市民や観光客の憩いの場〈上古町の百年長屋 SAN〉で
くつろぎの時間を
「にいがた2km」圏内の上古町地区は、歴史深いまち。新潟の総鎮守白山神社へ続くメインストリート・古町通りの参道に歴史を感じさせる長屋がずらっと並んでいます。
このエリアには古くから営む個人商店や喫茶店が並ぶなか、歴史ある建物をリノベーションしたお店が続々オープンするなど、いま新たな息吹が吹き込まれています。
今回お邪魔したのは、2021年12月にオープンした複合施設〈上古町の百年長屋 SAN〉。
新潟土産〈浮き星〉(うきほし)を楽しめる喫茶をはじめ、フラワーショップやミーティングルームなど、さまざまな使い方があります。
〈浮き星〉とは、もち米でつくったあられに砂糖蜜をかけた、120年以上の歴史を持つ新潟の伝統的なお菓子。もともとは別の名で売られており、砂糖が貴重だった時代には贅沢品でした。
実はこの〈浮き星〉、現在は新潟市にある明治33年創業の〈明治屋ゆかり店〉でしか製造しておらず、少し前までは売り場の縮小を余儀なくされていたのだそう。
そこで〈SAN〉の館長でもあるクリエイト集団〈ヒッコリースリートラベラーズ〉の迫一成さんが、商品名もパッケージも新たにプロデュースし、再び注目を集めるようになりました。
「“浮くお菓子”と、水面にぷかぷか浮いている新潟市の鳥である“白鳥”をモチーフにパッケージをデザインしました。新潟の伝統菓子もこの古町も盛り上げられたら」と迫さん。
SANは、これまでの文化の価値を再発見し、新たな視点で発信する取り組みを行っているようです。
そのひとつに、〈浮き星〉を使ったソフトクリームがあります。
SANの中にある〈喫茶UKIHOSHI〉の看板メニューのひとつであるこのソフトクリームは、阿賀野市の〈神田酪農〉の濃厚なミルクを使ったソフトクリームに、〈浮き星〉をトッピング。新潟の茶葉卸〈向井園〉と共同開発した、〈浮き星〉に合う煎茶に入れて味わうのもおすすめです。
「〈浮き星〉の見た目のかわいさはもちろん、煎茶で砂糖蜜のコーティングが溶けたときに浮かんでくる様子が楽しいです」とアリスさん。
金平糖のような見た目ですが、それよりも小ぶりで素朴な甘さなので、さまざまな食べ方で楽しめます。
副館長の金沢李花子さんは「SANから新潟の魅力を発信していきたいですね。古町の総合案内所だと思って何でも聞いてもらえたら」と、観光客のアリスさんにていねいな観光案内をしてくれました。
古町のディープでローカルな情報を知りたくなったら、SANに顔をだすと良さそうです。
Information
車がなくても新潟の魅力を自転車でサクサク巡る旅ができるので、天気の良い日にぜひ楽しんでみてください。
credit model:斉藤アリス photo:ただ(ゆかい)
text:藤田佳奈美