新潟のつかいかた

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新潟5大ラーメン
【三条カレーラーメン】
新潟ラーメン伝道師が選んだ、
バリエーションの豊富な
カレーラーメン5選 Posted | 2022/08/29

新潟5大ラーメン」のなかでも、もっとも歴史が古く、バリエーションが豊かなのが「三条カレーラーメン」。そのほかのラーメンと比べると全国的な知名度はやや低いものの、ラーメンとカレーという2大国民食のかけ合わせは、多くのファンを虜にしています。

新潟Komachi編集部に所属し、15年以上ラーメンを取材し続ける「新潟ラーメン伝道師」の片山貴宏さんが、三条カレーラーメンと、その人気店をご紹介します。

三条カレーラーメンとは

カレーとラーメン。この2大国民食をミックスさせた「カレーラーメン」が誕生したのは、今から約80年前。「新潟5大ラーメン」のなかでは知名度がやや低めですが、その歴史はもっとも古いと言われています。誕生のルーツは、東京の洋食店。小麦粉を練ってつくるイギリス式のカレールーの製法を習得した職人が、地元三条の食堂でラーメンと融合させたのが、「三条カレーラーメン」です。

誕生は戦前ですが、市民に広まったのは高度経済成長期。金物産業が盛んな三条市には工場が多く、そこで働く職人たちは、食事をつくる時間がないほど多忙だったため、出前で食事を済ませることが多かったそうです。熱々でとろみのあるカレールーは時間が経っても冷めにくく出前のラーメンに最適で、「燕背脂ラーメン」と同じく、地元の職人がきっかけで広まったと言われています。

三条市内でカレーラーメンを提供するお店の団体〈カレーラーメン部会〉によると、カレーラーメンの定義は「カレー味のラーメン」とシンプル。そのため、真っ黒なスープやご飯入りスープなどカレーラーメンの内容は多種多彩です。カレーラーメンのスタンプラリーを定期的に行うなど、PRにも積極的なので、食べ歩きも楽しいです。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「北海道や千葉県、青森県にもご当地のカレーラーメンが根づいていますが、その歴史は三条市がもっとも古いので、日本のカレーラーメン発祥の地であることは間違いありません。三条市ではカレーラーメン食べ歩きマップを配布しているので、それを参考にお気に入りを見つけてください」

和風ダシと熟成スパイスが織りなす豊かな風味〈正広〉

〈正広〉の「カレーラーメン」
「カレーラーメン」(900円)。

「大衆食堂」を看板に掲げているとおり、〈正広〉のメニューはラーメンに限らず、そばやうどん、丼、定食と驚きの品ぞろえ。そのなかでも長年看板メニューとして親しまれているのが、「カレーラーメン」です。ゴロッと入ったニンジンやジャガイモ、豚肉はおなじみのカレーのビジュアルですが、中身はひと味違います。

「カレーラーメン」の麺を持ち上げる
中太の縮れ麺がスープと絶妙に絡む。

豚骨や煮干し、昆布から取ったラーメン専用のダシと合わせているので、スープをすすった瞬間は甘く、その後にじんわりと辛さが広がり、煮干しやかつお節の香りが後を引く。この食べるたびに変化を感じる奥深さが〈正広〉のカレーラーメンの人気の理由です。

小瓶に入った自家調合スパイス
味の決め手となるスパイスは自家調合。

カレーの要となるスパイスは、クミンやコリアンダーなど約20種類をお店で調合して長期間熟成。その配合比率や種類を日々改良しているそうなので、ご主人によると「日々おいしくなっている」とのことです。

お店では、カレーラーメンのインスタント袋麺を販売しているので、おうちでもお店の味を楽しめます。

〈正広〉外観
「大衆食堂」の文字が目立つ外観。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「ご飯のついたカレーラーメンセットや新潟市のご当地グルメ、タレかつ丼とのセットもありますので、ご飯と麺を楽しみたい人にはオススメです。夏季は冷やしカレーラーメンも登場します」

Information

【正広】
address:新潟県三条市石上2-13-38
tel:0256-31-4103
access:JR北三条駅から車で約5分
営業時間:11:00~14:30(日曜・祝日は〜15:00)、17:00~21:00
定休日:月曜 ※祝日の場合は翌日
駐車場台数:16台 席数:86席

80年の歴史を持つ、塩味スッキリ系カレーラーメン〈大黒亭〉

〈大黒亭〉の「カレーそば」
「カレーそば」(730円)。

〈大黒亭〉は三条市内に3店舗あり、松屋小路店は創業者の兄弟がのれんを受け継いたお店で、現在は2代目の息子さんと3代目のお孫さんが切り盛りしています。80年以上の歴史を持つ「カレーそば」は、創業者が修業先の洋食店で学んだイギリス式のカレーを、ラーメンに応用したことが誕生のきっかけだそうです。

