カフェのように入りやすい
〈にぎり米〉のほろほろおにぎり
新潟市内に2店舗を構えるおにぎり専門店〈にぎり米〉。新潟駅から徒歩5分の場所にある新潟駅前店は、“おにぎりカフェ”というコンセプト。ガラス張りで明るくきれいなので、女性がひとりでも入りやすい雰囲気になっています。
使っているお米は新潟県特別栽培認証米。コシヒカリの原種の苗を使用したお米で、農薬や化学肥料の使用量など、県が定める基準をクリアしたお米です。手間がかかりますが、しっとり感と旨みは格別なもの。
最近は、胎内市産のお米を使用しているとか(取材時)。「炊き上がりには、甘くていい香りがするんですよ」と教えてくれたのは、店長の榛白(はんぱく)優子さん。
もともとはお寿司屋さんの姉妹店としてスタートした〈にぎり米〉。それだけに海鮮系の具材はとても新鮮です。生のサーモンにチーズを加えたサーモンチーズなどは、特に新鮮さを感じることのできる一品。ほかに、おかかや肉味噌、鮭マヨ、ネギトロ、ツナマヨ、とんがらし昆布などは自家製にこだわっています。
〈にぎり米〉のおにぎりは、型枠を使います。これは形をつくるというよりも、ご飯の量を量るため。深さのある型枠の半分までご飯を入れて、その上に具材。そしてふたをするようにご飯で閉じます。といってもご飯は乗せるだけで、具材が透けて見えるほど。それを型枠から出して、手で握ります。力をほとんど入れずに3〜4回。
榛白さんの握る様子を見ていると、ヒザのクッションをやわらかく使っていました。壊してはならない骨董品でも持って歩いているように。おにぎりを大切に扱っているという気持ちが伝わってきます。本人は「自然とそうなってしまうんです」と笑います。
「おにぎりもお寿司と同様に、空気を含ませて、お米をつぶさないようにすることが重要です。口に入れたときにほろっと崩れる食感を楽しんでもらいたいです」
新潟という地で、お米をシンプルに味わうおにぎりを提供していることに、「ほどよい緊張感もあるんです」という榛白さん。
「県内、県外はもちろん、最近では海外の観光客の方も、新潟のお米を堪能しにいらっしゃいます。そうした方たちにも、おいしいと思ってもらいたい」
たしかに新潟のお米を食べることを目的とした観光客が、〈にぎり米〉のおにぎりを食べたとしたら、その人にとっては新潟、そして日本を代表するおにぎりの味になってしまいます。そう思えば、多少の緊張感はありながらも、最高のおにぎりを提供したいという思いが込み上げてくるのかもしれません。
榛白さん自身も「子どもによく握っていました」というおにぎり。今は対面式カウンターで、「直接手渡しする感覚を大切にしたい」と言います。おにぎりを握って、おいしく食べてもらいたいという思いは、誰にとっても、いつの時代になっても変わらないようです。
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〈おにぎり村〉のおふくろの味 】