「だから新潟がいい!」という県民のアツいメッセージを紹介する『#新潟のコメジルシ』から『お米しかない? お米があるじゃないか!』という記事に注目。この記事では注目が高まる米粉について新潟県出身の料理家・坂田阿希子さんにおうかがいしました。
大手レシピサイト『クックパッド』の「食トレンド予測2023」をはじめ、2023年注目のフードトレンドとして挙げられている「米粉」。日本一の米どころ・新潟県は、あられや柿の種など米菓の全国シェアトップを誇り全国的にも知名度がありますが、実は米粉用米の生産量も全国シェア約30%を占めています。新潟県には米菓だけではなく、パスタや中華麺など米粉を使った商品が数多くあることをご存知でしょうか。
2023年は米粉がフードトレンド入り!?
米粉に注目が集まっている理由のひとつに、世界的な健康志向の高まりが挙げられます。世界のグルテンフリー市場は年々拡大しており、2005〜2024年にかけて市場規模は10倍以上に膨れ上がっています(※2020年以降は予測値/出典:日本米粉協会「多彩な日本の米粉の世界」より)。
それに加えて、ロシアのウクライナ侵攻の影響による輸入小麦の高騰が続き、2022年4月には大手製粉メーカー各社による小麦粉の値上げが発表されたこともあり、小麦の代替として米粉の需要がさらに上がっているという背景があります。
米は小麦と違い、国内自給率がほぼ100%。輸入小麦と比べて価格や供給が安定している点も米粉ブームを後押ししているのです。
そのほかにも、国内では2017年に生産者や食品製造業者、生活者団体などによる〈日本米粉協会〉が設立されたり、近年では米粉に適した品種〈ミズホチカラ〉や〈笑みたわわ〉が開発されたり、米粉の需要創出への普及活動が広がりを見せています。
グルテンフリー食材「米粉」を家庭で取り入れるには
「米粉」とは米を砕いて粉状にした食材のこと。ここ10年ほどでよく聞くようになりましたが、実は奈良時代から和菓子の材料として重宝されてきました。その後、技術の発達によってより細かく製粉できるようになり、ケーキやパンづくりなど洋菓子の材料としても広く使われるようになりました。
小麦粉と米粉の大きな違いのひとつは、グルテンが含まれるかどうか。小麦粉にはタンパク質の一種であるグルテンが含まれていますが、米粉には含まれていません。このグルテンが原因でアレルギーを引き起こしてしまう人もいることから、グルテンフリーの食材が注目されるようになり、同時に米粉も人気が出るようになったのです。
しかし、いざ自宅で米粉を使おうと思ってもどうレシピに取り入れればいいかわからないもの。そこで今回は、新潟県出身の料理家・坂田阿希子さんに自宅でできる米粉の使い方について教えてもらいました。
Profile 坂田阿希子
新潟県生まれ。料理家。〈洋食 KUCHIBUE〉店主。料理教室〈studio SPOON〉を主宰。フランス菓子店や、フランス料理店での経験を重ね、独立。本格的な洋風料理から、手軽にできる家庭料理まで幅広いレパートリーをもつ。雑誌や書籍、テレビなどで活躍中。
「小麦粉の代替として米粉を使うとサクサクした食感になるので、ショートブレッドなどホロホロとしたクッキーをつくるときにおすすめです。小麦粉の量を少し減らして一部を米粉にすると、ほどけるような食感になりますよ。あと、シフォンケーキに使うと軽やかな生地になり、ふっくらとした仕上がりになります。
対して、カステラなど、お砂糖をたっぷりと加えてしっとりと重厚感のあるお菓子をつくりたい場合は、小麦粉を使うことでしっとり感が出ます。どんなケーキをつくるかによって使い分けするといいと思います」
