新潟のつかいかた

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長岡の魅力を知り尽くした
〈FARM8〉樺沢敦さんが
案内する、
長岡市日帰りツアー Posted | 2024/11/27

新潟県民が新潟の魅力を発信する「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」。その活動の一環として、新潟の魅力をよく知る人が、各エリアの魅力的な日帰りツアーをご案内。今回は、長岡市内を巡る旅を〈株式会社FARM8〉代表の樺沢敦さんに案内していただきました。

新潟県のほぼ真ん中にある長岡市。全国的には長岡花火で知られていますが、多いときは4メートルも雪が積もる豪雪地帯であり、中越地震の被災地・山古志や上杉謙信の生まれ故郷・栃尾も含まれているエリアです。雪とともに暮らし、中越地震を乗り越えてきた長岡の地には、人々の強さと温かさが根づいています。

長岡出身であり、長岡で起業した樺沢さんは、食品開発のほか、地域ブランディングなどさまざまな事業を手がけ、地元愛にあふれています。そんな樺沢さんが案内してくれたのは、「地元の人が積み重ねてきた“人間力”に触れる旅」でした。

旧三国街道に立つ樺沢敦さん
「地域を食べるをデザインし、ずっとつながる地域の力になる」をコンセプトに食品開発などを行う、〈株式会社FARM8〉代表取締役の樺沢敦さん。

江戸時代からの発酵の息吹が残る
「摂田屋」エリア

醤油屋や酒蔵が並ぶ旧三国街道
醤油屋から酒蔵までが軒を連ねる旧三国街道。真っ黒に見える建物の壁は醤油麹の色がついてできたもの。

まず案内してもらったのは、長岡駅からひと駅の宮内駅から歩いて10分ほどの醸造のまち「摂田屋(せったや)」。江戸時代から醤油をつくり続ける〈越のむらさき〉や新潟で最も古くからある酒蔵〈吉乃川〉をはじめ、味噌やサフラン酒など、発酵にまつわる蔵元が多く軒を連ねるエリアです。そんな摂田屋で樺沢さんが最初に足を止めたのは、越のむらさき前にあるお地蔵様でした。

お地蔵様の台座を指差す樺沢さん
お地蔵様の台座には「右ハ江戸」「左ハ山路」と彫られており、越後と江戸を結ぶ三国街道だった証が残っています。

「私の祖母は樺沢ツルという名前だったのですが、私自身、幼少期に病院のお見舞い帰りに、祖母がお地蔵様に千羽鶴をかける姿をよく見ていました。祖母が亡くなったあとも誰かしらが続けて千羽鶴をかけてくれていたようで、いまも数十年の時代を感じる鶴がお地蔵さんの周りを埋め尽くしています」と樺沢さん。

地域の人々が受け継いできた温かい思いやりが感じられますね。幼い頃からこの地域で過ごしてきたからこそ、思い出深いエピソードもたくさんあるようです。

大きな木樽が置かれた〈星野本店〉の入口
摂田屋エリアには、江戸時代から続く醤油味噌醸造元の〈星野本店〉も。現在は塩麹の自社商品〈糀一夜漬の友〉を使った料理教室など、醸造文化を伝える活動もしています。
〈長谷川酒造〉の入口
こちらも江戸時代から続く酒蔵〈長谷川酒造〉。酒蔵も機械化が進むなか、手作業にこだわり、酒づくりを行っています。
〈江口だんご 摂田屋店〉の外観
春には桜が咲き誇り、日本らしい景色が広がります。(写真提供:江口だんご)

摂田屋の醸造元を巡り終えて向かったのは、〈江口だんご 摂田屋店〉。長岡市内に6店舗を構える江口だんごですが、2022年7月に摂田屋店を開店。越のむらさき創業家の旧邸宅を活用し、喫茶としても営業しています。日本庭園を眺めながら日本茶とみたらし団子をゆっくりと味わうと、疲れた心が解きほぐされていくよう。風情ある空間で過ごすひとときが、疲れた心に安らぎをもたらしてくれます。

江口だんごの餡がかかった串団子
雁木スペースでは焼きたてのお団子の実演販売も。(写真提供:江口だんご)

