東京から新幹線でも高速道路でもアクセスのいい新潟県は、移住先の候補として、働く女性からも注目を集めています。今回は東京から新潟市に移住した金澤李花子さんと橋本安奈さんが「新潟移住のリアル」をホンネでトーク。実際の仕事は? 人間関係は? 2回シリーズの前半です。
最初のきっかけはリモートワーク
新潟出身の金澤李花子さんと岡山出身の橋本安奈さんは、同業者で同い年。大学進学を機に上京し、卒業後は出版や広告業界で多忙な日々を送っていました。2021年、金澤さんは起業するために、そして橋本さんは2020年、新潟市で暮らすご主人と結婚して新しい生活を始めるために、約10年暮らした東京を離れて、新潟に移住したといいます。
金澤李花子さん(以下、金澤) 私は新潟が大好きで「いつかは戻ってきたい」って、いつも思ってた。東京も好きなんだけど、ストレスが溜まったときの逃げ場がないなって感じるようになってた。
橋本安奈さん(以下、橋本) 私は独身時代、地方移住を考えたことはなかったかな。結婚したとき、ちょうど新型コロナウイルスの影響でリモートワークが始まっていたから「これなら新潟で仕事を続けられるかも」って。仕事の一部を業務委託で続けながら、フリーランスでやっていこうって決めた。つまり独立ということだから、新しい仕事も積極的にやっていかなくてはいけない。これは自分への挑戦だなって。きっと今までより大変だけど、苦労は若いうちにしておこうと。
金澤 「苦労は若いうちに……」って、誰かに言われたんじゃなくて、自分でそう思ったの?
橋本 うん、思った。それに、新しい暮らし方をする人が、サンプルとしてひとりでも多くいたほうが働き方の選択肢も増えるかもしれないし、世の中がおもしろくなりそうだなって。単純に大切な人と一緒に暮らしたかったというのが一番だけど。
金澤 私はフリーランスとして生計を立てる自信がなくて、かといって新潟に就職したい会社はないだろうって思ってた。まずは新潟での暮らしを試してみようと、移住する1年くらい前から、東京と新潟の2拠点生活を始めたの。リモートワークを利用して、月の3分の1くらいを新潟で仕事するスタイル。
橋本 実際に住んでみると見えてくることもあるよね。
金澤 そう、東京にいて頭で考えているだけでは見えないものがあった。高校時代、好きでよく通っていた古町(ふるまち)も、大人になってからあらためて行ってみると、何かもの足りない。いろんなフィールドで活躍する人たちが、みんなで古町を盛り上げられる、そんな場所があったらいいんじゃないかって思うようになった。それが去年の12月から上古町商店街で始めた複合施設の〈SAN〉であり、文化商店としてイベントをする〈踊り場〉なの。
橋本 〈SAN〉や〈踊り場〉は新潟県内外からおもしろい人が集まってくる場所になりそうだから、私も遊びに行きたいなって思う。
金澤 移住してからずっと東京時代の仕事もフリーで受けているけど、〈SAN〉がオープンしたので、少しずつ新潟の地に足をつけて、こちらの仕事に専念したいと考えてる。