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大豆の旨みをダイレクトに感じられる、
栃尾の“あぶらげ”〈毘沙門堂本舗〉
旧山古志村を堪能したら、今度は車で移動して長岡市栃尾へ。栃尾は上杉謙信旗揚げの地。上杉が毘沙門天とともに生涯信仰した火伏せの神「秋葉三尺坊大権現」を祀る「秋葉神社」があります。
「栃尾に来ると神聖な気持ちになるんです」と樺沢さん。商店街の近くには秋葉神社があるので、この場所がまち全体に神聖さをもたらしているのかもしれませんね。
上杉謙信とも縁の深い栃尾。この地であぶらげをつくっているのが、〈毘沙門堂本舗〉です。このあぶらげは、江戸時代から伝わる「加熱しぼり製法」でつくられ、大豆の栄養素であるタンパク質やイソフラボンをしっかりと抽出。甘みやコク、苦味まで大豆の旨みを余すことなく楽しめる逸品です。
ちなみに、油揚げではなく「あぶらげ」というのは栃尾の方言。一般的な油揚げよりも非常に大きく、厚さ3センチ、長さ20センチ、幅6センチもあるジャンボサイズの栃尾のあぶらげを指します。
時間が合えば、揚げたてのあぶらげをイートインで楽しめます。味はみそ漬やキムチ漬があり、おぼろ豆腐やおからも販売。好きな味を買って友だち同士で分けることもできそうですね。
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いらなくなった木材が動物に!?
廃材再生師・加治聖哉さんのアトリエ
最後に訪れたのは、不要になった木材から生命感あふれる作品を生み出す加治聖哉さんのアトリエ〈sokoso-ko〉。加治さんは、工務店や蔵などから集めた木材を使い、生命を吹き込むように昇華させるアーティストです。
動物の姿をかたどった作品が並ぶアトリエ内は、ひとつひとつが存在感を放ちます。大きな動物の作品は大人が乗れるほどの丈夫なつくり。本来の骨格の美しさが忠実に再現されています。
加治さんにとって廃材はありません。大きな動物をつくった際に残った端材も、小さな動物をつくる材料として再利用。素材の色味を生かすため、塗装はせず、必要に応じて木片を焦がすことで色の濃淡を表しています。
現在、加治さんの作品は新潟県内のみならず、東京のホテルや商業施設にも貸し出されており、その活動の幅は広がっています。アトリエ訪問には予約が必要ですが、今後は予約なしでも立ち寄れるようにし、入場料での運営を予定しているとのこと。気軽に加治さんのアート作品に触れられるようになることで、作品が持つ独自の世界観をさらに多くの人が楽しめる機会が増えそうです。
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助け合いが育んだ
“人間力”が感じられる長岡旅
こうして長岡の旅を終えました。雪国や醸造文化が根づく長岡市。樺沢さんにとって、長岡は“人間力”が息づく土地だそうです。
「雪国は助け合わなきゃ暮らしていけない。家の前だけ雪かきをしても通れないから隣近所の分も雪を掘る。そうやって助け合いが当たり前になっているんです。それが根底にあるから、みんなで一丸となって隧道も掘るし、地震後だって生き抜いてきた。そんな住民の温かさと困難を乗り越える力強さ、たくましさを感じられる場所が長岡市です」
*価格はすべて税込です。
credit text:長谷川円香 photo:坂東拓哉