新潟のつかいかた

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新潟5大ラーメン
【新潟濃厚味噌ラーメン】
新潟ラーメン伝道師が選んだ、
こってり濃厚で、
旨みたっぷり味噌ラーメン Posted | 2022/08/19

いまや多くのラーメンファンが、「新潟ラーメン」を求めてやってくるほど、新潟のラーメンの知名度は全国に広がりました。なかでも「長岡生姜醤油ラーメン」「燕背脂ラーメン」「新潟濃厚味噌ラーメン」「新潟あっさり醤油ラーメン」「三条カレーラーメン」の「新潟5大ラーメン」が、その人気を牽引しています。

今回紹介するのは「新潟濃厚味噌ラーメン」。新潟Komachi編集部に所属し、15年以上ラーメンを取材し続ける「新潟ラーメン伝道師」の片山貴宏さんが新潟濃厚ラーメンと、その人気店をご紹介します。

新潟濃厚味噌ラーメンとは

すり鉢状の大きな丼に、たっぷりの野菜とモチモチの麺。そして、味噌ベースのスープはその名のとおり、超がつくほど「濃厚」。別添えの割りスープを加えて、味の濃さを調整しながら食べるという珍しいスタイルが最大の特徴です。発祥は新潟市西蒲区の〈こまどり〉で、独立やのれん分けをしたお店が味を継承し、オリジナリティあふれる味わいを誕生から50年以上伝え続けています。

独特のスタイルが生まれたきっかけは、お客さんに対する心遣いから。元祖の〈こまどり〉は創業当時、温泉街にお店を構えていました。近くの宿に味噌ラーメンを出前で届けたところ、飲んだ後に食べたお客さんから味が濃いというクレームが入ったそうです。

そこでご主人が味を薄めるスープを届けたところ、それが好評で、お店に食べに来るお客さんも割りスープを注文するようになり、定着したそうです。

新潟では、地元の味噌をふんだんに使った味噌ラーメンを看板に掲げるお店が多いのも特徴です。「濃厚」とひとことで言っても、その味わいは多種多彩です。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「赤味噌が主体のスープは強い塩味が特徴ですが、たっぷりと盛られた野菜の水分や、コクのある動物系ダシを使っているため、そこまで『しょっぱい!』という印象ではありません。まずは割りスープを使わずに、そのままの味を楽しんでください。多加水のモチモチした太麺を使うお店が多く、食べ応えはどこも満点です」

多彩な味噌ラーメンを提供するパイオニア〈こまどり〉

〈こまどり〉の「味噌ラーメン」
「味噌ラーメン」(780円)。

雪割草やカタクリの群生地として、登山客に人気の角田山(かくだやま)のふもとにある〈こまどり〉は、1973年の創業。80席の店内はカウンターやテーブル、広い座敷を完備し、休日ともなると行列必至の老舗。

〈こまどり〉では、看板の味噌ラーメンをはじめ、「味噌五目」や「ごまだれ味噌」「ねぎ味噌」など計10品の味噌ラーメンを提供しています。それぞれのスープは異なる味噌ダレを使うというこだわりようで、同じメニューをリピートし続けている常連さんもいるほど。

厨房にずらっと並ぶ味噌タレの入った樽
厨房にはそれぞれの味噌ラーメンに使用するタレがズラリと並ぶ。

味噌ラーメンの具はひき肉と野菜にキクラゲがたっぷり。フライパンでラードと炒め、ダシと新潟県産の赤味噌ベースのタレを加えて煮込んだら、スープの完成です。食べるたびに野菜の旨みがスープに染み出し、割りスープを使わずに完食するお客さんも多いとか。合わせる麺はモチモチの太ストレート麺で、スープとの相性は抜群です。

割りスープを足してスープの濃さを調節
丼に入った割りスープで味を調節しよう。

初代店主が約50年前につくったという一杯は、お客さんへの心遣いと地元産の風味豊かな味噌などにより、独自の進化を遂げています。

〈こまどり〉の餃子
モチモチの皮が特徴の餃子はテイクアウトでも人気。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「『味噌ラーメン』にはあっさりしたダシを使っていますが、濃厚好きの人には100パーセント豚骨スープを使った『野菜とんこつ味噌ラーメン』もオススメです」

Information

【こまどり】
address:新潟県新潟市西蒲区竹野町2454-1
tel:0256-72-2827
access:JR巻駅から車で約15分
営業時間:11:00~14:30、16:30~21:30(土曜・祝日11:00~21:00、日曜11:00~19:00)
定休日:木曜
駐車場台数:60台 席数:80席
web:こまどり

