梨(和梨)の産地といえば、〈二十世紀〉が有名な鳥取県や、梨の出荷量も多く、某キャラクターがいる千葉県を思い浮かべる方が多いようです。しかし、実は新潟県も多数の品種を栽培する隠れた梨の名産地。旬や味わいもさまざまな梨のおすすめ品種を、旬のカレンダーと味わいチャートでご紹介します。
新潟の梨は江戸幕府に献上する“お国自慢”
澄んだ空気と水、豊かな土壌の三拍子が揃った新潟県は、古くからおいしいくだものが育つ地域。江戸時代には参勤交代の際の“お国自慢”として幕府に献上していたこともあり、約300年前から名産品だったと言われています。
実は、全国に流通している〈新高〉や〈新興〉などの品種は、元をたどれば新潟の品種を交配して生まれたものだといわれています。また近年でも、新潟のオリジナル品種〈新美月〉、〈新王〉が誕生するなど、新潟の梨はこれからも進化していきそうです。
新潟で栽培されている品種は多岐にわたり、〈幸水〉、〈豊水〉、〈二十世紀〉をはじめ、西洋梨の〈ル レクチエ〉も合わせて10品種以上栽培している農家もいるほど。その味わいは、シャキッとした食感で酸味のあるすっきりとした甘さのものから、やわらかく蜜のような甘さのものまで、品種によって個性豊かな味わいです。
梨の品種は大きく分類するとふたつ?
とはいえ、〈幸水〉や〈二十世紀〉のような定番品種以外は、味わいやその違いがピンとこないもの。そんな時は、梨の品種を「赤梨」と「青梨」のふたつに分けて考えると、味わいなどの想像がつきやすく、好みの味わいを見つけるときにも役立ちます。
「赤梨」は皮がオレンジがかった色合いで、果肉がやわらかく、果汁は甘く蜜のよう。品種は〈幸水〉や〈新高〉などがあります。「青梨」は皮が青リンゴのような黄緑色で、喉を鳴らして果汁を飲み込むほどみずみずしくフレッシュな味わい。品種は〈二十世紀〉や〈秋麗〉などがあります。
皆さんはどちらがお好みでしょうか?
梨の品種を、旬のカレンダーと味わいチャートでチェック
【品種別! 旬の梨カレンダー】
【品種別! 梨の味わいチャート表】
新潟県で栽培されているおすすめの梨の品種をピックアップ。甘さと食感を軸にした「梨の味わいのチャート」と、梨の品種別に旬を表した「旬の梨カレンダー」でご紹介します。新潟県の梨は品種をリレーするように、8月から12月まで食べ頃の梨が堪能できます。何気なく食べた梨も、どの品種の梨かを確かめて味わいたいですね。
それぞれの品種のおすすめポイントを詳しく解説
【幸水:8月中旬〜】
■人気の品種「三水」のひとつ〈幸水〉
梨の品種はわからないという方でも、〈幸水〉はご存知の方も多いはず。〈豊水〉や〈新水〉と合わせて「三水」とも呼ばれる日本の代表品種で、日本で生産が最も多い人気の品種です。酸味が少なく、やや小ぶりの実に甘みがギュッと詰まっています。
【Data】
品種:幸水(こうすい)
分類:赤梨
旬の時期:8月中旬〜
シャリシャリ感:★★★☆☆
甘み:★★★☆☆
酸味:★★★☆☆
大きさ:★★★☆☆
【秋麗:9月上旬〜】
■青梨の爽やかな香りが広がる〈秋麗〉
〈秋麗〉はサクッとした食感と爽やかな香りが特徴の青梨です。酸味は少なく、ひと口食べると甘〜い果汁が口に広がります。
【Data】
品種:秋麗(しゅうれい)
分類:青梨
旬の時期:9月上旬〜
シャリシャリ感:★★★☆☆
甘み:★★★★☆
酸味:★☆☆☆☆
大きさ:★★★☆☆
【あきづき:9月中旬〜】
■秋に実る満月〈あきづき〉
〈あきづき〉は秋に食べ頃を迎え、月のように丸いことからその名がつけられました。ずっしりとした実は熟すと深い褐色になります。やわらかな果肉と甘〜い果汁が後を引くおいしさです。
