。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、温泉入浴指導員、日本旅のペンクラブ理事。著書『全国ごほうびひとり旅温泉手帖』『感動の温泉宿100』『温泉ビューティ』ほか。
全国有数のラジウム泉が堪能できる小さな温泉地
【栃尾又温泉(魚沼市)/永井千晴さん】
数軒の旅館が立ち並ぶ小さな温泉地で、全国有数のラジウム泉が湧いています。湯治目的の利用が多く、ぬるくてやさしい湯が特徴。新幹線停車駅の浦佐駅が最寄りのため、東京からも比較的アクセスしやすいのもポイントです。
私のおすすめは〈自在館〉。女ひとりでも泊まれるモダンなプチ湯治宿で、食事も体にやさしくおいしいのも魅力です。
〈栃尾又ラジウム温泉 自在館〉の詳細
にいがた観光ナビ:栃尾又ラジウム温泉 自在館|http://yoyaku.niigata-kankou.or.jp/dom/h/h054051.html
Profile 永井千晴さん
学生時代に温泉メディアのライターとして、半年間かけて日本全国の温泉を取材。その後、旅行情報誌『関東・東北じゃらん』編集部に2年在籍し、退職後は別業種で会社員をしながら、Twitterやブログで温泉の情報を発信している。現在も休みを見つけてはひとり温泉へ出かける、市井の温泉オタク。国内外合わせて約500の温泉に入湯。好きな言葉は「足元湧出」。
温泉大国ニッポンにおいて、新潟は他県に比べて「泊まって、遊べる、“温泉を堪能できる”温泉県」だといいます。源泉の数や湧出量の上位は他県にゆずるものの、温泉地の数や、宿泊施設の数、宿泊定員数は全国有数で、温泉を存分に楽しめる環境がそろっているといえる数少ない場所です。選者の御三方のように、あなたならではのとっておきの温泉を探してみてはいかがですか。
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