おうち時間が増えている昨今、自炊の腕をあげている人も多いのでは? そんな方へ、新潟の名産品を自宅でアレンジするレシピをお届けします。これまでに試したことのないメニューをつくって、「おうち居酒屋」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回は新潟県佐渡島のソウルフード「いごねり」をピックアップ。日本海で採れる「いご草(えご草)」という海藻と水だけを使ってつくられる、シンプルな郷土の味をご紹介します。
究極にシンプルな佐渡島のソウルフード
佐渡島の郷土食として知られる「いごねり」。昔から人が集う冠婚葬祭に欠かせない食べものとして、島民たちに親しまれてきました。かつては各家庭で秋から春にかけて手づくりしていたといいますが、現在は専門メーカーが製造しているため、一年を通して日常食として食卓に並ぶそうです。
原料は日本海で採れるいご草という海藻と、水だけ。このふたつを釜に入れて煮詰め、よく練り固めるという、とてもシンプルな工程でつくられています。
1970年からいごねり一筋でつくり続ける佐渡島の専門メーカー〈早助屋〉では、薄く伸ばしたいごねりをくるくる巻いた「巻いごねり」と、こんにゃくのような四角い形状の「角いごねり」をつくっていますが、佐渡島では巻いごねりが伝統であり、島外では角いごねりが主流だとか。
なお、〈早助屋〉のつくるいごねりは、6割が島内、3割が島外の新潟県内、残り1割がそれ以外の消費ということで、佐渡島や新潟以外では目にする機会が少ないのも事実。それでも「佐渡の食文化を今後も残していきたい」と首都圏での販売会などにも積極的に参加し、いごねりのPRを続けています。
カロリーが低く食物繊維が豊富ないごねりは、健康食材としても注目されているようで、佐渡島内では介護食としても採用されています。
磯の香りに包まれる、アレンジ幅が広い食材
いごねりの基本的な食べ方は、細く切ってネギや生姜などの薬味をのせ、醤油や酢味噌をかけるというもの。口に入れた途端に、磯の香りがいっぱいに広がります。
巻いごねりと角いごねりは形状が違うだけなのですが、それぞれ食感と味わいも異なるように感じるので、食べ比べてみるのもおもしろいです。
また、胡麻和えにしたり、中華風ドレッシングやマヨネーズをかけたりすることも。さらに佐渡島内にある海士町(あままち)という地域では、めんつゆをかけた“海士町そば”という食べ方もあるといいます。
いごねり自体は海藻の風味でさっぱりしているので、合わせる調味料によってアレンジの幅が広い食材かもしれません。自分好みの味つけを見つけてみてはいかがでしょうか。
佐渡島の地で、幸せを醸す蔵
いごねりを肴に楽しみたいのが、〈真野鶴〉の銘柄で知られる〈尾畑酒造〉のお酒です。
1892(明治25)年創業の〈尾畑酒造〉は佐渡市に蔵を構え、「四宝和醸(しほうわじょう)」という独自の言葉をモットーに酒づくりをしています。これは酒づくりの三大要素といわれる米・水・人に、産地である佐渡を加え、4つの宝の和をもって醸すということを意味しています。また、酒づくりを通してたくさんの幸せを醸したいと、「幸醸心(こうじょうしん)」という言葉を経営理念に置いています。
四方を美しい海に囲まれた佐渡島は、海流の関係から、新潟県の中でも本土に比べて夏は涼しく、冬も極端な低温にならないのが特徴。特に酒づくりの季節である冬は、日本海側特有の曇天から日中と夜の温度差が少なく、安定した低めの温度となるため、醸造に最適な環境といえます。
また、トキが舞う佐渡島では、野生のトキとの共生を図るために、環境保全活動が盛んに行われており、酒米には生き物の調査を実施しながら化学農薬、化学肥料を減らして栽培している「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」を採用するなど、サステイナブルな酒づくりを心がけているといいます。
こうした佐渡島の風土によって生み出されている〈尾畑酒造〉のお酒を、佐渡島の郷土の味である「いごねり」とともに味わえば、幸せな気分になること間違いなし。佐渡島の自慢の組み合わせをお楽しみください。
購入可能なお店
「いごねり」は表参道駅・徒歩1分のアンテナショップ〈ネスパス〉で購入できます。
web:表参道・新潟館ネスパス
※新型コロナウイルスの影響により営業日・営業時間を変更しておりますので、詳細はHPにてご確認ください。
お取り寄せ
「巻いごねり」と「角いごねり」のセットなど、いごねり専門メーカーならではの品揃えからお選びいただけます。
お取り寄せ:佐渡 早助屋 いごねり直送便
尾畑酒造の詳細
web:尾畑酒造
credit text:長谷川梨紗(くらしさ) photo:長谷川浩史(くらしさ)