新潟のつかいかた

spot-nihonshu-005-ec

日本酒から新潟が見える!
エリア別“酒質傾向” Posted | 2021/01/22

新潟の日本酒の知られざる知識や楽しみ方を、新潟清酒ガイドブック『THE NIIGATA SAKE BOOK』から、ご紹介します。

新潟は縦に長い県。実は、上越、中越、下越、佐渡のエリア別に見ると、風土や食文化によって日本酒の傾向も異なるんです。それぞれのエリアの日本酒の味わいや、特徴とともに、さらに日本酒が進んでしまうオススメのマリアージュのヒントもご紹介しましょう。

同じ淡麗の日本酒でも地域によって味わいが違う?

下越、中越、上越、佐渡の景色

■主な酒質傾向
下越 … すっきりとした辛口タイプ
中越 … 軽~旨口・多彩な味わい
上越 … 後味きれいな甘口タイプ
佐渡 … 旨みのある辛口タイプ

“新潟淡麗”というイメージを持たれがちですが、新潟にある約90もの酒蔵がつくる酒は何百種類にものぼり、味わいもさまざま。4つのエリアに分けると、その土地の風土や食文化によって味わいの傾向が違います。

港町として栄えた下越はすっきり辛口タイプ

下越

下越エリアの新潟市は、江戸時代中期から明治30年頃にかけて、日本各地の港で商品を売買する北前船の寄港地として栄えました。江戸へとつながる北国街道を行く旅人に酒をふるまう茶屋から始まった酒蔵もあります。京都の祇園、東京の新橋と並ぶ花街の伝統をもつ古町花街が残り、その文化は今でも料理とともに地酒を楽しむ美食のまちに受け継がれています。

すっきりとした辛口で料理を引き立てるタイプの地酒が多いのが特徴で、新鮮な刺し身、出汁の利いた薄口の料理など、繊細な味わいと相性抜群。全国の料亭などでも高い評価を得ています。

さまざまな気候の地域がある中越は、軽~旨口の多彩な味わい

中越

中越エリアの県内第2の都市・長岡市は城下町としての歴史をもち、酒蔵や味噌蔵など発酵文化が栄えました。沿岸部、山間部、平野部とさまざまな気候の地域があり、中越の中でも食文化が異なることから、日本酒もそれに合わせて軽快なタイプから、しっかりとした旨口まで多彩な味わいが揃います。

古くには、沿岸部では軽やかな味わいが好まれ、豪雪地帯の山間部では冬の保存食である味の濃い料理に合う地酒がつくられたことから、旨みのある味わいが好まれていたといわれています。

上越は、後味がきれいな甘口タイプ

上越

上越エリアは変化に富んだ山間部や美しい海岸線など、多彩な地形をもつ全国有数の豪雪地帯です。かつて農林漁業に精を出す人々の体をいやした地酒は、米本来の甘さをストレートに表現した味わいと、きれ味のよさが特徴です。

現在は上杉謙信ゆかりの地として、毎年10月下旬に上越市と地元の酒蔵が中心となり、「越後・謙信SAKEまつり」を開催しており、上越の地酒と食が楽しめます。

「佐渡」は旨みのある辛口タイプ

佐渡

佐渡は全国唯一のトキの生息地として有名で、トキが暮らす島として環境保護に取り組んでいます。トキはきれいな水の田んぼでえさをとるといわれ、原料米の低農薬や自然栽培など、環境に配慮した酒づくりを行っている酒蔵もあります。

旨みのある辛口タイプが特徴でありながら、5つの蔵がそれぞれの酒づくりにストーリーを託し、多様性のある「佐渡の地酒」として全国で注目されています。

日本酒×料理の“幸せな出逢い”を見つけよう

牡蠣と日本酒

新潟の日本酒をおいしく楽しむためのヒントとなる“おすすめマリアージュ”を4パターンご紹介します。ぜひ、自分好みの“幸せな出逢い”を見つけてみてくださいね。

マリアージュ(ペアリング)とは……
お酒の個性と料理の個性を組み合わせ、お酒と料理のおいしさを何倍にもふくらますこと。

マリアージュ(ペアリング)には、似た性質を持つ者同士をあわせる“同調”、酸味と甘みなど違う性質を持つものを合わせ新しい味をつくり出す“第3の味わい”の2種類があります。さらに日本酒は温度を変えたり、酒器を変えることでも、味わいが大きく変わります。

生ハムと日本酒

ハーブやオリーブオイルを使った料理×大吟醸

香り豊かなハーブやオリーブオイルを使った料理には、フルーティーな大吟醸がベストマッチ。華やかなおいしさが口いっぱいに広がります。

クリームソースを使った料理

クリームソースを使った料理×生酒

生酒には、生クリームやホワイトソースを使った料理がぴったり。生酒の甘酸っぱさが旨みをふくらませ、とろけるようにまろやかな味わいを生みだします。

キャラメルナッツ

キャラメルナッツ×古酒

キャラメルナッツとナッツやバニラのような香りのする古酒の組み合わせは大人の味。上品で香ばしい味わいは、高級なデザートのようです。

ポン酢を使った白身魚料理

ポン酢×本醸造

キリッとすっきりした本醸造とポン酢のペアリングは、食材の甘みと旨みを引き出す最高のコンビ。相乗効果でついついお酒が進みます。

エリアごとの日本酒をとっておきのペアリングで

日本酒の味わいが古くからの食文化とリンクしていると聞くと、新潟の食にもさらに興味が湧いてきますね。エリアごとに飲み比べてみたり、個性に合ったおつまみを組み合わせれば、新潟の日本酒の新しい一面を感じられそうです。

この記事は、新潟清酒ガイドブック『THE NIIGATA SAKE BOOK』の一部を転載し再編集したものです。紹介されている情報は2018年3月31日時点のものです。