新潟は日常が異業種交流会みたい
新潟市に拠点を移した金澤さんと橋本さん。新潟には、東京にはなかった人脈の広がりがあるそうです。
金澤 私の場合、新潟にはある程度、知り合いがいたけど、それでも〈SAN〉を始めたのは大きかった。「20代の女の人が、古町の築100年の家屋で起業」というだけで、いろんな人が興味を持ってくれるから。
橋本 新潟に来て思うのは、さまざまな年齢や職業の人に出会うなということ。東京では近い仕事をしている友人や知り合いとの交流が多かった気がするけど、新潟に来てからはファッションデザイナーや建築家、農業や食に関わる仕事をしている人、IT関連の人など、多様な人に出会っていて、しかも日常的に接点がある。
金澤 こっちは「友だちの友だちは友だち」という感覚の人が多いよね。
橋本 あと新潟は、老舗企業の割合が日本でも高いらしくて、そういった企業の2代目、3代目の同世代の人たちと自然に知り合えるのもすごいなって思う。この前もプライベートで知り合ったダンスのうまいお兄さんが、取材先の企業の2代目だったということがわかってびっくり(笑)。
金澤 東京にいた頃は「いろいろな人に会いたい!」と思って、わざわざそういう集まりに行ったけど、ここでは日常が異業種交流会だよね。職場でもプライベートでも、普段の暮らしのなかで、自然といろんな業種の人たちと知り合える。
橋本 みんなで「あそこにこんなすごい人いるよ」って紹介し合いながら、仲間の輪を広げていっている感じがするよね。
金澤 ただイベントの場合は、集まる人が限られているなって思う。新潟の人たちはあまり集まることが好きじゃないのかな?
橋本 県民性ってあるよね。新潟の人って、奥ゆかしい人が多い。でもそれだけじゃなくて、情に厚くて、助け合い精神があって、よく人のことを気にかけてくれる、というのが私の個人的な印象。
金澤 そうだね。気にかけてくれるから、仕事で出会った人とプライベートでも仲良くなったり、もともとの知り合いと仕事をすることも多くなった。
橋本 家族ぐるみのつきあいも増えて、子どもの知り合いがすごく増えた。ちゃんと名前も知っていて、ひとりのパーソナリティのある小さな人としてつきあいがある。年配の方とも知り合う機会が増えたし。職種だけじゃなくて、知り合う人の年齢層も広がったよね。