なかなか外食もできない昨今、自炊をする人も増えているはず。そんな今だからこそ、新潟の名産品を自宅でアレンジして、「おうち居酒屋」はいかがでしょうか。
今回は下越地方から、村上名産の「鮭の酒浸し」をピックアップ。同エリアの地酒と一緒に楽しめば、新潟気分もアップすること間違いなし。まずはすぐに食べられる基礎編をご紹介します。
越後村上の気候風土が生んだ「鮭の酒浸し」
新潟県の北部に位置し、日本海に面する村上市。この市を流れる三面川(みおもてがわ)は、古くから毎年鮭が遡上することで知られています。そして、村上のまちはこの鮭とともに繁栄してきました。
村上には鮭を使ったレシピが100以上ありますが、なかでも代表的なのが「塩引き鮭」。雄の秋鮭に塩を引いて(すり込んで)吊るし、1か月間北西の風に晒して熟成させます。そして、完成後、大晦日の食卓を飾る一品となります。
また、この塩引き鮭と並んで人気なのが「鮭の酒浸し」。塩引き鮭をそのまま自然の風で半年以上干し上げて、発酵熟成させます。真冬の寒風と初夏の梅雨を経た鮭は、漁獲時の約3分の1の重さにまで水分が抜けカチカチの状態に。この硬い鮭の身の部分を薄くスライスすれば鮭の酒浸しの完成です。地元では仕上がったものを毎年7月に行われる歴史あるお祭りで、初物として振る舞うのが慣習だといいます。
日本酒に浸して食べる、粋な味わい
村上特有の自然がつくり上げ、旨みがギュッと凝縮されている鮭の酒浸し。そのまま食べても十分味わい深いのですが、名前の通り日本酒に浸してから食べるのが基礎編の食べ方です。日本酒を少量ふりかけ5分ほど浸すことで、食感が柔らかくなり食べやすく、お酒によって甘みとコクが加わります。針ショウガを添えれば、これだけで立派なおつまみのできあがりです。
村上の食に馴染む酒を醸す蔵
「鮭・酒・人情(なさけ)のまち」と“三さけ”がキャッチフレーズの村上において、鮭と酒は切っても切れない関係です。そんな村上の地で、今回の鮭の酒浸しに合わせたい日本酒を醸すのが〈宮尾酒造〉。新潟の歴史ある蔵元で、〈〆張鶴(しめはりつる)〉の銘柄がよく知られています。
蔵には、2代目が遺した酒造りの手法が記された技術書『酒造伝授秘法之巻』が受け継がれており、酒造りにかける心意気と品質第一である教えを代々守り続けています。原材料のお米は地元のものが主で、自社で精米することで納得のいく歩合を実現。仕込み水は三面川の伏流水を敷地内の井戸から汲み上げて使用しています。そうすることで村上の食や風土に合う酒質ができ上がるといいます。
村上の自慢の逸品、鮭の酒浸し。お酒のお供としてだけでなく、刻んでご飯に混ぜたり、パスタに入れたりと食材としても活用できます。「越後村上が生んだ味の芸術品」とも称される贅沢な逸品をご自宅でぜひお楽しみください。
購入可能なお店
鮭の酒浸しは表参道駅・徒歩1分のアンテナショップ〈ネスパス〉で購入できます。
web:表参道・新潟館ネスパス
※新型コロナウイルスの影響により営業日・営業時間を変更しておりますので、詳細はHPにてご確認ください。
宮尾酒造の詳細
credit text:長谷川梨紗(くらしさ) photo:長谷川浩史(くらしさ)