東京駅から上越新幹線に乗って１時間で到着する“東京から一番近い新潟”の中越エリア。

江戸の頃まで越後国（えちごのくに）と呼ばれていた新潟県は、京都に近いほうを上越後（かみえちご）、遠い方を下越後（しもえちご）と呼んでいたことから、その中間を中越後（なかえちご）といい、現在も新潟県の中央部を「中越（ちゅうえつ）」と呼んでいます。その範囲は広く、十日町市、長岡市、柏崎市、小千谷市など、山間部から海辺まで、新潟アイコニックな絶景がたくさんあります。

今回は一生に一度は見てみたい絶景を集めてみました。

自然とアートが出合った奇跡的な景勝地〈清津峡渓谷トンネル〉

Ⓒマ・ヤンソン/MADアーキテクツ『Tunnel of Light』

もともと景勝地として知られていた大峡谷・清津峡ですが、1988年に清津峡を望む登山道にて落石事故があり、通行禁止に。その後、地元や観光客からの峡谷美を見たいという要望を受け、安心安全に峡谷を鑑賞できる歩道トンネルの建設が決定。そして、1996年に〈清津峡渓谷トンネル〉が開坑しました。年間５万人の来場者がありましたが、さらに注目が集まるようになった転機は〈大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ〉（以下「大地の芸術祭」）によるリニューアルでした。

中国出身の建築家マ・ヤンソンの手によって、絶景が水鏡に映るアート作品『Tunnel of Light』に生まれ変わり、来場者が３倍に。いまではSNSを賑わせる有名な絶景スポットです。

新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みて開催を延期していた「大地の芸術祭」ですが、2022年４月29日（金・祝）〜11月13日（日）の実施が決定。写真だけでは伝わらない迫力のある絶景を体感しに行くことができます。

国内屈指の“花火県”で見る「越後三大花火」

左から「川の長岡」「山の片貝」「海の柏崎」

いまや全国区となった長岡の花火ですが、花火がすごいのは長岡市だけではないのです。花火を打ち上げる地理的条件と職人に恵まれた中越エリアには「越後三大花火」と呼ばれる有名な花火大会があります。日本一長い信濃川で上がるため「川の長岡」と呼ばれる〈長岡まつり大花火大会〉、世界一大きな正四尺玉を打ち上げる「山の片貝（かたかい）」〈片貝まつり浅原神社秋季例大祭〉、海と空に打ち上げられた花火が日本海を彩る「海の柏崎」〈ぎおん柏崎まつり 海の大花火大会〉があります。

2022年の開催はまだ未定ですが、一生に一度は、新潟の本気の花火を味わってみてはいかがでしょうか。

まるで天然のフォトスタジオ〈美人林〉

十日町市にある〈美人林〉は、美人の立ち姿のようにまっすぐに伸びた木々が美しいブナ林です。ここは、かつて炭をつくるためにすべての木を伐採したところ、太陽の光が均等に届いたため高密度で成長し、現在のような美しいブナ林ができあがりました。

美人林は、四季を通してそれぞれの美しさがありますが、冬は雪のレフ板効果も相まって、美しいポートレートが撮れるでしょう。隣接する十日町市立里山科学館〈越後松之山「森の学校」キョロロ〉では、スノーシューのレンタルも。有料ガイドをお願いすれば、自然への理解が深まり、景色がいっそう美しく見えます。

日本酒とフレンチのマリアージュが楽しめる〈松之山温泉 酒の宿 玉城屋〉

十日町市の山間に「松之山温泉」があります。ここは群馬の草津温泉や兵庫の有馬温泉と並ぶ“日本三大薬湯”のひとつといわれ、約1200万年前の地下海水を源泉としています。その効能は環境省が定める「療養泉」の有効成分を基準値の15倍も含むほど。そんな古き良き温泉街にあるのが〈松之山温泉 酒の宿 玉城屋〉。新潟地酒と地元食材を生かしたフレンチのマリアージュが楽しめる温泉宿です。

宿の４代目当主・山岸裕一さんは、酒匠（さかしょう）、ソムリエ、利き酒師などの資格を持つ“お酒のスペシャリスト”。夕食では〈ミシュランガイド新潟2020特別版〉で一つ星を獲得したフレンチ料理にあわせて、山岸さんが宿泊客のお好みの日本酒を選んでくれます。
食後は「アートとお酒」をテーマにした露天風呂付き和洋室の客室〈椿〉でゆっくり過ごしましょう。風景を絵画に見立てた窓を眺め、杯を傾けるのは、ここでしかできないかけがえのない体験です。

若い時にこそ上質な新潟の魅力を体験してほしい

海も山もあり、広い新潟県には、それぞれの土地に魅力的なスポットがたくさんあります。旅の楽しみ方はさまざまですが、上質な魅力に触れる体験は、その後の人生を一変させるかけがえのないものになるはず。だからこそ、ぜひ、若い方に旅してほしい！

「新潟のつかいかた」では「若い時にこそ上質な新潟の魅力を体験してほしい」をテーマに、34歳以下の旅好きな方に向けてちょっと贅沢な「U34新潟旅」ができる企画を実施。〈松之山温泉 酒の宿 玉城屋〉での宿泊体験が気になった方はTwitterでハッシュタグ「#日本酒と食の温泉宿」をチェックしてみてくださいね。（2022年３月30日まで）

credit　text：コヤナギユウ