〈大黒亭〉外観
建物の前には「カレーそば」ののぼり旗がなびく。

淡い茶色のスープは鋭い塩味の後に煮干しの香りがふわりと漂い、欧風のカレーライスのような動物系のコクやお腹にたまるどっしり感はありません。スッキリした後味の理由は、創業時から変わらない製法にあります。

小麦粉とバター、カレー粉、数種類のスパイスを1時間以上練ってつくるルーは、欧風カレーに使われる動物系の旨みを入れておらず、油分はバターのみ。味つけは塩のみといたってシンプルで、和風ダシと合わせているので、スープをすすると豊かな香りが広がります。

丼に入ったカレールー
毎日1時間かけて仕上げるカレールー。
〈大黒亭〉の「カレーそば」のチャーシュー
チャーシューは新潟県産の〈越後もちぶた〉を使用。

麺は自家製のストレート。かん水を少なめにして、スープがよくなじむようにしているそう。弾力があり、モチモチとした麺にカレースープがよく絡みます。創業からのスタイルを受け継ぎ、地元で愛され続ける一杯は、シンプルながらも奥深い味わいです。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「大きめにカットしたタマネギは提供直前にカレーに入れて軽く煮込むので、シャキッとした食感です。スープに隠れたチャーシューは豚モモ肉で、ほどよい食感が楽しめますよ」

Information

【大黒亭 松屋小路店】
address:新潟県三条市本町3-7-14
tel:0256-32-2728
access:JR三条駅から車で約5分
営業時間:11:30~20:00(19:45L.O.)
定休日:水曜 ※祝日の場合は翌日
駐車場台数:10台 席数:28席

三条カレー×燕背脂のご当地ラーメンの共演〈バス長ラーメン〉

〈バス長ラーメン〉の「とろかれ~ら~めん」
「とろかれ~ら~めん」(900円)。

〈バス長(ちょう)ラーメン〉という珍しい店名は、ご主人の長沼義宏さんがかつてバスの車両を改装して店舗としていたことに由来しています。

〈バス長ラーメン〉外観
現在は、白と黒のコントラストが映える外観の〈バス長ラーメン〉。

「よりおいしいものを!」と日々改良を重ねている研究熱心な長沼さんが提供するラーメンは、地元に根づいた味をベースにオリジナリティを加えた一杯です。そんな〈バス長ラーメン〉のカレーラーメンは他店とはひと味違う味わいです。

とろみのついたカレールーの下に隠れているのは、煮干しの効いたスープにたっぷりの背脂。タマネギのみじん切りを盛った、まさに王道の燕背脂系です。燕市は〈バス長ラーメン〉のある三条市と隣接していて、両市ともにものづくりのまちとして知られています。「お互いのラーメンの魅力を融合できないか」と考えたご主人が開発したのが、この「とろかれ~ら~めん」です。

寸胴鍋に入ったスープ
豚骨をベースに煮干しの香りを利かせたダシを使用。

カレールーは辛さが控えめで、アメ色になるまでじっくり炒めたタマネギと隠し味のハチミツを加えているので、まろやかな甘みが特徴です。

食べる人を選ばない味を目指したそうで、チャーシューも食べやすい鶏モモ肉に。提供前に香ばしくあぶっていて、噛むと肉汁がジュワッとあふれます。カレーのコクと背脂の甘み。ふたつのご当地ラーメンの魅力を一度に味わってみてください。

「バス盛りラーメン」
野菜たっぷりの「バス盛りラーメン」(950円)も人気。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「背脂の甘みとカレーのコクで、スープはマイルドな味わい。パンチがほしい人は、辛みそのトッピングがオススメです。ニンニクの香りとトウガラシの刺激を楽しめますよ」

Information

【バス長ラーメン】
address:新潟県三条市東本成寺11-34
tel:0256-64-8837
access:JR三条駅から車で約5分
営業時間:11:00~14:30、17:30~20:00(土・日曜・祝日の夜は17:00〜)
定休日:不定休
駐車場台数:20台 席数:42席
宅配にいがた麺の市
※「宅配にいがた麺の市」では、週替わりで新潟の人気ラーメンを販売しています。定期的に販売期間が変更されるので、販売期間をご確認ください。

黒の秘密は竹炭。野菜もたっぷりのヘルシー系〈龍昇園〉

〈龍昇園〉の「黒カレーラーメン」
「黒カレーラーメン」(950円)。

昭和45年創業の〈龍昇園〉は、ご主人の刈屋栄二さんが腕を振るう中華料理店。幅広いメニューのなかには、オリジナルメニューも多く、三条市内を流れる五十嵐川を遡上(そじょう)するサケの「氷頭」(頭部の軟骨)を使ったみそラーメンや、三条市出身のプロレスラー、ジャイアント馬場さんの得意技「十六文キック」をイメージしたデカ盛り焼きそばなど、〈龍昇園〉でしかお目にかかれない味わいです。アイデアマンの刈屋さんがつくるカレーラーメンも、オリジナリティにあふれています。