【Data】
品種:あきづき
分類:赤梨
旬の時期:9月中旬〜
シャリシャリ感:★☆☆☆☆
甘み:★★★★★
酸味:★☆☆☆☆
大きさ:★★★☆☆
【二十世紀:9月中旬〜】
■酸味とシャリっとした食感が残暑に心地よい〈二十世紀〉
〈二十世紀〉は鳥取県のイメージが強い品種ですが、新潟県でも栽培しています。シャリッとした食感と酸味と甘みのバランスのとれた爽やかな味わいは、残暑の残るこの季節にぴったりです。
【Data】
品種:二十世紀(にじゅっせいき)
分類:青梨
旬の時期:9月中旬〜
シャリシャリ感:★★★★☆
甘み:★★★☆☆
酸味:★★★☆☆
大きさ:★★★☆☆
【新美月:9月中旬〜】
■新潟のオリジナル品種〈新美月〉
〈新美月〉は新潟のオリジナル品種で、生産者の「新潟のオリジナル品種を」との声から生まれました。強い甘みと爽やかな酸味が特徴で、〈二十世紀梨〉のように酸味を好む方にもおすすめです。
【Data】
品種:新美月(しんみづき)
分類:赤梨
旬の時期:9月中旬〜
シャリシャリ感:★★★★★
甘み:★★★☆☆
酸味:★★★☆☆
大きさ:★★★☆☆
【新王:9月下旬〜】
■“梨の王者”として期待を集める〈新王〉
これからの梨を牽引する品種として名付けられた〈新王〉も、〈新美月〉と同じく新潟のオリジナル品種。ザクザクとした食感で食べ応えがあり、果汁はスイーツのように甘く、まさに王者の味わいです。
【Data】
品種:新王(しんおう)
分類:赤梨
旬の時期:9月下旬〜
シャリシャリ感:★★★★★
甘み:★★★★☆
酸味:★★☆☆☆
大きさ:★★★☆☆
【新高:10月中旬〜】
■新潟の品種を交配して生まれた〈新高〉
〈新高〉は、新潟の〈天の川〉と青森の〈長十郎〉が交配されて生まれた、新潟の系譜を継ぐ品種といわれています。梨の中では大ぶりで、重さは平均約800グラム、大きいものは1キロ以上。やわらかい果肉と上品な甘さでどんどん食べ進められ、丸ごと独り占めしたくなるおいしさです。
【Data】
品種:新高(にいたか)
分類:赤梨
旬の時期:10月中旬〜
シャリシャリ感:★★☆☆☆
甘み:★★★☆☆
酸味:★★☆☆☆
大きさ:★★★★☆
【王秋:11月中旬〜】
■やさしい甘さの果汁たっぷり〈王秋〉
卵を逆さまにしたような特徴的な形をしている〈王秋〉は晩生(おくて)。口に頬張ると、やわらかく緻密な果肉から、甘い果汁が溢れます。また長期間保存がきくので、冬にも市場に出回り、長い期間楽しめる品種です。
【Data】
品種:王秋(おうしゅう)
分類:赤梨
旬の時期:11月中旬〜
シャリシャリ感:★☆☆☆☆
甘み:★★★★☆
酸味:★☆☆☆☆
大きさ:★★★☆☆
【愛宕:12月下旬〜】
■お正月の贈答用にも重宝される〈愛宕〉
〈愛宕〉は1玉1キロほどもあるジャンボサイズ! しっかりした果肉で果汁も多く食べ応えも抜群です。晩成で日持ちすることから、新潟県民のあいだではお正月にも食べられる梨としても知られています。見栄えもいいので、贈答用として購入する県民も多いのだとか。
【Data】
品種:愛宕(あたご)
分類:赤梨
旬の時期:12月下旬〜
シャリシャリ感:★★★★★
甘み:★★★☆☆
酸味:★★★☆☆
大きさ:★★★★★
どの品種が好みに合いそうですか? いろんな品種がある梨の旬はこれからも続きます。ぜひ、おうちに産地直送して、旬ごとの梨の味わいをお楽しみください。
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credit text:福井晶 illustration:コヤナギユウ