東京駅から上越新幹線で２時間、終点の新潟駅がある新潟市は、実は港町でもあります。古くは平安時代の法典「延喜式」に記載され、明治初期、文明開化を進めた開港五港のひとつでもあります。早くから異国船との貿易があり、現在も本州日本海側最大の国際貿易港です。

新潟市など県の北側一帯を含む下越エリアは、北前船で栄えた豪農の館や、異国情緒を感じられる洋館も点在します。今回はそんな下越エリアで、海外旅行気分を楽しめるスポットをご紹介します。

エシカルでローカルな市場巡り〈潟マルシェ〉〈沼垂テラス〉

左から〈潟マルシェ〉〈PICKNIC〉〈沼垂テラス商店街朝市・冬市〉

新潟駅から車で約20分。市街地の真ん中に新潟市で２番目に大きな潟、鳥屋野潟（とやのがた）があります。潟を中心に公園が広がり、園内にある〈ユスリカの森〉で開催されているのが〈潟マルシェ〉です。
開催は例年８月を除く５〜10月の第２日曜日。テーマは「エシカル＆クラフトライフマーケット」で、ファーマーズマーケットなどを通して生産や加工などその背景に関心が向き、新潟らしい豊かな暮らしを見つけるきっかけにしてほしいというもの。

また、ゴミ拾いをアクティビティとした〈PICKNIC（ピックニック）〉を実施。漁師さんの「板合わせ舟（木舟）」に乗り込み、鳥屋野潟へ漕ぎだしてのゴミ拾いは子どもたちにも人気です。

港近くの沼垂（ぬったり）テラス商店街で開催される〈沼垂テラス商店街朝市・冬市〉も趣があります。毎月第１日曜、４〜11月は朝８〜12時で朝市を、12〜３月は10〜14時で冬市を開催し、かつて賑わった長屋の朝市場を受け継いでいます。その賑わいはアジアのマーケットさながら。マルシェ（市場）を通して、その土地に触れてみる旅もいいですね。

高原リゾートの中にあるドイツビール工房〈胎内高原ビール〉

新潟駅からJR羽越線で１時間、JR中条駅から乗合タクシーで１時間ほどの場所に、胎内市の高原リゾートがあります。温泉付きのリゾートホテルや、フラワーパーク、ワイナリーなどが車で10分程度の場所に集まっています。

ここで目を引くのがドイツを思わせる木組み装飾が美しい〈胎内高原ビール園〉。胎内高原ビールはドイツで定められている「ビール純粋令」に則った製法で、胎内高原のミネラルウォーターを使ったプレミアム・クラフトビールをつくっています。ここではビールの販売が中心です。ピルスナー、アルト、ヴァイツェンなど、正統派定番ビールに並び、新潟産コシヒカリを使用した〈吟籠（ぎんろう）IPA〉といった気になる銘柄も。一度は味わってみたい一杯です。

山と海と砂に囲まれ、個性的なワイナリーが集まる〈新潟ワインコースト〉

新潟市の市街地から車で40分、日本海と角田山にはさまれた砂地に〈新潟ワインコースト〉があります。1992年、〈カーブドッチワイナリー〉が、この地に国産の欧州系のワイン専用ぶどうでワインをつくるという目標を掲げ、ワイン畑を開墾しました。いまでは14ヘクタールのワイン畑の中に、５軒の個性的なワイナリーをはじめレストランやベーカリー、スパリゾートなどが揃います。ワイナリーツアーに参加すれば、ブドウ畑へ立ち入ることも可能。ワインづくりを身近に感じられそうです。

カーブドッチワインと料理を愉しむオーベルジュ〈トラヴィーニュ〉

2019年11月、〈カーブドッチワイナリー〉に新オーベルジュ〈トラヴィーニュ〉がオープンしました。オーベルジュとは、フランスを発祥とする宿泊型レストランのこと。「TRAVIGNE（トラヴィーニュ）」とはラテン語由来の「TRANS（越えて、抜けて）」と「VINGE（ブドウ畑）」を合わせた造語で、「ブドウ畑を抜けて」という意味です。その名の通り、ホテルに着くと目に飛び込んでくるのは広大なブドウ畑。ワインを味わうだけではなく、ワイナリーで過ごす時間も味わい深いものになりそうですね。

客室はたったの10室。豪華であることよりも「行き届く」ことを重視したといいます。高い天井まで伸びる大きな窓からは、角田山のふもとに広がるブドウ畑が見渡せます。部屋には〈カーブドッチワイナリー〉で人気のワイン「どうぶつシリーズ」にちなんだ名前がつけられ、それぞれの動物をイメージしたインテリアにこだわっています。

夕食は９皿からなるフレンチのコース。地元食材を生かしたひと皿をワインが引き立てます。朝は焼きたてパンの香りで目覚め、ステキな一日の始まりを知らせてくれます。

若い時にこそ上質な新潟の魅力を体験してほしい

海も山もあり、広い新潟県には、それぞれの土地に魅力的なスポットがたくさんあります。旅の楽しみ方はさまざまですが、上質な魅力に触れる体験は、その後の人生を一変させるかけがえのないものになるはず。だからこそ、ぜひ、若い方に旅してほしい！

「新潟のつかいかた」では「若い時にこそ上質な新潟の魅力を体験してほしい」をテーマに、34歳以下の旅好きな方に向けてちょっと贅沢な「U34新潟旅」ができる企画を実施。〈トラヴィーニュ〉での宿泊体験が気になった方はTwitterでハッシュタグ「#ワイナリーステイ」をチェックしてみてくださいね。（2022年３月30日まで）

credit　text：コヤナギユウ