新潟のつかいかた

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〈まつだい棚田バンク〉で
自分が手をかけたお米は
格別ウマい! | Page 3 Posted | 2018/10/29

あなたの手で、棚田を守ろう!

最高の晴天に恵まれた9月某日。十日町の棚田エリアは見渡す限り黄金色! この日は〈まつだい棚田バンク〉登録者の稲刈りイベントです。複数日にわたって開催されるなか、この日は約50人が集まりました。駐車場を覗いてみると、東京など新潟以外のナンバーもたくさん並んでいます。旅がてらに遠方から来ている人も多いようです。

まずは地元スタッフから、刈った稲をわらで束にまとめるための結び方を習います。手慣れた手つきでこなすリピーターから、初めて稲やわらに触る子どもたちまで。いろいろな人たちが練習しています。

地元スタッフから、刈った稲をわらで束にまとめるための結び方を習う
かぶりつきで興味津々の子どもたち。

あとは難しいことはありません、どんどん稲を刈っていくだけ。慣れている人の周りはあっという間に刈り終えて、スペースができていきます。腰を曲げたままの重労働も、みんなでやれば楽しい作業になるようです。

鎌で稲刈りに挑戦中の子ども
何回もゴシゴシと刈らないで、鎌で一気に引くとうまく刈ることができる。
刈り取った稲をはさがけ中
下から稲をポイッと投げてはさがけのお手伝い。

刈り終わった棚田は、子どもたちの絶好の遊び場。走り回ったり、昆虫やカエル獲りに夢中のようです。バッタやカエルもたくさんの種類が棲息しています。それだけ肥沃かつ多様性のある棚田であるという証拠です。こうした棚田を〈まつだい棚田バンク〉は、会員を巻き込んで保全してきました。

虫取り網で田んぼのバッタを捕まえる子ども
「バッタつかまえたー!」
アマガエル。こちらも棚田の住人
カエルも元気な“生きている”棚田なのです。

「〈大地の芸術祭〉自体が、たくさんの人を巻き込もうというコンセプトを持っています。私も移住して10年近く経つので、新鮮な気持ちはわからなくなってきていますが(笑)、ここに来てもらうとみなさんいい刺激をもらっているようです」という竹中さん。

はさがけした稲の前でお弁当を食べる参加者&スタッフ
イベントの合間にお弁当タイム。

参加者の多くからは「地元の人とコミュニケーションを取れることが楽しい」という声があがります。

「苦労しながら自然と密接した生活を送ってきた地元の人の話を聞いていると、ひと言ひと言に重みがあります。自然と対峙していると、覚悟ができるんだと思うんです。棚田での体験を通して、こんなに魅力的な人たちがいるということも知ってもらいたいです」

稲刈りイベントのスタッフみなさんで記念撮影
稲刈りイベントのスタッフみなさんで。

みんなが写真を撮りたいと思う棚田の風景の裏には、それを守っている地元の人たちがいます。しかし、そこに住んでいなくても棚田を守る側に回ることも可能なのです。もし美しい景観を守っていきたいのなら、保全に協力してみるのもいいでしょう。なんといっても、おいしいお米と楽しい田植え・稲刈り体験がついてきます。日本の米文化の多様性を象徴する棚田、残していくべき文化のひとつではないでしょうか。

Information

【まつだい棚田バンク】

(NPO法人越後妻有里山協働機構)

address:新潟県十日町市松代3743-1 まつだい「農舞台」内

tel:025-595-6180

web:まつだい棚田バンク|大地の芸術祭

credit photo:ただ(ゆかい) text:大草朋宏