新潟のつかいかた

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新潟県民は
しょうしがりだけど祭り好き?
祭りで育まれる
地域のアイデンティティ Posted | 2024/02/22

「だから新潟がいい!」という県民のアツいメッセージを紹介する『#新潟のコメジルシ』から「祭り」をフォーカスした記事に注目。この記事では、新潟人が自慢する祭り文化とその時間を共有することで育まれる地域のアイデンティティをご紹介します。

神社の数、日本一を誇る新潟県はお祭りが盛んです。新潟県内には4700社近くの神社があり、さまざまな地域で祭事が行われてきました。柏崎市で約500年前から続く「綾子舞(あやこまい)」や、魚沼市の伝統的な盆踊り「大の阪(だいのさか)」など、国の重要無形民俗文化財に選ばれているものもあります。

また、全国から多くの人が集まる、日本3大花火のひとつ「長岡まつり大花火大会」も新潟県の夏の風物詩として知られ、長岡市に留まらず新潟県民の「地元自慢」として名前が挙がるほどの大イベントです(新潟コメジルシ総研調べ)。

このように、地域のお祭りから無形文化財に選ばれる催事や「花火大会」など、新潟県ではさまざまなお祭りごとが地域に根づき、県民はその時間を参加者たちと共有することで地域のアイデンティティを育んできました。今回は、新潟人視点で捉える祭り文化についてお伝えします。

まちのシンボルとなる「にいがた総おどり祭」

「にいがた総おどり祭」の様子

新潟の県民性は、控えめで「しょうしがり(恥ずかしがり)」と言われています。しかし、そんな照れ屋な新潟人もお祭りとなると話は別。数百年続くお祭りが現在も受け継がれており、お祭りとなると多くの新潟人が一堂に会します。

毎年8月上旬に行われる新潟市を代表する祭り「新潟まつり」は、住吉祭、商工祭、川開き、開港記念祭の4つの祭りがひとつとなった、新潟市民にとって欠かせない夏祭り。そのルーツは、江戸時代に湊元(つもと)神社で行われた「湊(みなと)祭り」と言われています。また、長岡市に代々受け継がれている伝統芸能「飴や踊り」も、江戸時代から元となる踊りが伝承されてきたそう。

こうした伝統的な踊りに加えて、民謡やジャズダンス、ヒップホップ、創作ダンスといったノンジャンルの踊りまで——新潟人の祭り好きを象徴するイベントが「にいがた総おどり祭」です。

「にいがた総おどり祭」に参加した様々なダンスチーム

オールジャンルの踊り子たちが集う日本最大級のダンスフェスティバルとして、2002年に開始されましたが、約300年前に4日4晩踊り明かした祭りが起源とされています。その様子は「遠く沖より眺めれば、祭りのかがり火によって、新潟の空が真っ赤に燃えてみえた」と語り継がれるほどです。

江戸後期から伝わる『あまの手振り』という絵巻物に残された盆踊り「新潟下駄総踊り」は、長い年月を経て現代に復活し、「にいがた総おどり祭」のメインイベントとして現在も踊り継がれています。

大通りに集合した「にいがた総おどり祭」参加者たち

「にいがた総おどり祭」は、開催開始から約20年間で参加人数が延べ21万人以上、参加団体が3795チーム、観客動員数が435万人。新潟市を象徴する祭りに成長しました。

日常生活では「しょうしがり」な新潟人にとって、祭りは内側にあるものを外に開放することで本来の自分に戻れる行為と捉えられているのかもしれません。「にいがた総おどり祭」は、そんな時間を祭りに参加する多種多様な人たちと共有・伝承することで、新しいまちの魅力へと昇華させたのです。

打ち上げ花火の記憶が地元愛を育む

長岡まつり大花火大会

新潟の花火と言えば、大曲の花火(秋田県大仙市)、土浦全国花火競技大会(茨城県土浦市)と並んで日本3大花火大会と称される「長岡まつり大花火大会」が有名ですが、新潟には「越後3大花火」と呼ばれる花火大会もあり、「長岡まつり」のほかに、「ぎおん柏崎まつり」「片貝(かたかい)まつり」が挙げられます。

そんな新潟の打ち上げ花火発祥の地とされるのが、小千谷市の片貝地域。1700年には、すでに花火の製造が始まり、江戸時代の末期から明治時代にかけて盛んになっていったとか。現在、新潟県では打ち上げ花火が「新潟県産打揚花火」として新潟県伝統工芸品に指定されているほどです。

「そのき田んぼ花火会」の打ち上げの様子

このほかにも、新潟県内には多くの地元密着型の花火大会がたくさんあります。新潟市江南区曽野木(そのき)地区にある田んぼの一角で行われる「そのき田んぼ花火会」もそのひとつで、地元の人たちが一から作り上げた花火大会です。始まったのは2009年と歴史は長くありませんが、曽野木地区を元気にしようと集まった有志たちのなかに、花火師や打ち上げ場所の地主がいたこともあり実現したそうです。

全国区の知名度を誇る花火大会はもちろんですが、こうしたローカルな花火大会が新潟県民の心のなかにあり、新潟への誇りと愛着を持つきっかけとなっているのかもしれません。

地域を維持する「鬼太鼓」の役割

佐渡の伝統芸能「鬼太鼓」

佐渡には、太鼓を用いた伝統芸能である「鬼太鼓」があり、地域のコミュニティを維持する役割があります。鬼太鼓とは無病息災や家内安全、五穀豊穣を祈って行われる祭りで、集落を鬼太鼓の音とともに鬼が歩きまわります。起源は不明ですが、江戸時代の相川祭の絵図には鬼太鼓が描かれていたそうです。

路地をまわっている「鬼太鼓」の様子

そんな鬼に抜擢されるのは地元に住んでいる、または進学や就職で島外に出てはいるものの、鬼太鼓のために帰ってきた若者たち。鬼太鼓を通して、若者たちは集落の家々をまわることで地域に住む人たちの様子を確認し、コミュニケーションを取ることにもつながっています。小さな集落では、いざというときに助け合えるような関係性が大切であり、祭りを通して地域のコミュニティが維持されてきたのです。

地域と結束を強めるけんか祭りと舞楽

神輿が激しくぶつかり合っている天津神社春大祭(糸魚川けんか祭り)

最後に、糸魚川市の天津神社で300年以上続いているとされる「天津神社春大祭(糸魚川けんか祭り)」と「天津神社舞楽」という神事を紹介します。毎年4月10・11日に開催され、10日に行われる「けんか祭り」では、地元の若者が地区を代表し、それぞれの神輿を担いで神社の境内を回りながら、激しくぶつかり合います。この様子から「けんか祭り」という名がつけられました。

10日のけんか祭りの後と11日に行われるのが「天津神社舞楽」。天津神社舞楽は、大阪・四天王寺の舞楽を継承しているとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。けんか祭りから舞楽へと、境内の雰囲気が「動」から「静」へと移り変わる様が見どころです。

天津神社舞楽

新潟を代表するお祭りや催事には地域ごとに昔から紡がれた物語があり、人々と地域とをつないできました。以下の記事では新潟県民から見た祭りの魅力についてより詳しく語ってもらっています。

credit text:水澤陽介