伝統の味を守りつつ時代に合わせて進化〈元祖新潟濃厚味噌 東横〉

〈元祖新潟濃厚味噌 東横〉の「先代特製味噌」
「先代特製味噌」(1060円)。

〈元祖新潟濃厚味噌 東横〉は、新潟県内に5店舗を展開する老舗。新潟市を横断する交通の大動脈・新潟バイパスの紫竹山インター近くにある紫竹山本店がオープンしたのは約20年前。最近では、大型ショッピングセンターにも出店するなど、伝統の味を今に伝えています。

〈元祖新潟濃厚味噌 東横 紫竹山本店〉外観
黄色や水色など鮮やかな色使いの外観。

人気メニューの「先代特製味噌」は、豚肩ロースを約100グラムも使った大判チャーシューが目を引きます。大きさもさることながら、提供直前に特製ダレと一緒にフライパンで焼くので、濃厚スープに香ばしさとコクが加わります。

味の要となる味噌ダレは、鋭い塩味が特徴の新潟県産越後味噌を使用。こちらに豚骨と鶏ガラから抽出したコクのある動物系ダシを合わせているので、ただしょっぱいだけではないまろやかなスープが完成します。この旨みと塩味の濃いスープをまず割りスープなしで味わってみてください。

味噌ダレを仕込み中
味噌ダレの配合比率はスタッフ数人しか知らない企業秘密。

丸みを帯びた極太麺は多加水のストレート。新潟県産コシヒカリの米粉とタピオカ粉を使っていて、モチモチ感が抜群です。「ご当地ラーメンなら食材も地元にこだわりたい」というご主人の思いが、スープと同様濃厚に詰まった一杯です。

ポットに入った割りスープを味噌ラーメンに足す
割りスープは保温ポットに入っているのでいつでも熱々。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「味噌と動物系による濃厚スープに対して、割りスープは魚介系主体のあっさりテイスト。味を薄めるというより風味が変わるので、味変を楽しんでください」

Information

【元祖新潟濃厚味噌 東横 紫竹山本店】
address:新潟県新潟市中央区紫竹山1-8-20
tel:025-290-4770
access:JR新潟駅から車で約10分
営業時間:11:00~22:00(21:00L.O.)
定休日:なし
駐車場台数:24台 席数:64席
宅配にいがた麺の市
※「宅配にいがた麺の市」では、週替わりで新潟の人気ラーメンを販売しています。定期的に販売期間が変更されるので、販売期間をご確認ください。

元祖の流れを汲んだ一杯は、濃さと香りのバランスを重視〈麺 東光〉

〈麺 東光〉の「味噌ラーメン」
「味噌ラーメン」(840円)。

新潟市北区、旧豊栄市の中心部に立つ〈麺(まるめん) 東光〉(※正確には○の中に「麺」)。1988年創業でご主人は新潟濃厚味噌ラーメンの元祖〈こまどり〉で修業した後に独立。「東光」という店名の名づけ親は〈こまどり〉の初代店主なのだそうです。

〈麺 東光〉外観
メニュー名が書かれた板や味噌樽が並ぶ外観。

看板メニューの「味噌ラーメン」をはじめ、野菜を800グラムまで増量できる醤油ベースの「東光ラーメン」や、煮干しを利かせた「マーボー麺」など独創性あふれるメニューもそろえています。

スープを特徴的な形のレンゲですくう
スープはニンニク不使用。卓上のニンニクすりおろしをお好みで。

大きなすり鉢のような丼と特徴的なレンゲは、修業をした〈こまどり〉と同じ。食欲をそそるたっぷりの炒め野菜やひき肉も同様ですが、異なるのはスープ。角の立った鋭い塩味ではなく、ダシの風味を感じるややライトな味わい。

店主こだわりのダシは、丁寧に下処理を施したゲンコツや鶏ガラ、日高昆布、イワシなどをじっくり煮出してコクと香りを引き出す清湯系です。味噌ダレは〈こまどり〉と同様に、越後味噌を中心に数種類をブレンド。お好みで濃いめにもできるので、濃厚好きな人は注文時にスタッフの方へ伝えてみてください。

「追い味噌」が入った小皿
濃い味好きのために「追い味噌」が無料サービス。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「味噌だけでなくダシの風味を生かしたバランス系濃厚味噌です。野菜は増量可能で、大盛り、バカ盛り、メガ盛りまで量を選べます。胃袋と相談してチャレンジしてみてください」

Information

【麺 東光】
address:新潟県新潟市北区葛塚上町3325-2
tel:025-386-7114
access:JR豊栄駅から車で約5分
営業時間:11:00~13:45 、17:30~21:00(20:00L.O.)
定休日:月曜
駐車場台数:24台 席数:26席

赤と白のブレンド味噌と魚介ダシが好相性〈ふじの〉

〈ふじの〉の「味噌らーめん」
「味噌らーめん」(880円)。

新潟県内で味噌ラーメンを看板に据えるお店の多くは、県民になじみのある赤味噌を使っています。塩味の強い赤味噌と動物系ダシを合わせ、濃厚なスープに仕上げていますが、〈ふじの〉は赤味噌に加えて甘みのある白味噌をブレンドしています。