〈龍昇園〉外観
植栽が鮮やかな店先にはご主人デザインのマスコットも。

黒カレーラーメンのスープの秘密はルーに練り込んだ竹炭粉。デトックス効果を期待できる健康食材の竹炭を微粉末にしているので、舌触りは滑らかで無味無臭です。ルーには小麦粉ではなく、新潟県産の米粉を使用している点もご主人の地元愛を感じます。ルーにはカイエンペッパーやコショウなど10種類以上のスパイスを使用していて、かなりスパイシー。土台のスープは鶏ガラや昆布、香味野菜など豊富な食材を使用していて、辛さのなかにしっかりとしたコクも感じられます。

「黒カレーラーメン」の真っ黒なスープをスプーンですくう
さらりとしたスープは油分控えめでヘルシー。

煮玉子や季節の野菜、チャーシューなど具材もたっぷりで食べ応えも満点。見た目のインパクトのみならず、健康とおいしさを追求した一杯です。

中華鍋で調理中のご主人
ご主人が熟練の手さばきで料理を仕上げます。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「黒いスープ誕生の秘密は、節分に地元のお寺で行われる『本成寺鬼踊り』に登場する黒い鬼。一緒に踊る赤鬼や黄鬼はトッピングで表現しているそう。地元を愛する刈屋さんらしいきっかけです」

Information

【龍昇園】
address:新潟県三条市元町12-11
tel:0256-34-4174
access:JR北三条駅から徒歩5分
営業時間:11:00~14:30(日曜・祝日は〜15:00)、17:00~21:30L.O.
定休日:月曜 ※祝日の場合は翌日
駐車場台数:なし 席数:30席

牛肉の旨みとアゴダシの香りがベストマッチ〈はしもとや〉

〈はしもとや〉の「ビーフカレーラーメン」
「ビーフカレーラーメン」(880円)。

創業約50年の〈はしもとや〉は広い店内と幅広いメニューで地元に親しまれる老舗レストランです。母娘3人で切り盛りしていて、「子どもたちに安心して食べさせられる料理」をコンセプトに、食材の自家栽培、化学調味料不使用などにも積極的に取り組んでいます。創業当時から変わらぬ人気を集める「ビーフカレーラーメン」にも、素揚げした自家栽培の野菜がたっぷりのっています。

〈はしもとや〉外観
広い店内にはボックス席があり、ゆったり食事を楽しめる。

〈はしもとや〉の「ビーフカレーラーメン」の特徴はスープ。細かく切って下処理を施した国産の牛スジをじっくり煮込んだダシを使用しているので、独特の甘みが深いコクを与えます。さらに、ラーメンにも使用するアゴダシを合わせて、豊かな香りをプラスしています。後からじんわりと広がる辛みは、お店で独自に配合したスパイスによるもの。大きな鍋で焦げないようにゆっくり火を入れて、マイルドな辛さと香ばしさを引き出しています。

「ビーフカレーラーメン」の麺を持ち上げる
クロレラを練り込んだ特注麺にカレーがよく絡む。

ややとろみのあるカレースープは、特注のクロレラ麺との絡みも抜群。クロレラにはアミノ酸やミネラルが多く含まれていて、具だけでなくラーメン全体に、食と健康を大切にする〈はしもとや〉ならではのこだわりが詰まっています。

〈はしもとや〉人気メニューのパフェ
フルーツや生クリームたっぷりのパフェも人気。

新潟ラーメン伝道師・片山貴宏さんのコメント

「他店のカレーラーメンでは使わない牛スジが味のポイントです。欧風カレーを想起させる深いコクは、〈はしもとや〉ならでは。ビーフカレーライスとのセットもオススメです」

Information

【はしもとや】
address:新潟県三条市石上2-13-22
tel:0256-34-2855
access:JR北三条駅から車で約5分
営業時間:11:00~14:30(14:00L.O.)、17:00~20:30(20:00L.O.)
定休日:不定休
駐車場台数:11台 席数:42席
web:はしもとや

新潟5大ラーメンの中で、バリエーションの豊富さは「三条カレーラーメン」が随一です。2大国民食のコラボレーションをぜひ楽しんでみてください。

「宅配にいがた麺の市」では、新潟の人気ラーメンを販売しています。新潟のラーメンに特化し、豊富なラインナップを取り揃えています。ご自宅でも人気店の味をお楽しみください。

credit edit:Komachi編集部