新潟のつかいかた

series-jimoto-006-ec

新潟で新そばを味わうならここ!
名物へぎそばから
個性派そば処まで
地元情報誌『Komachi』
が選ぶ9店 Posted | 2018/11/12

秋から冬へ向かうこの時期は、新潟の畑からも新そばの便りが届く頃。夏の土用のあとに種をまき、霜が降りる直前に収穫する、いわゆる「秋新」とよばれる新そばが、11月中旬頃から多くのお店でお目見えし、各地で新そばを味わうイベントも開催されています。

新潟のそばといえば、思い浮かべる人も多いのが、ほんのり緑色でつややかな色合いが特徴のご当地名物「へぎそば」。地元の人々に古くから愛されてきたへぎそばはもちろん、辛汁につけて粋にたぐりたい江戸前そばや、手打ちのダイナミックさが魅力の田舎そば……。実はここ新潟には、多種多様なそばの文化が根づいています。

ただお腹を満たすだけではなく、新潟ならではの日本酒と一緒にそばをたしなんだり、つくり手の思いやこだわり、お店の歴史を紐解いてみたりするのもそばを味わう醍醐味です。新そばを求めて、新潟をめぐる旅へ出かけてみませんか?

やっぱり押さえておきたいご当地そば「へぎそば」の名店へ

【 Soba 1 】

歴史ある老舗そば処で味わう伝統のへぎそば〈わたや〉

〈わたや〉のへぎそば
「へぎそば」1人前720円。天ぷらは820円。

小千谷市、十日町市周辺は、小千谷縮や十日町絣などに代表される織物の産地。その織物の工程で使われていた「ふのり」をそばのつなぎとして使うようになったのが、へぎそばの始まりと言われています。

平成天皇が皇太子の時代に来店したこともあるというこちらの老舗は、そんなこの地域独特のへぎそばを代々受け継ぎ、全国区にしたお店ともいわれる地元の名店。キレのいいつゆで食べるのど越し命のへぎそばは、そのつるりとした食感のとりこになること間違いなしです。

わたや名物の「きんぴら大名」
名物の「きんぴら大名」990円。つゆに入れて食べると、ひと味違った味わいに。

また、そばの薬味としてきんぴらをつけたのはここが最初だとか。その取り合わせの妙を、名物の「きんぴら大名」で味わってみるのもおすすめです。

〈わたや〉外観
へぎそばを新潟のそばとして全国に広めた老舗そば処。

Information

【わたや 本店】

address:新潟県小千谷市本町2-3-34

tel:0258-82-2258

access:JR小千谷駅から車で約5分

営業時間:11:00~15:00(14:30 L.O.)、土・日曜・祝日 11:00~20:00(19:30 L.O.)

定休日:月曜(月1~2回)

駐車場台数:15台 席数:100席

【 Soba 2 】

地元でとれたそばを地元で味わう〈とみざわ〉

〈とみざわ〉の手打ちそば 天ざる
「手打ちそば 天ざる」1780円。そばが盛りつけられているのが、新潟ならではの片木=へぎ。

ソバは自家栽培したものと、その種を渡して農家に栽培してもらう津南産、隣接する栄村(長野県)を使用。「地元でとれたものを、地元で食べるのが一番おいしい」という3代目ご主人、富澤亮介さんのポリシーによるものです。自家製粉してふのりとオヤマボクチ(山ごぼう)を少し加えたそばは程よい弾力があり、噛むたび口の中に豊かな風味が広がります。

そばを手打ちする店主の富澤亮介さん
そばを手打ちする店主の富澤亮介さん。一番おいしく食べてもらうため、限られた量しか手打ちしないこだわり。

つなぎのふのりとオヤマボクチの配合はとても繊細で、絶妙なバランスを生み出すのはまさしく熟練の技。ご主人が1日に手打ちできる量は決まっているため、品切れになることもあります。確実に食べたいなら、早めの時間を狙って訪れるのがいいでしょう。

〈とみざわ〉外観
国道117号線沿いに建つ、白壁が美しいお店。

Information

【手打 そば処 とみざわ】

address:新潟県中魚沼郡津南町下船渡丁7842-1

tel:025-765-2535

access:JR津南駅から車で約4分

営業時間:11:00~そばがなくなり次第終了

定休日:木曜(連休あり)

駐車場台数:20台 席数:50席

【 Soba 3 】

白くつややかな、ふのり入りの二八そば〈そばや清兵衛〉

〈そばや清兵衛〉の天そばセット
サクサクの天ぷらが付く、ボリューム満点の「天そばセット」1350円。

そば粉は十日町産の〈とよむすめ〉の中心部のみを使用。ふのりでつなぐいわゆるへぎそばですが、白くつややかな表情がほかの店とはちょっと違います。

香り立つ細めのそば
ふくよかに香り立つ細めのそば。1人前は180グラムほどと多めなのもうれしい。

その秘密は石臼。店舗裏にある小屋で店主の小海誠さんが自家製粉していますが、石臼は先代から100年以上使っている年代物。石が摩耗して軽くなったことできめ細かな粉ができ、独特の色つやが生まれるのだそうです。

中心部の粉のみを使ったそばは、香り、のど越し、コシと三拍子そろった仕上がりが絶妙。テーブルに置かれた薬味用のクルミをすりつぶしながらいただけば、香ばしさが加わりひと味違った味わいになります。

〈そばや清兵衛〉の店内
自宅の居間にいるような、くつろげる雰囲気も魅力です。

一見お店には見えない隠れ家的な雰囲気も味わい深い、十日町の隠れた名店です。

Information

【そばや清兵衛】

address:新潟県十日町市真田丙1896-2

tel:025-757-1298

access:JR十日町駅から車で約15分

営業時間:11:00~15:00

定休日:なし

駐車場台数:15台 席数:56席

老舗〈藪蕎麦〉の揚げそば、そばがき揚げ、自家製そばみそ

次のページ:新潟の酒とそば。「そば前」におすすめのそば処

〈まるいち〉のへぎそば

【関連記事】へぎそばの「へぎ」って何? 今さら聞けないへぎそばの基本とおすすめ店


次のページへ →