米粉は粒子が細かいので軽やかな味わいになるとのこと。最近、米粉パンや米粉のケーキをよく見かけることからもイメージがしやすいかと思います。では、料理だとどのような使い方ができるのでしょうか。
「私はフリットをつくるときに使っています。小麦粉を米粉に変えるだけなので自宅で揚げ物をするときにおすすめ。グルテンがないことで、軽やかで油っぽくならずに仕上がります。揚げ物に苦手意識がある人にもぜひ挑戦してみてほしい活用方法です」
ほかにも、「ソースをつくるときや料理にとろみをつけたいときに使うといい」と米粉初心者でも取り入れやすい方法も教えてくれました。
「米粉はダマになりにくいので、ホワイトソースなどのソースをつくるときにもおすすめです。小麦粉を使う場合はしっかりと炒める工程となりますが、米粉だとふるう必要もないですし、炒めてつくらなくてもなめらかに仕上がります。
よって、バターなどの油脂も少なくてすむのでさっぱりとしたホワイトソースになります。ほかにも、片栗粉の代わりに『水溶き米粉』でとろみをつけることもできます。ダマになりにくいので最後に回し入れるだけで簡単にできますよ」
また、米粉は旨みや甘さを感じやすいといった特徴もあります。この利点を生かすのであれば、スープに少しだけ入れることで甘みを増強させることもできるようです。
米どころ・新潟で米粉の普及を! にいがた発「R10プロジェクト」
新潟県では米粉の普及に努めようと「R10プロジェクト」を全国に向けて提唱。9割を輸入に頼る小麦粉の消費量のうち、その10%以上を米粉に代替しようというもので、大口需要者の開拓や幅広い需要の開拓、家庭での普及に取り組んでいます。
新潟のアンテナショップや物産展、お土産コーナーでは、米粉でつくったパスタや中華麺など、数多くの米粉商品が販売されています。また、〈山崎製パン株式会社〉が新潟県産米粉を使ったパンを商品化したり、コンビニエンスストアで県産米粉を使った新商品を販売したりと、新しい取り組みも始まっています。
グルテンフリーで食料自給率を上げることにも一役買う米粉。坂田さんにお話を聞いて料理にもスイーツにも取り入れやすいことがわかりました。ぜひみなさんもご家庭の料理に米粉を取り入れてみてはいかがでしょうか?
新潟県がおすすめする米粉レシピ
新潟県では、レシピサイト『クックパッド』でおすすめの米粉レシピを掲載しています。今回はそのなかから「フライパンで簡単米粉グラタン」を紹介します。
【 フライパンで簡単米粉グラタン 】
【材料】 2人分
・鶏胸肉 …… 100グラム
・塩・胡椒 …… 少々
・米粉 …… 適量
・白菜 …… 200グラム
・玉ねぎ …… 1/4個
・しめじ …… 100グラム
・水 …… 1カップ
・牛乳 …… 1カップ
・塩 …… 小さじ1/2
■水溶き米粉
米粉 …… 大さじ3
水 …… 大さじ3
ピザ用チーズ …… 50グラム
パセリみじん …… 適量
【作り方】
1 鶏胸肉はひと口大のそぎ切りにして軽く塩・胡椒をして米粉をまぶす。
2 白菜の葉はひと口大に切り、芯はひと口大のそぎ切りにする。玉ねぎは薄切りにする。しめじは小房にする。
3 水溶き米粉をつくる。
4 フライパンに2と水を入れて蓋をしてひと煮立ちさせる。そこに1を加えて火が通ったら、牛乳を加え、塩・胡椒で味をつける。
5 4に3を入れてとろみをつけ、火をとめる。
6 器に5・チーズをのせ、オーブントースターで焼き色をつけてパセリみじんを散らす。
【新潟県がまとめている米粉のレシピはこちら】
この記事のネタ元は、新潟県新潟市出身の若山裕伸さん。
「だから新潟がいい!」という県民のアツいメッセージを紹介する『#新潟のコメジルシ』から『お米しかない? お米があるじゃないか!』という記事に注目しました。
credit text:長谷川円香