新潟のつかいかた

直火でじっくりと焼くから、おいしくなる

〈ごはん同盟〉がつなぐ、
ふるさとのレシピ
煮てよし、揚げてよし、
炒めてよしの
万能食材・長岡の「車麩」 | Page 2 Posted | 2022/01/12

直火でじっくりと焼くから、おいしくなる

工場の中に響くガチャンガチャンというにぎやかな音は、車麩を巻きつけた金属の棒が回転するときに鳴る音でした。回転するタイミングは、1回目、2回目、3回目、4回目と、それぞれの焼き上がりに合わせて調節しています。

オーブンに棒に巻きつけた生地を並べる

焼きの工程にかかる時間は、およそ45分。オーブンはガスの直火ですが、かつては炭火で焼いていたそうです。

直火で焼いていく工程

「新潟で麩といえば『車麩』のことを指しますが、実は全国的には珍しい部類の麩で、他県の人からは『これはなんですか?』と尋ねられることは、今でもよくありますよ。直火で焼くのは新潟の車麩ならではです」(信太郎さん)

木宮信太郎さんに車麩の説明を受ける

石川県でつくられる車麩は2回巻や3回巻が主で、グルテンを多めに入れて、ふわっと大きく焼き上げるのが特徴。金沢おでんの代表的な具材です。全体的にやわらかい麩になるのだそう。

「出汁をたっぷりと染み込ませ、とろとろの食感に仕上げる金沢おでんには、そういうつくり方の麩があっているのでしょうね。新潟の車麩といえば、主に煮物に使われます。焼き目の数が多い分、特に4回巻きはしっかりしていて煮崩れしないんです。箸で持ち上げても崩れず、断面の角がしっかり立っているものが好まれますね」(信太郎さん)

そんなお話をうかがっている間に、車麩がきれいに焼き上がりました。

焼き上がった車麩

このあとは、金属の棒を抜いて1~2日程度おいて落ち着かせます。すぐに薄くスライスできればいいのですが、休ませた車麩はカチカチに堅く、そのまま切っては端が欠けてしまいます。

そこで、180センチメートルの長さの車麩を蒸し器に入る大きさに切り分け、蒸気の力で柔らかくしたあとにスライサーで輪切りにすると、美しい断面ができあがるのだそうです。

スライスした車麩は紐でくくって、しっかりと乾燥させます。温かい空気が昇る工場の2階が、車麩の乾燥室です。

紐でくくられたスライスした車麩。乾燥の工程

生地づくりから焼き上げ、蒸して乾燥まで、車麩が完成するのにかかる時間は、およそ1週間。

焼き上がったばかりの車麩

せっかくの機会なので、焼き上がったばかりの車麩を味見させていただきました。焼きたての巨大な車麩は、まるでフランスパンのよう。パン切り包丁でサクッと切れます。

小さくスライスされた車麩

こちらが4回巻きの車麩の断面です。断面をよくみると、内側にうっすらと色味がかった1回目の焼き目があることがわかります。1回目は金属の棒に生地を薄く巻きつけて芯の代わりにするので、焼き目の色も控え目です。

車麩を試食中のごはん同盟のお二人

焼き目は香ばしくカリカリ。生地の白い部分はまだ水分が残っているせいか、しっとりとした食感です。噛みしめると小麦の甘みをほのかに感じました。でも、やっぱり、しっかりと水で戻した車麩のほうがおいしいかな(笑)。

車麩をおいしくいただくためにはどうしたらいいのか。その調理のコツを、店舗を切り盛りする社長夫人の木宮満智子さんにお聞きしました。

揚げた麩を煮含める様子

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