新潟の日本酒の知られざる知識や楽しみ方を、新潟清酒ガイドブック『THE NIIGATA SAKE BOOK』から、ご紹介します。
新潟県は、日本酒生産量が全国第3位の酒どころであり、酒蔵の数も日本一。酒蔵では日々、未来のための挑戦を行っています。「日本酒学」の啓蒙に、ビギナー向け日本酒の開発など、新潟の知られざる日本酒文化づくりへの取り組みをご紹介します。
県内で約90か所も! 日本で一番酒蔵が多い新潟
佐渡
新潟港から両津港、直江津港から小木港へ佐渡汽船が運航しています。佐渡島には5つの酒蔵があります。
下越
新潟空港は複数の国際便が就航し、成田空港との航空路もある新潟の玄関口です。東京から新幹線で約2時間。下越エリアには29の酒蔵があります。
中越
東京から新幹線で約1時間30分。越後三山や苗場山などの山麓にスキー場や温泉地が点在しています。長岡市を中心に、中越エリアには34の酒蔵があります。(2020年12月時点)
上越
東京から北陸新幹線で約2時間。上杉謙信や親鸞ゆかりの地で、県内有数の豪雪地帯でもあります。上越市を中心に、上越エリアには20の酒蔵があります。
新潟には約90の酒蔵が点在しており、その多くが100年以上の歴史を持ち、技術革新に力を注ぐマイクロブルワリーです。少量ずつの手の行き届いた手仕事で日本酒を生み出しながら、日々日本酒の可能性を広げる取り組みに挑戦し、醸し出される酒一本一本を唯一無二のものとしています。
新潟県酒造組合では、そんな酒蔵の魅力をウェブサイト「酒の国にいがた」を通じて発信。それぞれの酒蔵の土地、人、技、酒づくりへの思いなどを伝えています。
酒蔵をはじめ、新潟県、新潟県酒造組合、新潟大学が熱意を傾ける新潟の日本酒。ここからは、知られざる日本酒文化への挑戦をご紹介します。
世界初! 新潟から発信する“日本酒学”って知ってますか?
日本酒学とは、原料から、酒づくり、販売までの工程に加えて、日本酒の歴史や文化、健康との関わりなど、幅広い領域を学問として捉える世界初の試みです。2018年4月には新潟大学日本酒学センターが設置され、日本酒学の講義が開講。新潟県、新潟県酒造組合、新潟大学が連携し、日本酒学の拠点形成に取り組んでいます。将来は、世界から新潟へと学びを求める人々が集うような、日本酒学の教育・研究の拠点となることを目指しています。
web:新潟大学日本酒学センター
オール新潟の酒米! 酒蔵が新しい酒づくりに挑戦
原料となる酒米すべてをオール新潟産として、顔の見える地元農家や蔵人が栽培したものに切り替える酒蔵が増えています。佐渡の酒蔵では、米生産者の蔵人が地元農家と連携し、自然栽培による〈越淡麗〉で醸した純米大吟醸酒をプロデュースしました。
ワインと同じつくり方? 原料から手がけるドメーヌスタイル
蔵人が酒蔵近郊で酒米を栽培し、その年に収穫した酒米のみで醸すドメーヌスタイルへの取り組みも始まっています。上越の酒蔵では、酒米を単一栽培して、その年の米を等級ごとに使用してつくった酒を、独自ブランドとして販売。原料から一貫生産するワインの生産工程を新潟清酒で体現し、世界に誇るブランドを目指しています。
初心者にもチャレンジしやすい日本酒が誕生
新たなファン獲得のために、スパークリングや低アルコールなど、新しい酒づくりに挑戦している酒蔵もあります。上越の酒蔵では、次期蔵元が独自の酒づくりを追求し、杜氏や蔵人とともに瓶内2次発酵によるスパークリング日本酒をつくり出しました。シュワシュワとした舌触りやのど越しの良さ、すっきりとした後味のきれいな甘さが、日本酒ビギナーを魅了しています。
酒蔵の個性を伝える、酒米の栽培や酒づくり体験も盛んに
原料米の生産や酒づくりの体験を通じて、地域の魅力向上に取り組む酒蔵も数多くあります。佐渡の酒蔵では、廃校を酒蔵にリノベーション。夏季に酒を仕込み、広く国内外から仕込み体験希望者を受け入れるとともに、佐渡から島国日本の未来を考える特別授業を開催しています。
全国一酒蔵が集まる新潟で、さまざまな取り組みによって生まれ続ける個性的な日本酒。その奥深さや味わいの可能性は、無限大です。ぜひ新潟の取り組みを知って、その味わいを体感してみてください。
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この記事は、新潟清酒ガイドブック『THE NIIGATA SAKE BOOK』の一部を転載し再編集したものです。紹介されている情報は2018年3月31日時点のものです。
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