旅の醍醐味といえば、やっぱりご当地グルメ。新潟県はお米にお酒、海の幸、見た目も味わいも多彩なラーメンなど、「おいしい」のバラエティが豊富なところも魅力のひとつ。
南北に長く広がり、方言も細かく違うほど地域差のある新潟県ですから、その土地ごとに発展を遂げたご当地グルメもたくさんあるんです。今回は新潟県内の中でもより狭いエリアの人たちしか食べないような、ちょっと風変わりなご当地グルメをピックアップ。
ラーメンに負けないほどバラエティ豊かな「麺料理」、どうしてここまで地域差があるのか県民自身も不思議に感じている「カツ丼」、4色すべてを制覇した人はきっと少ない「カラフル焼きそば」の3つのカテゴリー別に、新潟ならではのご当地グルメの数々をご紹介します。間違いなく食べたことをネタにできるような、新潟ならではのローカル色豊かな料理です。
【 イタリアン 】
新潟のソウルフードといえばコレ!〈みかづき〉
皆さんは「イタリアン」と聞くと、パスタやピザといったイタリア料理を思い浮かべることでしょう。しかし新潟県民なら、ウスターソースで炒めた中華麺にたっぷりと甘酸っぱいトマトソースと粉チーズをかけた一品を思い浮かべるものです。
1960年頃から販売が始まり、開発当時にブームだったナポリタンに対して、新しい麺料理という意味で「イタリアン」と名づけられたそう。最初は焼きそばでもスパゲティでもない不思議な感覚にとまどうかもしれませんが、気がつくと完食しているようなクセになる味わいです。
〈みかづき〉は現在は新潟市内を中心に22店舗、カレーやホワイトソースなど、メニューも多彩になっています。
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【 イタリアン 】
中越のイタリアンはギョーザと一緒に〈フレンド〉
「イタリアン」は、実は新潟市を中心とする〈みかづき〉と長岡市を中心とする〈フレンド〉の2社で提供されています。焼きそばにミートソースという基本的な組み合わせと名称は同じですが、フレンドのイタリアンはひき肉たっぷりでコクのあるソースと中細麺を合わせていて、みかづきよりも焼きそばに近いイメージといえるかもしれません。
またフレンドではぜひギョーザを一緒に頼みましょう。“イタリアン”なのに焼きそばとギョーザというスタイルは県外の人は驚くかもしれませんが、ここでは鉄板。そのためフレンドでは割り箸、みかづきではフォークでいただきます。そんなところもおもしろいですよね。
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【 オッチャホイ 】
声に出したくなる、唯一無二の麺料理〈シンガポール食堂〉
新発田藩10万石の城下町として栄え、いまもなお風情を残す新発田市。そんなまちで60年以上も愛されて続けている一風変わった麺料理があります。その名も「オッチャホイ」。1946年創業の老舗食堂の看板メニューです。
シンガポール生まれの創業者が幼い頃に現地の屋台で食べた味を再現しようと考案したもので、きしめんのような幅広の平打ち麺とトウガラシやニンニクが効いたスパイシーな味わいが特徴です。
ただ、実際にシンガポールに「オッチャホイ」という料理があるわけではなく、名前の由来は不明。それでも思わず口にしたくなる名物を求めて全国からご当地グルメ好きが集まる、知る人ぞ知る食堂なんです。
テーブルに常備してあるソースやタバスコをかけて、味の変化を楽しむのもよし。ちゃんぽんのような「汁オッチャホイ」(650円)もあります。
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【 冷やしラーメン 】
残暑にぴったり! 冷やしラーメンはいかが!?〈鈴多食堂〉
全国的には冷やしラーメンといえば山形県が有名ですが、実は新潟にも。特に油揚げで有名な長岡市栃尾地区で盛り上がっていて、地元では「冷丼」の愛称で親しまれています。
その有名店である〈鈴多食堂〉の冷やしラーメンは、煮干しやカツオ節、昆布からとった魚介ベースのあっさりスープがウリです。麺は冷水で2回に分けて締めて芯までキンキンに冷やすこだわりようで、ひと口食べれば暑さも吹き飛ぶ一品。
鈴多食堂では、毎年5月頃から10月初旬まで提供しています。ちなみに、ひき肉とタマネギのみでつくる、旨みがギュッとつまった「自家製シュウマイ」(4個480円)も名物です。
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