黒埼茶豆に十全ナス、やわ肌ネギ、帛乙女(きぬおとめ)、かぐら南蛮……。これらはすべて、新潟が誇る地域の特産野菜。豊かな土地と水、夏の暑い日差しと刺すような冬の寒さが生む寒暖差など、作物にとって恵まれた条件のもとで育った新潟野菜はどれも特徴的で味わい深く、県外の人はそのおいしさに驚くほどです。
実はいま、そんな新潟野菜を存分に味わえる「農家レストラン」が、県民の間で静かなブーム。年々少しずつ増え続け、その数は30軒を超えています。農家のお母さんたちが手弁当でやりくりする食堂から、地域の旬が集まる大きな直売所に併設したレストランまで、特徴もさまざまに次々と誕生しています。
農家レストランの最大の魅力といえば、品質が高い農産物をみずみずしいままに楽しめること。ほんの数時間前まで畑に実っていた野菜を味わえるのは、都会ではなかなか叶わない贅沢な体験です。また、生産者の顔が見える野菜ですから、安心して口に運ぶことができます。田舎の親戚の家に遊びにきたような温かみのある接客や一面に広がる田園風景、豊かな実りを感じる里山など「おいしい」以外の魅力もいっぱい。
今回は、新潟の旬野菜をおいしく味わえるのはもちろん、農産物直売所など食事以外の楽しみもしっかりとカバーした農家レストランをご紹介します。
【 Restaurant 1 】
雪室熟成野菜でつくるおふくろの味!
ビュッフェレストラン〈六花の里〉
新潟県の南部に位置する上越市の直売所〈あるるんの杜〉に併設したビュッフェレストラン。農家直送の朝採り野菜や地元のブランド肉、近くの漁港でとれる新鮮な魚介を使った料理など、常時50種類ほどのメニューが並びます。旬を先取りした食材でつくるやさしい料理は、まさにおふくろの味。収穫した野菜を冬の間に雪室で貯蔵し、素材がもつ甘みや旨みを引き出した「雪室熟成野菜」を味わえるのも魅力です。
広い直売所を併設したあるるんの杜には〈六花の里〉のほかにもさまざまな専門店が並び、なかでも注目はベーカリー〈米粉パン工房 じゃぱん〉。
県産の米粉を使ってつくるパンはもちもち、ふわふわ。生地は3種類、中身は10種類以上から選べて、目の前で好みのコッペパンに仕上げてくれるので、地元の人にも好評です。
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