新潟のつかいかた

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移住・定住のカタチは十人十色。
〈#バリバリ仕事する僕。〉こと
人と地域をつなぐ
コーディネーターに聞いた
ホンネの新潟 | Page 2 Posted | 2022/12/22

〈#バリバリ仕事する僕。〉誕生秘話……
人と地域をつなぐNPO法人ヨリシロ

海や川に入ってノートパソコンで仕事をする浮須さん

浮須さんはこれまでに、胎内市地域おこし協力隊9名の受け入れに携わってきました。人数は決して多くありませんが、受け入れ先の集落の課題抽出から課題解決のためのミッション策定、協力隊のリクルート、隊員着任後の活動への伴走と、移住した隊員と隊員が移住した集落、それぞれに寄り添って支援してきました。

そのほかにも、本業の公務員として、2020年に、当時商工観光課の職員として胎内リゾートでのワーケーションプラン「里山へかえろう」の政策策定に携わるなど、移住者の新規受け入れからその前段となる環境整備まで幅広く取り組んでいます。

PRイベントの様子

浮須さんは現職となる教育委員会所属までの18年間、税務課や新潟県庁への出向と、さまざまな経験を積んできたことが、本業の公務員としてはもちろん、コーディネーターとしての取り組みにも影響を与えているそう。

そのひとつが、胎内市各地で浮須さん自身がワーケーション体験のカタチを見せる〈#バリバリ仕事する僕。〉シリーズ。あらゆるロケーションでPCを抱えて仕事する浮須さんの姿がSNSにアップされると、多くの人から注目を集めました。

「施策を考えるうえで、会議室でだけでなく、現場でも頭脳を使うべきじゃないかと思うんです。公務員としての仕事は会議室と机の上が主戦場となることが多い。でも、農山村再生にしたってどんな施策であれ、課題の現場はある。現地に何度も足を運び、当事者の話を直接聞いたうえで施策を立案することの大切さを表現したくて〈#バリバリ仕事する僕。〉を始めました」

雪山やマウンテンバイクなど様々な場所でノートパソコンで仕事をする浮須さん

浮須さん曰く、〈#バリバリ仕事する僕。〉とは働き方の表現。投稿をスタートしたのは2021年の夏。浮須さんが代表を務める〈NPO法人ヨリシロ〉で実施している田舎体験のプログラム「MURA-ASOBI」がきっかけでした。〈海でSUP体験〉の合間に行っていたパソコン作業を、涼をとるために海につかりながら行ってみたのだとか。

「夕焼けどきの海、波がとても穏やかだったと覚えています。海に浸かりながら仕事ができたら気持ちいいだろうなと思い、いても立ってもいられなくなって。波の遠音を聞きながらパソコンで仕事をしてみたら、本当に気持ちがいいんですよね。写真をとってInstagramに上げてみたらいいねがたくさんもらえたのでシリーズ化することにしました」そう言って笑います。

浮須さんが感じた里山に暮らす人々のある変化

田舎体験のプログラムでは、思わぬ相乗効果も生んでいます。前述のマリンスポーツのSUPを里山の田んぼで行う「棚田SUP」を開催したところ、浮須さんは里山に暮らす人々のある変化を感じたようです。

里山の田んぼで行うSUP

「田舎体験のプログラムは、このまちに暮らしている人々にも影響があることがわかりました。集落の人々にとって棚田は暮らしに溶け込みすぎて、普段の生活では当たり前の景色。でも、こうして外に開いてみると楽しいシーンとして映り、集落の人も、参加者に何度も訪れてもらいたい『いい景色だな』って再認識してくれるみたいです。日常では気づきにくい地域資源の価値を、地元住民にも肌で感じてもらえるきっかけとなりましたね」

棚田以外にも、胎内市の暮らしのひとコマであるかんじき(スノーシュー)や門松づくりといったことも、地域での魅力の再発見につながってきたそう。よそ者は地域を写す鏡。人から集落、そして胎内市へと相乗効果が広がっています。

棚田の田んぼでSUPを楽しんでいる

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