Information

【江口だんご 摂田屋店】
address:新潟県長岡市摂田屋4-8-28
tel:0258-39-9173
access:宮内駅から徒歩約8分
営業時間:販売9:30 ~18:00/実演販売10:00~16:30/喫茶10:00~17:00L.O.
定休日:火曜

柿の種はここから生まれた!? 
元祖柿の種〈浪花屋製菓〉

〈浪花屋製菓〉のミュージアムスペース

摂田屋から車で5分ほど移動して向かったのは、〈浪花屋製菓〉。いまや誰もが知る米菓となった柿の種を生み出した会社でもあります。今回は柿の種が生まれて100年を迎えることを記念して2024年にオープンしたミュージアム兼ショップ〈新潟・長岡 柿の種発祥の地〉を案内してくれました。

三日月型に変形した金型のレプリカが展示されている

1923年創業の浪花屋製菓は、もともとあられなどの米菓をつくっていました。ところがある日、社長の奥さんが誤って小判型の金型を踏んでしまい、三日月型に変形。修理が高額で諦め、そのまま使い続けたところ、「柿の種みたいだ」と評判になり、現在の「柿の種」の形が生まれたそうです。いまや全国的に有名になった柿の種は、こんな失敗から生まれたことに驚きです。

店内では、こうした柿の種誕生エピソードや製造工程を紹介する動画を見たり、元祖柿の種を買ったり、柿の種バイキングをしたりとさまざまな楽しみ方ができます。

飲み物を注ぐようなスタイルで紙コップに柿の種が入っていく
〈元祖柿の種〉をはじめ、さまざまな柿の種が無料でいただける「柿の種バイキング」。
〈元祖柿の種〉が入った四角い缶がずらりと並ぶ
一番人気は、〈元祖柿の種〉(12袋缶入り)1300円。
〈浪花屋製菓〉の敷地内にある神社と鳥居
入り口には柿の種誕生のきっかけとなった失敗にちなみ、失敗を成功に変える思いを込めた神社もあります。

Information

【新潟・長岡 柿の種発祥の地】
address:新潟県長岡市摂田屋町2680番地
tel:0258-86-7033
access:宮内駅から車で約4分
営業時間:10:00~16:00
定休日:土・日曜、祝日

地元の旬食材を生かした和の味わい
〈旬・菜・魚 かおる家〉

〈旬・菜・魚 かおる家〉の外観

さて、たくさん歩いて回っていたらお腹が減ってきました。この日お昼に向かったのは、長岡の旬の食材をふんだんに使った料理が楽しめる〈旬・菜・魚 かおる家〉。樺沢さんが県内外から来るゲストを20回以上連れてきている、お気に入りのお店です。ランチはもちろん、地元の仲間と集まるときにもよく利用しているそうです。

とろさば塩焼定食
樺沢さんがいつも頼む「とろさば塩焼定食」1100円。ほかに、「銀だら照焼定食」や「角煮定食」、「お刺身定食」など幅広いメニューがあります。

お米や野菜は地元農家から、魚は毎朝市場で仕入れるというこだわりのお店です。店主の栗田さんは「おすすめ料理をつくる」というよりも、「どの料理もハズレがないこと」を意識しているそうです。

「お客さんが食べたいものって日々変わるじゃないですか。だから、すべての料理をおいしくしようと思っています。例えば、冬は雪かきで疲れている人のために、味つけを少し濃くしたり。求められるものに応えられるよう毎日工夫しています」と栗田さん。

細やかな心遣いが詰まった料理が、訪れる人々の心と体を温めてくれます。

〈かおる家〉名物の玉子焼き
名物の玉子焼き(539円)。1枚ずつ焼いてミルフィーユのようにして時間をかけてつくっています。

Information

【旬・菜・魚 かおる家】
address:新潟県長岡市旭岡2-8-27
tel:0258-38-7390
access:宮内駅から車で約7分
営業時間:11:30~14:30、17:00~23:00(22:30LO.)
定休日:月曜(祝日の場合、翌火曜)

中山隧道を通っている様子

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