〈ふじの〉外観
新潟市の東区と江南区をつなぐ県道沿いにある〈ふじの〉。

「昔食べたような、味噌らしさを感じる一杯をつくりたい」というご主人の思いから、調味料を加えて寝かせた味噌ダレのほか、丼に直接、赤と白の生味噌をたっぷり加えています。味噌ダレは、寝かせることで素材の持つ味わい同士がなじむ半面、風味が弱まります。そこへ生味噌で強烈かつフレッシュな風味を補う、この「W味噌」とも呼ぶべき非常に珍しいスタイルでスープを仕上げます。

小鉢に入った赤と白の生味噌
白と赤、2種類の味噌をスープと合わせる。

合わせるダシは、豚骨などの動物系に加えて煮干しをしっかり利かせ、単調になりがちな濃厚な味噌ダレに魚介の風味をプラスしています。さらに、肉そぼろには生の生姜をたっぷり混ぜ込んでいて、食べ進めるうちに味が変化するという仕掛けも。昔ながらの味噌で際立たせた濃厚な味わいを、現代仕様に進化させた一杯です。

トッピングされた豚ひき肉
豚ひき肉の味つけに生姜をたっぷり使い、スープに混ぜると風味が変化。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「使っている味噌の量は一般的な味噌ラーメンと比べて、約2倍。味が濃そうなイメージですが、煮干しの風味が効いているのでバランスが絶妙です。ひき肉には刻んだ生姜とニンニクがたっぷりなので、スープに混ぜるとガラッと味の雰囲気が変わります」

Information

【ふじの 東中野山店】
address:新潟県新潟市東区東中野山1-1-11
tel:025-277-4122
access:JR東新潟駅から車で約5分
営業時間:11:00~21:00L.O. ※スープがなくなり次第終了
定休日:不定休
駐車場台数:13台 席数:35席

山のような白髪ネギの下に潜む濃厚スープ〈ひさご〉

〈ひさご〉の「ネギみそラーメン」
「ネギみそラーメン」(990円)。

新潟県の北部、新潟市に隣接する阿賀野市の老舗〈ひさご〉には、スープの濃厚さはもちろん、ボリュームの多さで県内随一の味噌ラーメンがあります。

〈ひさご〉の外観
国道49号線沿いでひときわ目立つ外観の〈ひさご〉。

すり鉢状の大きな丼の上には、山のように盛りつけられた白髪ネギ。その量は驚きの3本分です。〈ひさご〉には、味噌ラーメンが10種類以上ありますが、ボリュームはこの「ネギみそラーメン」がナンバーワン。ネギの下には炒めたひき肉やモヤシ、キャベツ、そして味噌ベースのスープという、新潟濃厚味噌ラーメンおなじみのビジュアルが顔をのぞかせます。

塩味の強い赤味噌ベースの熟成ダレを使ったスープは野菜を大量に加えたダシの甘みがあり、しょっぱいというよりまろやかな味わい。縮れの強いモチモチの太麺がスープをよく絡め取ってくれます。

小皿にのった味噌ダレ
赤味噌をベースに5種類の味噌を調合し、10日間熟成させた味噌ダレ。

20年以上前から提供している「ネギみそラーメン」。ご主人によると、当時はネギの量が今の3分の1程度でしたが、お客さんの喜ぶ顔を見るたびに量がどんどん増えていったそうです。お客さん思いのご主人の心意気に感謝しつつ、濃厚スープとたっぷりのネギを心ゆくまで堪能してください。

レンゲでスープをすくう
スープには炒め野菜の香ばしさが染み出している。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「ネギは別皿で提供してもらうことも可能です。みんなでシェアしたり、ラー油や醤油でお酒のつまみにする常連さんもいるとか。麺は細麺か太麺を選べますが、濃厚なスープと歯ごたえのあるネギのバランスを考えると、太麺がオススメです」

Information

【ひさご】
address:新潟県阿賀野市百津町9-30
tel:0250-62-1567
access:JR水原駅から車で約3分
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00L.O.(土・日曜・祝日11:00~21:00L.O.) ※スープがなくなり次第終了
定休日:火曜(祝日の場合翌日)
駐車場台数:29台 席数:30席

他県では味わえない、新潟ならではの味噌ラーメン。「自分好みの味で楽しんでほしい」というお店の心意気に感謝しながら、まずは濃厚なスープをそのまま味わってみてください。

「宅配にいがた麺の市」では、新潟の人気ラーメンを販売しています。新潟のラーメンに特化し、豊富なラインナップを取り揃えています。ご自宅でも人気店の味をお楽しみください。

credit edit:Komachi編集部