新潟のつかいかた

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〈ごはん同盟〉がつなぐ、
ふるさとのレシピ
世代を超えて受け継がれる
南魚沼の郷土料理「きりざい」 | Page 3 Posted | 2021/03/19

子どもたちに伝えていきたい郷土の味

それでは、さっそくいただきましょう!

きりざい丼を前にして「いただきます」

「具だくさんで、ボリュームあるねぇ!」

実食中のごはん同盟のお二人

まずは、きりざいだけでひと口。

野沢菜の塩気、たくあんの甘み、納豆の旨みが、口の中でほどよく絡まりあいます。納豆と同じ大きさにそれぞれの食材を切り分けたので、歯ごたえも心地よいですね。

続いて、ご飯と一緒にひと口。

納豆と野沢菜とたくあん。これがご飯に合わないわけがありません。納豆のほどよい粘り気がご飯ときりざいをつなぎ合わせ、一体感がさらに増しているように感じました。これは一気にかき込んでしまいますね。

スモークサーモンをほぐしながら食べ進める

ご飯との間に置いたスモークサーモンをほぐしながら食べ進めると、ほどよい塩気と燻製の香りで味わいに深みが増しました。途中で、どんぶりの端に添えた、かぐら南蛮の塩麹漬けもよいアクセントになっています。

かぐら南蛮は、新潟県中越地方や上越地方で栽培されている唐辛子の一種。しわの寄ったゴツゴツとした形が神楽のお面に似ていることから、「かぐら」の名がついたといわれています。

この清涼感ある辛味が加わると、また食が進みます。あー、ご飯って本当においしい!

添えられた、かぐら南蛮の塩麹漬け

南魚沼の郷土料理として古くからあった「きりざい」ですが、大きく注目を集めるようになったのは、地域おこしの企画がきっかけでした。

南魚沼らしさが伝わるご当地メニューを考える際に、カレーなどをはじめ、いろいろなメニューを考えてみたそうなのですが、どれもほかのエリアにもありそうな料理ばかり。そんなとき、南魚沼に嫁いできたある女性のひと言が、ヒントをくれました。

「きりざいじゃ、ダメなのかしら?」

きりざいは、学校給食でも提供されるほど、南魚沼の食文化に根づいた料理。しかも、子どもから大人まで食べる人を選ばす、特産であるコシヒカリとの相性も抜群です。

そうして誕生した「南魚沼きりざい丼」は、県外のファンも多く、この料理を目指して多くの観光客が南魚沼を訪れています。

「きりざいには、南魚沼の歴史と風土が詰まっていますからね。いつ食べても飽きない味だし、低カロリーで健康的。自信を持っておすすめできる南魚沼の料理です。子どもたちに故郷への愛着を持ってほしいので、ボランティアで小学校を回って、きりざいのおいしさを伝える活動もしています」(南雲さん)

南雲勇路さん

きりざいは、アレンジが自在という点もおもしろいです。キムチや梅干し、めかぶやオクラなどを入れてもおいしそう。南魚沼の学校給食にはチーズ入りのきりざいがメニューにあるそうです。かぐら南蛮の代わりに豆板醤を使ってもよさそうですね。

世代を超えて受け継がれていた南魚沼の郷土料理「きりざい」は、そこに立ち止まることなく、周囲を巻き込みアップデートしながら変化していく料理でもありました。

【 レシピ 】

南魚沼きりざい丼

「南魚沼きりざい丼」(1人分)
レシピ考案:しらいのりこ(ごはん同盟)

【材料】
・野沢菜 …… 40g
・たくあん …… 20g
・納豆(大粒) …… 1パック(50g)
・スモークサーモン …… 2枚
・かつおぶし …… 大さじ1
・白ごま …… 適量
・刻み海苔 …… 適量
・かぐら南蛮の塩麹漬け …… 適量
・だし醤油 …… 小さじ1
・ご飯 …… どんぶり1杯分
【作り方】

1 野沢菜の茎は5ミリ幅に、葉は細かく切る。たくあんはみじん切りにする。
2 納豆は包丁で細かくたたく。
3 ボウルにを入れてよく混ぜ、だし醤油とかつおぶしを加えてさらに混ぜる。
4 どんぶりにご飯を盛って、白ごまをふり、スモークサーモンとをのせる。
5 刻み海苔をのせ、かぐら南蛮の塩麹漬けを添えて、混ぜながらいただく。
農林水産省「うちの郷土料理」に掲載中の新潟県の郷土料理一覧はこちら】

ごはん同盟のお二人

Profile ごはん同盟

調理担当のしらいのりこ(新潟市出身)と、企画・執筆担当のシライジュンイチ(長岡市出身)による炊飯系フードユニット。料理雑誌へのレシピ提供のほか、炊飯ワークショップや料理教室などを精力的に開催する。近著は『これがほんとの料理のきほん』(成美堂出版)。www.gohandoumei.com

Information

【味の店 京】
address:新潟県南魚沼市六日町2252
tel:025-773-6606
access:JR六日町駅から車で5分
営業時間:11:30~14:00、17:00~23:00
定休日:不定休

credit text:シライジュンイチ photo:やまひらく