「きりざい」は、つくりたてが一番おいしい
「南魚沼きりざい丼」の材料はこちら。左上から時計回りに、野沢菜、白いたくあん、スモークサーモン、かぐら南蛮の塩麹漬け、そして、全体をまとめる大粒の納豆です。
野沢菜は、まず食感が異なる茎と葉の部分を切り分けます。
茎は、歯ごたえが残るくらいの5ミリ幅に。葉の部分は、茎よりも小さく刻みます。葉が大きく残ると、食べたとき歯ざわりがよくないのだとか。
「若い野沢菜は緑が鮮やかで彩りもよいですが、おいしさのことを考えたらしっかりと漬かった野沢菜がおすすめですね」(南雲さん)
たくあんも、野沢菜と同じ大きさにそろえて、みじん切りにします。たくあんはどんなものでもよいですが、白いたくあんを使うと納豆や野沢菜と混ぜ合わせたときに、彩りがよくなります。
大粒の納豆は歯ごたえを残しつつ、粗くたたき、野沢菜やたくあんとなじみやすくします。
「どうせたたくなら、『最初からひきわり納豆を使えばいいじゃないか』とも言われるのですが、粘りがぜんぜん違うんです。ですから、納豆は食べる直前にたたきます」(南雲さん)
こうして細かく刻んだ具材をボウルに移して混ぜ合わせます。分量のバランスは、「納豆:野沢菜:たくあん=2:2:1」が目安。
「きりざいはつくり置きができないんですよ。あらかじめ刻んでしまうと、歯ごたえがなくなってしまうから。食べる直前に材料を一気に刻むのが、おいしいきりざいをつくる秘訣です」(南雲さん)
シンプルな一品だからこそ、おいしさを引き出すための努力は惜しみません。
続いて、南雲さんが取り出したのが、特製のだし醤油のボトル。ラベルには「きりざいのタレ」と書いてあります。
「南魚沼きりざい丼のためにつくった、非売品の秘伝のタレです。だしが入っているので、ほんの少しだけ甘みを感じると思いますよ」(南雲さん)
この特製の「きりざいのタレ」をひとたらし。かつおぶしも加えて、全体を一気に混ぜ合わせます。
続いて、ご飯の準備です。ピカピカに光る南魚沼産コシヒカリの上に、白ごまを振り、スモークサーモンを置きます。
南魚沼市を流れる魚野川では鮭がとれ、古くから貿易の要になっていたそうです。
「鮭は魚沼の歴史に深く関わるので、ぜひメニューに取り入れたいと考えていました。ですが、地元産の鮭は数が少ないので、ここでは入手しやすいスモークサーモンで代用しています」(南雲さん)
ここに先ほどつくったきりざいと刻み海苔をのせて、「南魚沼きりざい丼」の完成です。
できたてはとてもおいしそう! 見ているだけで、お腹が減ってきました。